今日のプロ野球は、横浜×巨人が長野、広島×阪神が富山、ソフトバンク×西武が宮崎、楽天×オリックスが福島と、地方開催が4試合も重なるという珍しい日だった。
さらに日本ハム×ロッテも、地方開催ではないが日ハムがかつて本拠地としていた東京ドームでのゲームであり、正規の本拠地で行われたのは神宮球場でのヤクルト×中日のみ。
メジャーリーグではあまりない地方開催が多いNPBならではの現象だ。
中でも広島×阪神は恒例の北陸シリーズで、明日は金沢、明後日は福井と、両チームは腰を落ち着ける暇もない。
元阪神通訳ののりもとさんから聞いた話だが、この北陸遠征は本当に大変なのだそうだ。
日本の場合はメジャーと違って、ビジターの試合ではホテルからユニフォームを来たまま球場に乗り込み、試合終了後はユニフォーム姿のままホテルに戻り、ホテルでシャワーを浴びる。
普通のビジター試合ではホテルでシャワーを浴びた後、呑みに出かけることもできるのだが、地方遠征ではそうはいかない場合がある。
特に北陸シリーズでは、試合が終わった後はシャワーも浴びずすぐにユニフォーム姿のままバスに乗り込み、次の日の試合地に移動する。
同じ北陸と言っても、移動するのに2,3時間はかかるから、汗臭い思いを長時間耐えなければならない。
ホテルに入ってシャワーを浴びるとバタンキューだ。
それでも元気な選手は呑みに出かけるかも知れないが、少なくとも日本海の美味しい海の幸が食える店は既に閉まっているだろう。
プロ野球選手は船乗りのように港ごとに女がいると言われていて、地方遠征を楽しみにしている選手は多いのだろうが、こと北陸に関してはそういうオイシイ思いはあまりしていないのかも知れない。
そんな話は別にしても、選手のコンディションを考えるならば、富山で三連戦、別のカード(広島や阪神とは関係なく)で金沢で三連戦、さらに別のカードで福井で三連戦なんてやった方がいいと思う。
もちろん、他の地方との関係で難しいかも知れないが、隔年で開催するとか、方法はいくらでもあるはずだ。
それでも、北陸のファンにとっては年に一度のプロ野球開催。
楽しみにしている人も多いだろう。
今日の広島×阪神も、試合自体は途中まで9−1と広島のワンサイドゲームでつまらなかった上に、途中から激しい雨が降り出した。
普通の試合なら、点差も開いていたことだしコールドゲームを宣告するところだろうが、審判団は試合を続行させた(雨天中止は、試合前は主催球団に決定権があるが、試合開始後は審判団に決定権が移る)。
これは、年に一度しかプロ野球を観ることができない富山のファンのことを考えてのことだろう。
この審判団の判断はクリーンヒットとなった。
9回表、金本が待望の400号ホームランを放った。
金本が育った広島ファンと阪神ファンの目の前である。
この偉業に遭遇した、年に一度しかプロ野球を観ることができない富山の1万6千人のファンは、歴史の生き証人となった。