日本国の内閣総理大臣である安倍晋三君が辞任を表明した後、次期首相は麻生太郎君が就任すると見られていたが、福田康夫君が自由民主党総裁選への出馬を表明して情勢は一気に変わった。
しかし、事実上の次期首相を決める選挙にもかかわらず、今回の総裁選ほど緊張感のない選挙はない。
なぜなら「誰が選挙で勝つか」が焦点ではなく、「誰が出馬するか」によって勝敗が決まってしまったからだ。
ハッキリ言って、麻生君に勝ち目はない。
国王は当然のことながら選挙とは無縁の人生を送っているのだが、投票しなくても選挙となるとワクワクするし、選挙番組がいちばん好きなテレビ番組でもある。
自民党の総裁選のときには、金を払って自民党員になり（数千円の会費を払えば自民党員になれるそうである）、総裁選に投票しようか、と思ったくらいだ。
さすがに他国の国王たる立場、そこまではできなかったが。
ましてや今回の総裁選、安倍君の突然の辞任のために急遽行われるので、自民党の国会議員と限られた地方議員以外に投票権はない。
これでは一般の自民党員に「私の一票が一国の首相を決める」という楽しみが奪われてしまう。
結果がわかっているのなら、「密室政治」と言われようと、無駄な選挙はやめてとっとと福田君を総裁にすればいいではないか。
ただでさえ、始まったばかりの国会は開店休業状態である。
いくら与党とはいえ、日本国民をないがしろにして、党の都合を振りかざすのは横暴ではないか。
ただ、自民党の実情を考えると、本当に福田君でいいのかどうかはちょっとわからない。
おそらく来るであろう衆議院の解散・総選挙となると、本当に福田首相で自民党は勝てるのか。
政策のことはわからないが、少なくとも現時点では麻生君の方が日本国民には圧倒的人気がある。
もちろん、福田君が政治的手腕を発揮すればいいのだが、日本国民の人気を得られるかどうか。
でも、民主党代表の小沢一郎君は福田君をもっとも警戒していて、そのあたりが福田君擁立に当たったのかもしれない。
もし解散・総選挙になって、自民党が敗れるようなことになると、自公連立政権は確実に崩壊する。
与党ではない自民党など、公明党にとっては協力する価値など全くないからだ。
むしろ公明党は、今度は民主党と組むかもしれない。
先の参院選後に民主党の小沢君は雲隠れしたが、どうやら創価学会のある大物と接触していたらしい。
となると、「民公」連立政権が誕生するか！？
しかし、自民党がこのまま引き下がるとは思えない。
もし「解散・総選挙が行われて」さらに「自民党が惨敗」すればの話だが、以下の二つの推測が成り立つ。
（１）については、もっともありえる話である。
以前は「自自公連立政権」もあったし、それが復活するだけの話だ。
ただし、日本国民の民意が得られるかどうか。
今の日本国民は「二大政党制」を望んでいて、今まで対立していた自民党と民主党が我がの都合で手を組むとなれば有権者も納得しないだろうし、創価学会に対するアレルギーも大きい。
（２）の可能性については、解散・総選挙で自民党が与党から転落して野党に成り下がった場合、という条件がつく。
政権与党ではない自民党など、もはや自民党ではないのだ。
野党である自民党にはなんの魅力もなく、各派が分散してしまうのは目に見えている。
その際にカギを握るのはそう、あの男である。
元日本国内閣総理大臣、小泉純一郎君だ。
小泉君は未だに日本国民からの圧倒的人気を得ていて、しかも自民党内からも根強い待望論がある。
しかし、今回の総裁選出馬の要請には耳を全く貸さなかった。
小泉君は頭が切れる男だ。
今、総裁選に出ても、いずれは国民から反感を買う、そう計算したのだろう。
わかりやすい言葉で国民から絶大なる人気を得て、ボロが出る前に身を引いて安倍君に尻拭いをさせ、自らは政界復帰のチャンスを窺う……。
さすがに小泉君は大した謀略家だ。
本当に自民党を「ぶっ壊して」しまったのである。
「小泉新党」の結成も、決して夢物語ではあるまい。
いずれにしても今度の総裁選は福田君が勝つだろうから、ネタラン国王としては今から人脈を築いておくか……。
