コンデジやネオ一眼と違って、一眼レフ及びミラーレスにとって避けて通れない問題がイメージセンサーの汚れだ。
一眼レフやミラーレスは、カメラ・ボディにレンズを装着したり、あるいは取り外したりする必要があるので、どうしても埃などがイメージセンサーに付着してしまうのである。
当然、せっかく綺麗な写真でも汚れがあると台無しになるわけだ。
汚れが目立つ場合、メーカーに清掃を依頼するのが一番いいのだが、この方法は相当な高額になるうえに、カメラが戻ってくるまでにかなりの日数がかかる。
都会に住んでいる人はカメラをメーカーに持ち込めるのでまだいいのだが、地方だと郵送になるためかなり不便だ。
むしろ、カメラのキタムラの方が全国にあるし、メーカー清掃よりも安価で、持ち込めば即日に返却してくれるので、筆者もその方法を採った。
上級者になると、自分で清掃する方法もある。
これだと、費用は清掃用品だけで済むし、自分が納得いくまで綺麗にできるのが利点だ。
だが、素人が自分で清掃すると、却って汚れてしまうばかりか、イメージセンサーを傷付けてしまう恐れがある。
イメージセンサーは非常にデリケートな部分なので、ここを傷付けてしまうと命取りになるし、自己責任になるのだ。
やはり、多少高額でも、時間がかかってもプロに清掃を依頼するのが無難だろう。
当然、筆者も買ったばかりのPENTAX KFもそうするつもりでいたが、ハタといい方法を思い付いた。
筆者には、黒死病に罹患したPENTAX K-S1があるではないか。
要するに、故障を覚悟でKS-1を清掃の練習台にすればいい。
黒死病を患っているKS-1とはいえ、応急処置を施せば普通どおりに撮影できる。
そうと決まれば善は急げ、悪は延べよ、早速AmazonでPENTAXイメージセンサークリーニングキットO-ICK1(税込¥3,400)とVSGOタンブラーエアーブロアーV-B01E(税込¥1,980)を購入。
ブロワーについては、安物とは言え一応は持っているので必要ないかとも思ったのだが、イメージセンサーの清掃となると安物のブロワーでは却って汚れてしまうらしいので、奮発してシリコン素材の高価なブロワーを購入した。
ボディやレンズの外側は今まで通りの安いブロワーを使用し、イメージセンサーの清掃用にVSGOのブロワーを温存する作戦だ。
このブロワー、底に錘が入っているため、起き上がりこぼしのように倒れない仕様になっている(だからタンブラーと名乗っているらしい)。
▼シリコン素材で、しかも倒れないVSGOタンブラーエアーブロアーV-B01E
しかし、今回の主役はブロワーではなく、PENTAXのO-ICK1の方である。
カメラ・メーカーで、イメージセンサーのクリーニング・キットを販売しているのはRICOH(PENTAXの製造元)だけらしい。
このO-ICK1は、俗にペンタ棒と呼ばれる。
このペンタ棒、一応はPENTAXのイメージセンサー清掃用となっているが、実際には他メーカーの一眼レフやミラーレスにも使用可能だ。
特にミラーレスは、一眼レフと違ってミラーが無く、イメージセンサーが剥き出しになっているため汚れが付きやすい。
▼PENTAXのO-ICK1、通称ペンタ棒と、付属しているクリーニング・シート
まずは、イメージセンサーの汚れている場所と汚れ具合を知る必要がある。
逆に言えば、大した汚れがなければヘタに清掃せず、ブロワーで吹きかけるだけの方がいい。
自分で清掃することによって、却って汚してしまう場合があるからだ。
写真にとって汚れが大敵とはいえ、あまり神経質になり過ぎるのも考えものである。
イメージセンサーの汚れを知るには、雲一つない青空を撮影するのが一番手っ取り早い。
青空を写すと、他に対象物がないため汚れている部分がハッキリ判るのである。
青空には焦点を合わせるべき物がないため、オート・フォーカスが効かないのでマニュアル・フォーカスにすればいい。
下の写真は、K-S1で青空を写したのだが、特に問題が無いように思える。
ところが、パソコンに取り込んでよく見てみると、いくつかの黒い点があったのだ。
パソコンだと簡単に写真を拡大できるので、汚れを容易に判別できる。
▼赤丸が汚れ
▼さらに拡大すると、汚れがハッキリ判る
それでは、ペンタ棒を使ってこの汚れを取っていこう。
今回はPENTAXのK-S1あるいはKFで説明するが、他のメーカーでは名称が違うかも知れない。
PENTAXで言えば、メンテナンス画面でセンサークリーニングを選択し、ミラーアップを実行する(ミラーレスの場合は、ミラーアップの必要はない。そもそもミラーが無いのだから。ただし、クリーニングモードがある場合は、その設定にする)。
この際、気を付けなければならないのは、電池の充電が満タンになっている必要があることだ。
イメージセンサーの清掃中に電池が切れると、ミラーが強制的に閉じてしまうため、清掃道具がミラーに挟まって故障の原因になりかねない。
充電が充分であることを確認し、上記の方法でミラーアップさせる。
まずは、ブロワーでイメージセンサーを清掃してみよう。
場合によっては、わざわざペンタ棒を使わなくても、ブロワーで汚れを吹き飛ばすだけで問題が解決することもあるからだ。
その方がずっと楽だし、ペンタ棒を使ったために却って汚れが増えたり、故障したりすることも有り得る。
ブロワーを使う際、気を付けるのは必ずカメラ・ボディを下に向けること。
ボディを上に向けていれば、舞った埃が落ちてきて再びイメージセンサーに入る恐れがある。
ブロワーでイメージセンサーを清掃したら、汚れがなくなったかどうか確かめてみよう。
確かめる方法は、前述のように青空を写せばいいが、イメージセンサーの清掃を行うのは室内だろうし、いつも青空とも限らないので、室内でテストすればいい。
壁に白い紙を貼って、撮影すれば汚れが判る。
この際、カメラは絞り優先モードでF値は最大(22程度)、画素数も最大にしてISO感度は100~400程度でマニュアル・フォーカス、焦点は無限大(∞)にすればいい。
わざと焦点をボカすことで、却って汚れを判りやすくする。
この方法で汚れを確認し、まだ取れていないようならいよいよペンタ棒の出番だ。
ペンタ棒のオレンジ色の先端は粘着状になっており、そこに汚れを付ける。
気を付けていただきたいのは、あまりペンタ棒を強く押し付けすぎると、イメージセンサーに傷が付いてしまうことだ。
ペンタ棒をイメージセンサーに貼り付ける時は、あまり力を入れず、軽く押し当てるだけでいい。
イメージセンサーに当てたペンタ棒は、付属のクリーニング・シートに押し当てる。
押し当てた部分は、二度とペンタ棒に付けない。
そして、クリーニング・シートには一度ペンタ棒を付けた部分は使用せず、ペンタ棒を付ける部分がなくなればクリーニング・シートは破棄する。
そして、ペンタ棒による清掃が終わると、上記の方法で白い紙を撮影し、汚れが取れたかどうか確かめてみよう。
すると、ペンタ棒で清掃した筈なのに、実際には左下に大きな汚れが出来ていた。
それは、わざわざパソコンで拡大表示しなくても、小さなカメラ液晶画面ですらハッキリ判る汚れだ。
これは、前には無かった汚れであり、要するにペンタ棒で清掃したことにより、却って大きな汚れが出来てしまったのである。
小さな汚れだと、あまり気にし過ぎるのも考えものだと言ったのは、この点だ。
清掃したことによってミラーアップするため、つまりイメージセンサーを剥き出しにしてしまうので、大きな汚れを生み出すことも有り得るのである。
しかし、これだけ大きな汚れになると、やはりペンタ棒で清掃しなければならない。
筆者の写真の場合、左下に汚れがあるのだが、実際にはミラーがあるので上下反転しており、イメージセンサー内では左上を清掃する必要がある。
その後も、何度かペンタ棒を駆使してイメージセンサーを清掃したが、なかなか完璧に綺麗にはならなかった。
ペンタ棒での清掃を繰り返すも、そのたびに新たな汚れを発見する。
そしてようやく、気になる汚れがなくなったのは、ペンタ棒6回目の清掃の後だ。
ひょっとすると、細かい部分で汚れはあるのかも知れないが、筆者の目には汚れは見当たらない。
▼ペンタ棒での清掃6回目にして、ようやく汚れは発見できなかった
実はKFも、現段階では少し汚れている。
今回、K-S1での清掃に成功したのだから、KFもペンタ棒を使って清掃したいところだが、まだ自信は持てない。
もう少し、KS-1には練習台になってもらって、絶対的な自信が持てるようになったら、ペンタ棒でKFを清掃してみようか。