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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

「宇宙戦艦ヤマト」待ちぼうけ通信問題

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先日、ネタランでは「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」で、有り得ない事象があった、と書いた。

二連星の兄弟星であるガミラス星を失ったイスカンダル星が、暴走して光速まで達することは不可能だ、ということである。

 

aigawa2007.hatenablog.com

 

この世で最も速いのは光で、秒速約30万km(正確には299,792,458m)だ。

しかし、このスピードでは地球から14万8千光年離れたイスカンダルに、ヤマトは1年で往復できない。

何しろ、光でも往復で29万6千年もかかってしまうのだ。

そこで、ヤマトは超光速航行である「ワープ」を利用して、1年以内での地球~イスカンダル間の往復を実現させている。

ワープの基本的な原理と、なぜ光以外の物体は秒速約30万kmを実現できないのかについては「イスカンダルの暴走」を参照していただきたい。

ワープは現在、実現不能とされているが、これを否定してしまうと「ヤマト」という作品が成り立たないので、本稿では実現できるものとしている。

 

その点は差し引いても、やはり「ヤマト・シリーズ」はツッコミどころ満載だ。

その中で、我々が当たり前のように感じていることでも、実際には起こり得ないことを紹介する。

 

ヤマトの艦橋には大パネルがあって、そこには地球にいる司令長官の顔が映し出され、沖田艦長と会話をするという、「ヤマト」ではお馴染みのシーンだ。

昔「ヤマト」を見ていた頃、未来の世界では映像を見ながら会話できるんだ、と思っていたが、それが現在では実現している。

Skypeなどのテレビ電話では、我々は普通に相手の顔を見ながら会話をしているではないか。

まるで、そこに相手がいるかのようである。

21世紀初頭でテレビ電話が実現しているのだから、それから約200年後の西暦2199年に司令長官と沖田艦長が大パネルで会話をしても、何の不思議もない。

ところが、これが盲点で、実際には有り得ないことなのだ。

 

ファースト・シリーズでヤマトは、冥王星にあるガミラス基地を破壊する。

その後、アステロイドベルトでヤマトを追ってきたガミラス残存艦隊を打ち破り、遂に太陽系にはガミラス艦隊がいなくなった。

ステロイドベルトとは小惑星帯のことで、火星と木星の間にあるものが有名だが、「ヤマト」世界では他にも第10番惑星の残骸として存在する。

ちなみに「ヤマト」放送時点では、冥王星はまだ第9番惑星であり、準惑星には“降格”していなかった。

したがって、アステロイドベルトは冥王星の外側にあると思われるが、冥王星だって海王星の軌道よりも内側に来ることがあるので、一応ここでは冥王星付近としておく。

 

太陽系には敵がいなくなり、いよいよヤマトはイスカンダルに向けて大ワープするときが来た。

そうすると、太陽圏から遠く離れることになり、地球とはもう交信はできない。

そこで沖田艦長は、乗組員に対し、1人につき5分間だけ地球にいる家族との映像交信を許可した。

 

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当然、通信には電波が使われる。

電波のスピードは、光と同じで秒速約30万km。

つまり、電波の速度だって無限ではなく、限りがあるのだ。

 

ちなみに、光と電波というのは波長が違うだけで、どちらも電磁波の一種である。

目に見える光、つまり可視光線よりも波長が長くなると見えなくなり、最も長いのが電波だ。

電波よりやや波長が短くなると赤外線になり、コタツやリモコン、暗闇でも写るカメラなどに使われる。

それより波長が短いのが可視光線で、さらに短くなると再び見えなくなり、それが肌や髪などの敵となる紫外線だ。

紫外線よりも短くなると、レントゲンなどで使われるエックス線となり、最も波長が短い電磁波はガンマ線である。

つまり、波長が短い電磁波から順に現すと、以下のようになるわけだ。

 

【短】ガンマ線→エックス線→紫外線→可視光線→赤外線→電波【長】

 

要するに、電磁波の中でも目に見える光はほんの一部ということだ。 

さて、「ヤマト・シリーズ」を見ていると、太陽系で起こる出来事など地球からごく近くに感じる。

ところが実際には、冥王星などはとてつもなく遠いのだ。

地球から冥王星までの距離は約48億kmで、現在の惑星探査機では約9年半もかかる。

電波の速度は光と同じ秒速約30万kmなのだから、通信するためには片道約4時間半もかかってしまうのだ。

つまり、往復だと約9時間である。

 

冥王星近くにいるヤマト乗組員が、地球にいる家族に向かって「母さん、元気?」などと語り掛けても、地球でその映像を受け取るのは約4時間半後。

4時間半後に映像を見た母親が「あたしゃ元気だよ」と言って、ヤマトが受信するのは、ヤマト乗組員が語り掛けてから約9時間後になるのだ。

こんな悠長な会話では、114名もいるヤマト乗組員に対して、とても「1人5分間」などと言っていられない。

1回の応答だけ許可しても、114名×9時間=1026時間≒43日、もかかってしまう。

地球上でのテレビ電話にタイムラグが生じないのは、電波のスピードが1秒間で地球を7周半もするからだ。

つまり、テレビ電話で電波に時間差がないと感じるのは単なる錯覚であり、宇宙空間での交信ではタイムラグが生じるのは当たり前で、たとえば地球と太陽との交信では片道8分19秒もかかる。

 

そう考えると、スターシャの妹であるサーシャが、通信を使わずにわざわざ14万8千光年も彼方のイスカンダルから、地球へ通信カプセルを届けに命懸けでやって来た理由も判る。

メッセージや波動エンジンの設計図なら、データを送れば済むだろうと思っていたのだが、実際にそんなことをすると14万8千年もかかってしまうのだ。

しかし、直接サーシャが行けば、ワープ航法で通信よりも遥かに早く地球まで辿り着くことができる(実際には、サーシャは火星で息絶えた)。

この点、「ヤマト」では(珍しく)整合性が取れていたのだ。

 

でも、上の動画をよく見ると、沖田艦長は「既に我々は太陽系を突破し、前人未到の銀河の中に来ている」と言っているではないか。

既に太陽系を突破した?

即ち、ヤマトがいる場所は冥王星軌道よりも遥かに遠いということだ。

太陽系の範囲は解釈によって違うが、太陽系の果てが「オールトの雲(※1)」の端までと仮定すると、半径が約1.5光年にもなる。

つまり、この位置から地球と交信すると、片道で1年半もかかってしまうのだ。

1年半ということは、地球の滅亡まであと1年だったのだから(※2)、ヤマトから情報を発信して地球に届く頃には、既に全人類は絶滅していることになる。

太陽系の果てから、地球との交信なんてやっている場合ではないのだ。

(※1……「オールトの雲」には無数の彗星や小惑星があると考えられており、この辺りまでが太陽の重力圏内と言われている。ちなみに、太陽に一番近い恒星はプロキシマ・ケンタウリで、太陽から約4.2光年の距離)

(※2……ガミラスが無数に落とした遊星爆弾により、地球は放射能に侵され、人類絶滅まであと1年と計算されていた)

 

ところが、14万8千光年を一気に飛び越える交信をしていた星があった。

他ならぬガミラスである。

デスラー総統やヒス副総統はガミラス本星から、太陽系にいるシュルツに対して、映像通信により命令していた。

ガミラスイスカンダルは二連星なので、イスカンダルと同じく太陽系から14万8千光年の彼方にある。

それでも、14万8千光年の距離などものともせず、ガミラス本星と太陽系で全くのタイムラグもなく会話をしているではないか。

ヤマトはワープでも、月から火星へ行くのに1分以上もかかっているのに、ガミラスは14万8千光年の距離を時間差なく交信しているのである。

普通なら、デスラー総統が「ヤマトを撃墜せよ!」と命令しても、太陽系にいるシュルツがその命令を受け取るのは、14万8千年後なのだ。

ちなみに、人類が日本列島に足を踏み入れたのは約12万年前とされているから、14万8千年前と言えばそれよりも約3万年も前、旧石器時代よりも遥か前である。

電波はワープなどできないだろうに、恐るべしガミラスの科学力。

たとえ超光速通信が可能だとしても、通信速度にも限界があるはずなのに、ガミラスブラックホールのように時を止めることができるのか?(※3)

(※3……一般相対性理論によると、膨大な重力のブラックホール内では、時間がほとんど止まった状態と考えられている)

 

しかも、ガミラスドメル将軍は、ヤマト乗組員の心を乱すために、太陽系から遥か遠く離れていても地球との交信を可能にするリレー衛星を、ヤマトの背後に置くという罠を仕掛けた。

つまり、暴動が起きている地球の現状をヤマトに知らせ、イスカンダルへの旅を諦めさせようという策略である。

実際に、通信班長の相原はドメル将軍の罠にはまりかけた。

この時、ヤマトと地球との距離は7万光年。

それでも、ガミラスのリレー衛星のおかげで、前述の太陽系の外縁以来となる、地球との交信が可能になったのだ。

もちろん、7万光年の距離を経ても、交信にタイムラグは起こらない。

 

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ガミラスの罠に気付いた相原と古代進は、リレー衛星を破壊する。

しかし、なぜ破壊したのだろう?

ガミラスの罠だと判ったのだから、今度はリレー衛星を地球と交信するために利用すれば良いではないか。

地球の科学力では、太陽系を離れると地球との交信は不可能だが、ガミラスだったら14万8千光年の距離でもタイムラグなく交信できる。

罠にかかったままのふりをして、ガミラスのリレー衛星をヤマトの背後に付けさせておけば、地球に対しヤマトはイスカンダルに近付いていることを報告できるし、ヤマトの現状を把握すれば地球での暴動も収まるに違いない。

しかし、罠にはまったことがよほど悔しかったのか、相原と古代はリレー衛星を破壊してしまった。

筆者が沖田艦長だったら、相原と古代をパンツ一丁でヤマト艦内を走らせるだろう(※4)。

(※4……「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」で、艦長代理となった古代進は、訓練中にヘマをした新人隊員の北野と坂本に対し、ヤマト艦内をパンツ一丁で走らせるという、「ヤマト」の時代から約200年前の21世紀初頭でも間違いなくパワハラと認定されるような罰を与えた)

(※番外編・その1……古代進は18歳なのに、沖田艦長は酒を呑ませていた。これは法律違反ではないのか?もっとも、2199年の法律では、18歳は酒を呑んでも良いことになっているのかも知れないが)

(※番外編・その2……この頃の相原が、古代に対して「貴様」と言っていることが気になる。後のシリーズでの相原は、古代に対して敬語なのに)