【三択クイズ】
次の3つのうち、存在しない鉄道会社を1つだけ答えよ。
①阪急電気鉄道
正解(存在しない鉄道会社)は①阪急電気鉄道である。
え、阪急電鉄って鉄道会社があるやん、と思った人がいると思うがその通り。
関西の他の大手私鉄を見ると、阪神電鉄の正式名称は阪神電気鉄道、京阪電鉄は京阪電気鉄道、南海電鉄は南海電気鉄道である。
つまり、阪急のみが「電気鉄道」ではない。
その理由として、阪急は元々路面電車だったから、という説がある。
実態は鉄道そのものだったが、1978年(昭和53年)まで法律上では阪急は路面電車(軌道)だったのだ。
つまり、本来なら阪急電気軌道のはずが、それだと大手私鉄らしくないと思ったのか阪急電鉄と誤魔化したというのである。
ちなみに言うと、ライバルの阪神電気鉄道だって1977年(昭和52年)までは法律上は路面電車(軌道)だったのだが、こちらは堂々と(?)「電気鉄道」と名乗り続けた。
いずれにしても、阪急電気鉄道などという鉄道会社は存在しない。
だが、この三択クイズの本番はここからである。
存在しない鉄道会社が阪急電気鉄道だったということで、もう一つの疑問が湧いてこないだろうか。
つまり、②関西高速鉄道と③西大阪高速鉄道は実在する鉄道会社、ということである。
しかし、関西在住の人でさえ、そんな鉄道は乗ったこともなければ聞いたこともない、という人がほとんどだろう。
あるいは、どうせ田舎を走っている弱小私鉄やろ、という人がいるかも知れない。
ところが、田舎鉄道どころか②関西高速鉄道も③西大阪高速鉄道も、大阪市の中心部を堂々と走る、乗降客数も多い鉄道会社なのだ。
まずは②関西高速鉄道から。
関西高速鉄道は、大阪市の京橋駅から兵庫県尼崎市の尼崎駅まで繋ぐ鉄道会社だ。
この起終点駅を聞いてピンとくる人もいるだろう。
そう、この路線はJR東西線だ。
種明かしをすると、関西高速鉄道というのは第三セクターの会社で、JR東西線の線路などの施設を保有している鉄道会社である。
つまり、関西高速鉄道は列車を走らせているわけではない。
JR東西線の線路などを敷設し、その後も所有し続けているのが関西高速鉄道である。
▼初乗り運賃(現在は140円)で近畿一周の旅も、関西高速鉄道に乗ります
この場合、実際に列車を走らせているJR西日本は第二種鉄道事業者と言い、施設を保有する関西高速鉄道は第三種鉄道事業者と言う。
ちなみに、大阪環状線の施設はJR西日本が所有し、またJR西日本が列車を走らせているが、この場合JR西日本は第一種鉄道事業者と呼ばれるのだ。
以前の鉄道会社は、JR(国鉄)や私鉄を問わず、第一種鉄道事業者というケースがほとんどだったが、近年では既存の鉄道会社が施設を敷設することが困難になり、新路線を開通させる際には関西高速鉄道のような三セク方式を採用することが多くなった。
ちなみに言うと、JR東西線は日本で唯一の、正式路線名として「JR」が付く路線である。
正式名称にJRが付くのに、施設を保有しているのはJRではないというのは、これいかにってか。
▼尼崎駅に停車中の、JR東西線の電車
③西大阪高速鉄道もやはり三セク会社。
つまり、阪神なんば線の一部の施設を所有しているのが西大阪高速鉄道だ。
元々は阪神電気鉄道の西九条駅と尼崎を繋いでいた西大阪線があって、西九条駅から大阪難波駅まで延伸させた際に阪神なんば線と改称した。
阪神なんば線のうち、新路線となる大阪難波駅から西九条駅までは阪神電気鉄道が第二種鉄道事業者で、西大阪高速鉄道は第三種鉄道事業者。
元々は西大阪線だった西九条駅から尼崎駅までは阪神電気鉄道が第一種鉄道事業者となる。
阪神なんば線の開通により、近畿日本鉄道(近鉄)と阪神電気鉄道の直通運転が開始されたので、奈良市中心部と神戸市中心部が大阪市経由で1本に繋がり、非常に便利となった。
個人的には、近鉄名古屋駅から山陽姫路駅まで、近鉄特急を走らせてもらいたいのだが。
▼阪神の甲子園駅に近鉄電車が入線するなんて、以前には考えられなかった