今日(12月27日)、東大阪市の近鉄花園ラグビー場で第93回全国高等学校ラグビーフットボール大会が開幕した。
その開会式で、元内閣総理大臣で日本ラグビーフットボール協会会長の森喜朗がこんな挨拶をした。
「(今年は)公立高校も、とても多い。坂出第一もそうです。倉吉北高校もそうです」
熱弁を振るってくれたのはいいのだが、残念ながら坂出第一と倉吉北、どちらも私立高校である。
これほど堂々と間違う人も珍しい。
なぜこんな間違いをしたのかはわからないが、想像するに桂(京都府立)と浦和(埼玉県立)の話の引き合いに出すために、ズラリと整列したプラカードの中からいかにも公立校っぽい校名だったこの両校が目に止まったのではないか。
もっとも、僕から見れば「第一」と付く高校は、いかにも私立っぽいとしか思えないが。
倉吉北はたしかに公立っぽい校名だが、かつては野球部が甲子園の常連だったので、僕は私立校だと知っていた。
それにしても、坂出第一と倉吉北の選手達は、この演説を聞いてどんな気分になっただろう。
自分達は、事実と違うことで褒められたのである。
僕が選手だったら、こんなに馬鹿にされた気分になることはない。
じゃあ、褒められる所は何もないのか?と思ってしまう。
そもそも、出場校の中には秋田工業(秋田県立)や大分舞鶴(大分県立)など、有名な公立校は他にもある。
ひょっとして、あまりにも有名なので私立校だと思っていたとか?
ちなみに、今大会は出場していないとはいえ、昨年度の準優勝校である御所実業(奈良県立)も公立校である。
それなのに、なぜわざわざこの両校を引き合いに出したのだろう。
しかも「(今年は)公立高校も、とても多い」はずなのに、選んだ二つが両方とも見事に間違えているというのはお見事としか言い様がない。
昔から失言が多かったとはいえ、一国の元首相がこんな軽率な発言をするのはいかがなものか。
挨拶文を作成するときに、ちょっと調べればわかることだろう。
ひょっとするとこの人には、公立校は弱小で私立校は強豪という、抜きがたい偏見があるのだろうか。