今年のプロ野球ドラフト会議で、「浪速のダルビッシュ」と呼ばれた藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭高)を4球団競合の末、阪神タイガースの和田豊監督が見事に引き当てるという今年唯一の大仕事をやってのけた。
今年の阪神のドラフト指名は、近年には珍しく100点満点の呼び声が高いが、中には3位指名の田面(たなぼ)巧二郎投手、4位指名の小豆畑(あずはた)真也捕手という珍名さんもいた。
珍名さんと言っても我々がそう思うだけで、本人にとっては迷惑かも知れないが、やはり目を引く苗字の人はいるものである。
特に日本人は苗字の数がやたら多く、その数は約30万種類とも言われ、人口約1億3千万人ながら人口約13億人の中国を遥かに上回る多さである(中国の苗字は約4000種類)。
しかも日本の場合は、漢字が同じでも読みが違うとか(例えば「藤原」を「ふじわら」と読むか「ふじはら」と読むか)、逆に読みが同じで漢字が違うケースなどもあるため(「斉藤」「斎藤」「齋藤」など)特定は難しく、実際にはもっと多いかも知れない。
これほど苗字が多ければ、珍名さんが多いのも当然だろう。
そこで、日本中にある珍名さんを選び出してみた。
ただし、ただ珍名さんを並べても面白くないので、独断と偏見によってジャンル別に分けている。
また、その県にしか無いような苗字がほとんどなので、その苗字が多い県名も記してみた。
【楽しそうな苗字】
歌丸(うたまる、山形)、唐桶(からおけ、島根)、正月谷(しょうがつだに、広島)、波呂(はろ、福岡)
福岡の波呂さんと、沖縄出身の安室奈美恵がユニットを組めば「ハロ、アムロ」という、ガンダマーにしかわからないコンビ名になるのだろうか。
【美味しそうな苗字】
茶立場(ちゃたてば、青森)、餅(もち、宮城)、飯酒盃(いさはい、新潟)、清酒(せいしゅ、石川)、飴(あめ、富山)、魚(うお、富山)、海老(えび、富山)、菓子(かし、富山)、酢(す、富山)、小粥(おかゆ、静岡)、和食(わじき、高知)、砂糖元(さともと、宮崎)
これは富山の独壇場である。
富山はとにかくストレートな苗字が多い。
上記以外でも釣(つり)、草(くさ)、風呂(ふろ)など、名刺を渡されるとホントに苗字なの?と聞き返しそうな珍名さんが目白押しだ。
ちなみに阪神にも、かつては釣や石風呂(いしふろ)という珍名選手がいた。
富山以外では、新潟の飯酒盃や、石川の清酒など、いかにも米どころの旨そうな日本酒が元と思われる苗字がある。
美味しそうな苗字では、北陸地方の圧勝だ。
【大袈裟な苗字】
左衛門三郎(さえもんさぶろう、埼玉)、大仏(おさらぎ、神奈川)、王隠堂(おういんどう、奈良)、仏(ほとけ、和歌山)、日本(にほん、鹿児島)
三郎くんが左衛門三郎さんの家に婿養子に行けば、左衛門三郎三郎(さえもんさぶろうさぶろう)になるのだろう。
鹿児島には恐れ多くも日本さんという、堂々と国名を名乗っている人がいる。
朕は国家なり、というところだろうか。
大仏さんや仏さんは大袈裟というより御利益がありそうだが、警察では仏さんは御利益どころか縁起が悪いかも知れない。
【強そうな苗字】
不死原(ふじわら、兵庫)、万力(まりき、広島)、無敵(むてき、山口)、黒武者(くろむしゃ、鹿児島)
どちらかが死ぬまで戦うというパンクラチオンのようなルールで無敵さんと不死原さんが試合をしたら、どちらが勝つのだろう。
まさしく矛と盾の矛盾(ほこたて)対決が見られそうだ。
【賢そうな苗字】
文珠四郎(もんじゅしろう、福井)、公文(くもん、高知)、知識(ちしき、鹿児島)
知識さんなんて絶対に、落第や受験失敗なんてできないだろうなあ。
【悪そうな苗字】
及位(のぞき、秋田)、悪七(あくしち、山形)、浮気(うき、静岡)
浮気さんが和歌山の恋仲(こいなか)さんと不倫していたら、言い逃れのしようがないな。
その不倫現場を、及位さんがノゾキしてたりして。
【かわいそうな苗字】
百足(むかで、宮城)、肥満(ひまん、三重)、鼻毛(はなげ、大阪)
小学生の時、道徳の教科書に「僕は鼻毛じゃない」という話があった。
内容を説明すると、小学生の男の子がある日、鼻から鼻毛が出ていたため「鼻毛」というアダ名を付けられた。
最初は腹を立てたものの、そのうち慣れてきて「鼻毛」と呼ばれると普通に反応するようになった。
でもある日、クラスメートがアダ名を巡って喧嘩しているのを見て、なんで僕は「鼻毛」と呼ばれて馬鹿にされているのに、それに対して拒否しないんだろう、と恥ずかしくなった、というお話である。
実に教訓になる話だけど、鼻毛さんという人が実在することを知ると、この話も鼻毛さんに対して失礼ではないか、と思えてきた。
ちなみに百足さんは、実際に僕の近所に住んでいるが、宮城出身なのだろうか。
【ヘンな苗字】
平安名(へんな、沖縄)
まあ、沖縄自体が元々は琉球王国という別の国だったこともあるので、ヘンな苗字の宝庫だけど、それ故かえって目立たず、今回はあまり登場しなかった。
とまあ、色々な苗字を紹介したが、如何だっただろうか。
「名は体を表す」というが、これらのジャンル分けがその人となりを表すわけではないので念のため。
いずれにしても、今回紹介した苗字を持つ人は少数(しょうすう、北海道)だということだ。