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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

非日常の体験2

前回はこちら↓
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20090426/1240751492


数年ぶりにN子と再会したが、以前のようにTに会わせようとすることはなかった。
本人はまだTに心酔していたようだが、僕に被害さえ及ばなければ、それはそれで構わない。
そんなことは本人の自由だ。
それにN子も僕に気を遣ってか、Tのことを話題にすることはなかった。


しかし、慣れてくると、またTのことを話題にし始めた。
正直言って僕は鬱陶しかったが、別に僕を誘うようなこともしなかったので、僕は黙って聞いていた。
もしTを批判するようなことを言ったら、N子は烈火の如く怒りだすのである。
要するに、N子とはまともな議論ができず、自分の気に入らない意見を聞くと感情的になって、論理的な思考を持たない。
そのくせ、妙な持論を展開して、というか論理にもならない論理を無理やりこじつけ、相手に反論の隙を与えずに一方的に喋りまくる。
いわゆる強弁タイプである。
Tと共に、こちらで書いた典型的な人物だ↓
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20090414/1239713222
N子は徐々にこういう面を見せ始めた。


そして遂に、Tとは関係ないところでN子と決裂することになる。
N子は僕にE子という30歳前後の女性を紹介した。
E子は初対面の時からいきなり僕になついてきた。
そして
「私の人生は変わった」
「今の私はいちばん幸せ」
とやたら力説する。
僕にはなんのことやらサッパリわからなかったが、話を聞いているとどうやら「G」という自己啓発セミナーに参加したらしかった。
そしてE子は僕に「G」に参加するように、しきりに勧めてきた。
宗教ではないとはいえ、僕が嫌う世界である。
僕はそんなのには参加しないよ、と断ったが、それでもしつこく誘ってくる。
そして僕は、そのセミナーに参加するにはどれぐらいの費用がかかるか訊いた。
すると34万円だという。
冗談じゃない!
そんなものに僕が参加するわけがない。
僕は丁重にお断りした。


すると、そこからE子とN子の波状攻撃が始まった。
毎日のように電話がかかってきて、「G」に参加するように説得する。
あるいは僕を食事に誘って、最初のうちは「G」の話はしないが、最終的には「G」の話に持って行く。
後から知ったことだが、こういうセミナーに参加すると、その人は別の人を勧誘するというノルマがあるそうだ。
だからE子が僕を熱心に誘うのも合点が行く。
しかしN子までがなぜ熱心に誘うのか、わけがわからなかった。


E子はまだ若く、僕を説得するのは無理だと判断したのか、今度はN子の単独による波状攻撃が始まった。
なんでもN子は、20歳代前半のころ、この「G」というセミナーに参加したそうである。
その頃は現在よりもずっと費用が高く、なんと70万円近く(!)もしたそうだ。
この時は聞きそびれたが、二十歳そこそこの女性がどうやってこれだけの費用を捻出したのか実に不思議である。


「きんぐ君は今のままではダメだよ。『G』に参加して自分を変えなきゃ」
「今、決断しないと、後の人生で後悔するよ」
「他の人にはこんなの勧めないよ。きんぐ君は私にとって大切な友達だから勧めるの」
「E子には私が注意しておいた。きんぐ君にしつこく勧誘せんといて、って」
「34万円のコースが無理なら、第1段階の12万8千円のコースだけでもいいから」
「お願い、私を信じて!」


……まったく、詐欺師顔負けの口の巧さである。
というか、詐欺師そのものの手口である。
相手を脅す、そして優しさを見せる、それより安いコースを勧め、やがて手中に引き込む。


しかし僕は、12万8千円のコースで参加することを了承してしまった。
僕にとって人生最大の失策であり、最大の恥である。
詐欺の手口には乗らない、という信念を自ら曲げてしまった。
自分だけが被害に遭うのならいい。
しかしこのことによって、他の人にも被害が及ぶ可能性があるのである。


そして、僕はN子と共に、セミナー参加の前に行われる「G」の面接(「インタビュー」というらしい)を受けた。
本来なら大勢の人と「インタビュー」を受けるのだそうだが、僕の場合は既に締切が過ぎていたので、N子が特別に頼んで締切後の「単独インタビュー」となった。
「G」の担当者は僕に「なんでも質問してください」と言ったときに、N子が言った。


「きんぐ君はマイナスのことを言うことがあるから、そんなことは言わんといてな」


実はこのとき、クーリングオフのことや、なぜ高額な費用がかかるのか質問したかったのだが、N子が機先を制したので訊くことができなかった。
こうして書いているだけで当時のことを思い出し、はらわたが煮えくりかえる思いだ。
と言ってもそれは、N子に対してではなく、自分自身に対して、である。
毅然とした態度を取ることができなかった自分に対し、実に腹が立つのだ。


「インタビュー」が終わり、セミナー参加をあと数日と控えたところで、冷静になるとどう考えてもおかしい、と思い至ることになった。
実はトラブルを起こしたくなかったので「G」について調べることはしなかったのだが、思い切って調べてみることにした。
すると、出るわ出るわ、被害者報告が。
もちろん中には「参加して良かった」という人もいるのだが、全ての人がそういうわけではない。
ましてや数十万円という高額費用を費やすのだから、なんの効果も無ければ多大な被害になるのは当たり前だろう。
また、N子やE子のように「参加して良かった」と思う人は、自分が数十万円もの出費を強いられたものを否定されれば、自分自身を否定されたような気分になるだろう。


僕はセミナー参加寸前で体調不良を理由に、参加を断った。
幸いにして、キャンセル料を取られることもなかった。
恐らく「G」は、僕が次の機会に参加すると思ったのだろう。
しかし僕は、「G」はもちろん、N子やE子と決別するつもりでいた。
ところで「G」とTに何か関係があったのか、それはわからない。
ただ、「G」の本社とTが保有するアパート(N子も先のマンションからそこに引っ越していた)が極めて近くにあったから、その疑念は拭えない。


僕はN子からの電話を着信拒否した。
あまりにもしつこく、何度も電話がかかってきていたので、僕は電話ノイローゼになっていたのである。
すると、N子からそれをなじるメールが来た。
「着信拒否するなんてあまりにも失礼だ」と。


冗談じゃない、それまでさんざん失礼なことをしてきたのはどこのどいつだ!?
そもそも俺は、数十万円をかけなければまともにはなれない人間なのか!?
こんな失礼なことを言っておいて、自分から他人に対する大きな失礼は気にならなくても、他人から受ける失礼に対しては許せないのか!?
だいたい、こんな失礼を受ける原因を作ったのは他の誰でもない、N子自身じゃないか!


だいたいN子は70万円もかけて、現在の人格を築きあげた。
こんな大金をはたいて他人に迷惑ばかりかけるような人間になり、他人から信用されなくなるのなら、こんなセミナーに参加しなくて本当に良かった。
もっとも、N子の辞書には「反省」の文字はないので、本人は実に気持ちいいのかも知れないが。


N子にメールで決別宣言を送った後も、ぐちゃぐちゃと言い訳メールを返してきた。
私も[G」とは大ゲンカをして1時期は去っていたが、現在は生まれ変わっただの、君が傷つくことがあれば私が守るつもりだっただの(この文言が既に上から目線)、僕にとってはどうでもいいことばかり書いてた。
もう呆れて返事を書く気も失い、その後は一切連絡を取っていない。
数ヵ月後にN子の友達を通して僕に連絡があったが、もちろん僕は取り合わなかった。


今回の件で僕は金銭的な被害には遭わなかったが、「人間不信」という意味を実感した。
しかし、こんなことは生きていく上で必ず体験することなので、その意味ではいい人生勉強をさせてもらったと思っている。


そして今回の教訓として


(1)自分のことばかり喋って他人の話を聞かないヤツを信用するな
(2)自分の価値観を他人に押し付けるヤツを信用するな
(3)「私はあなたのことが全てわかる」というヤツを信用するな
(4)自分勝手な論理を振りかざし、ワケのわからん言葉を多用するヤツを信用するな


というところだろうか。


ちなみにこのN子、歳をとったら自分に霊が降りて来るらしい。
ま、それを信じてせいぜい長生きしてください。