第81回選抜高校野球の決勝戦が行われ、清峰(長崎)が花巻東(岩手)を1−0で下し、春夏通じて長崎県勢初の甲子園制覇となった。
清峰の右腕・今村と花巻東のサウスポー・菊池は大会左右ナンバー1投手と言われ、その噂に違わぬ見事な投手戦を見せてくれた。
今大会はこの両投手以外にも好投手が多く、接戦続きの素晴らしい大会だった。
清峰は長崎県立校だが、ここ数年の活躍は目覚ましく、2005年夏に甲子園初出場を果たしたときは、一回戦でその年のセンバツ優勝校だった愛工大名電を延長戦の末破り、二回戦ではその前年センバツ優勝校の済美を倒すという快進撃で関係者をあっと言わせた。
翌年の2006年にはセンバツ初出場でいきなり準優勝。
「九州に清峰あり」という印象が定着した。
快進撃をした九州の県立校と言って記憶に新しいのが、2007年夏に甲子園制覇を成し遂げた佐賀北だ。
佐賀も長崎も、野球先進国というイメージを持たれた県ではないだろう。
だが、清峰や佐賀北などの、九州北西部の大活躍は決して偶然ではない。
毎年ゴールデンウィークの季節になると、佐賀県鳥栖市では「クロスロードIN鳥栖」という高校野球のイベントが開催される。
この時期には100校もの高校が鳥栖に集い、一週間ほどかけて1日2試合の練習試合を各校が行い、腕を磨き合う。
佐賀や長崎、福岡の北部九州はもちろん、南部九州や沖縄、四国や中国、場合によっては近畿や関東からも遠征してくる高校もある。
参加校が多いため、同一県同士では当たらないように日程を工夫している。
元々このイベントは、沖縄の強豪校だった栽弘義監督率いる沖縄水産が鳥栖に遠征したことにより始まった。
「九州のレベルアップに協力して下さい」と鳥栖の平野監督が栽監督にお願いして、このイベントが拡大していった。
立地条件も良かった。
鳥栖市は長崎本線と鹿児島本線が交差する場所であり、高速道路では九州自動車道と大分自動車道に長崎自動車道が鳥栖インターで繋がるので、九州全体から集まりやすい。
奇しくも、佐賀商が佐賀県勢として甲子園初制覇(夏)したのは、クロスロードIN鳥栖が始まった翌年のことである。
クロスロードIN鳥栖については、福岡県在住のライターである当馬敏人さんが書いているので、こちらも参照されたい。↓
http://bouron.blog.ocn.ne.jp/touma/2008/08/post_4035.html
長崎県の県立高校は高校野球にとどまらず、スポーツにかなり力を入れているのだろうか。
高校サッカーで言えば、言わずと知れた国見が何度も全国優勝して圧倒的な存在感を放っている。
高校ラグビーでは、長崎北と長崎北陽台が交互に花園出場して、常に上位進出している。
ちなみに、ラグビートップリーグで最も多いのは県立佐賀工の出身者である。
特待生だ私学優位だと言われるこのご時世に、なぜ長崎や佐賀では県立校が多くの人材を輩出しているのだろうか。
あるいは、佐賀や長崎に限らず、九州は人材の宝庫なのかも知れない。
芸能人を見ても、九州人が実に多いではないか。
九州人は、プロスポーツや芸能人に最も適した人種なのだろうか。
最後に、あるプロ野球スカウトのマル秘情報をお教えしよう。
この法則にのっとれば、まずハズレはないそうである。
「私は同じ力量の選手を見るとき、片方が九州出身者なら、迷わずそちらを選びます。根拠はないのですが、九州出身者は大成する確率が高いのです」