今年(2014年)の11月5日、「後(のち)の十三夜」という珍しい現象が見られた。
普通、名月というと旧暦8月15日のいわゆる「十五夜(中秋の名月)」と、旧暦9月13日の「十三夜」の2回がある。
今年の場合、「十五夜」はスーパームーンと重なった9月8日、「十三夜」は10月6日(その2日後に皆既月食があった)に訪れた。
ところが、今年は旧暦の9月に閏月(うるうづき)が挿入されたため、前述の「後の十三夜」が現れたのだ。
つまり、今年は3回も名月があったのである。
旧暦ならではの現象だが、「後の十三夜」が現れるのはなんと171年ぶりだという。
そのため、今回の「後の十三夜」のことをミラクル・ムーンと呼んでいるようだ。
171年前といえば江戸時代後期の1843年で、翌年の1844年に天保の改革が行われている。
ペリーが浦賀にやって来たのがその10年後の1953年で、日本は鎖国を解かざるを得なかった。
ついでに言えば、アメリカではまだベースボールというスポーツは誕生しておらず、その原型となったタウンボールが行われていた。
最初のクラブチームと言われるニューヨーク・ニッカーボッカーズは、その前年の1842年に結成されている。
「中秋の名月」とスーパームーンが重なったり、「十三夜」の2日後に皆既日食が起こったり、171年ぶりの「後の十三夜」が現れたりと、今年はお月様の当たり年のようだ。
現在の暦は太陽の動きを基にした太陽暦(グレゴリオ暦)を使用しているが、江戸時代以前の日本では月の満ち欠けによる旧暦、つまり太陰太陽暦で月日を表していた。
考えてみれば、太陽の動きより月の満ち欠けの方が月日の流れを実感しやすいが、閏月が頻繁に挿入されるという不便な面もある。
そのため、現在では日本を含む世界各国が太陽暦(グレゴリオ暦)を採用している。
でも、太陰太陽暦のおかげでミラクル・ムーンを堪能できるのだから、それはそれでロマンチックなものだ。
前回の皆既月食の時は、写真撮影の際に手ブレしたので苦労したが、今回は三脚を使用したので、手ブレせずに済んだ。
実は今日、夕方から夜にかけて雨が降っていて、止んでからも厚い雲に覆われていたので観測は無理かなと思っていたのだが、22時頃に「奇跡的に」束の間の晴れ間が出たため、無事に撮影することができたのである。
それでは、今宵の「奇跡の月」を堪能してもらいたい。
太陽に見間違うほどの月の輝き。雲が月光に反射して、まるで昼間のようだ
もう少しズームしてみよう。ムショから出てきたばかりの男なら「シャバの月はやけに眩しいぜ」などと言うのだろうか?
光学40倍ズームでのミラクル・ムーン。月齢12.5で、正確には満月ではない