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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

2015関西ラグビーリーグナインズ

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8月23日、近畿大学ラグビー部グラウンドで2015関西ラグビーリーグナインズの大会が行われた。

近大ラグビー部と言えば、2015年現在では関西大学Aリーグに所属し、全国大学選手権にも出場したことがある強豪だが、この大会は近大ラグビー部とは関係がない。

なぜなら、近大ラグビー部のラグビーとはラグビー・ユニオンのことで、今回行われたのはラグビー・リーグという全く違うスポーツだからだ。

 

日本で盛んに行われているのは前述したラグビー・ユニオン(以下:ユニオン)で、花園での高校ラグビートップリーグなど15人制のラグビーだ。

なお、リオデジャネイロ・オリンピックから正式種目となる7人制ラグビーもユニオンの一種である。

 

それに対しラグビー・リーグ(以下:リーグ)とは13人制のラグビーで、ルールがユニオンとは異なる。

「全く違うスポーツ」と先述したが、元々は同じラグビーで、ユニオンから分家したのがリーグだ。

そのため「前にパスしてはいけない」「ボールより前にいる選手がプレーしたらオフサイドの反則」などの共通点も多いが、ユニオンを見慣れた日本人から見れば、リーグはとても奇異に映る。

ユニオンとリーグの主な違いは以下の通り。

 

①リーグにもユニオンと同じくスクラムはあるが、ユニオンと違って押し合うことはほとんどなく、またラインアウトもない。

②リーグには、ユニオンではお馴染みのモールやラックなどの密集プレーがない。つまり①と合わせて、ユニオンにおけるフォワード(FW)のプレーがほとんどない。

③ユニオンと違って攻撃側と守備側に分かれており、タックルが成立するとプレーが止まって新たな攻撃がスタート。6回攻撃して得点を取れなかったら攻撃権が相手側に移るという、アメリカン・フットボール的要素がある。

④得点方法はユニオンと同じだが、トライ4点(ユニオンでは5点)、コンバージョン・ゴール2点(ユニオンも同じ)、ペナルティ・ゴール2点(ユニオンでは3点)、ドロップ・ゴール1点(ユニオンでは3点)などの差異がある。

 

もっと詳しく知りたい方は、以前に書いた「地球上にもうひとつの違うラグビーがあった」を参照していただきたい。

こうして書くと複雑そうに思えるが、実際にはリーグの方がルールは簡単で、初心者にはとっつきやすい。

たとえば、オーストラリアはユニオンでも世界最強国の一つに数えられるが、国内ではユニオンよりもリーグの方が人気は高いぐらいだ。

 

最近ではユニオンとリーグを掛け持ちする選手も多く、日本のパナソニック・ワイルドナイツでプレーしたこともあるソニービル・ウィリアムズニュージーランド出身)は、元々リーグのスーパースターだった(ちなみに、この選手はヘビー級ボクサーでもある)。

また、神戸製鋼コベルコスティーラーズに所属するクレイグ・ウィング(オーストラリア出身)など、元々はリーグの選手ながら日本でユニオンを始め(NTTコミュニケーションズ・シャイニングアークス)、今秋イングランドで開催されるユニオンのワールドカップに日本代表選手として出場が濃厚だ。

 

さて、僕自身はリーグを観戦するのは今回で2回目である。

初めて行ったのが2年前、追手門学院大学で行われた7人制の大会だ。

今大会は「ナインズ」の名の通り9人制で、リーグでは13人制以外でも盛んに行われている試合形式である。

ユニオンで言えば7人制のセブンズのようなものだ。

 

試合は夕方5時過ぎから始まるということで、5時頃に近大ラグビー部グラウンドに到着した。

人工芝で、ナイター照明もある立派なグラウンドである。

もちろんユニオン仕様で、リーグとはラインの引き方が異なるが(リーグではゴールラインと平行に10m間隔でラインが引かれている)、そのまま試合しても特に支障はない。

 

グラウンドに入ると、日本ラグビーリーグ協会(JRL)代表のKさんが僕を見つけ、出迎えてくださった。

実は、今回僕が行くことを、2年前の大会でお会いした協会理事の方に知らせていて、その理事の方はKさんに僕のことを伝えてくださったのだ。

とはいえ、Kさんとは初対面なのに、どうして僕とわかったのだろう?

 

 今大会の参加チームは3チームを予定していたが、怪我を考慮して参加選手の割り振りを変え、結局2チームとなった。

一つは「関西雷」というチームで、もう一つは混成チーム(West Mix)だそうである。

この両チームで7分ハーフ(計14分)の試合を3試合行う。

関西雷は外国人選手が多く、リーグ中心のチームのようだ。

ただ、Kさんによると今大会の参加者にはリーグ専門の選手はいなくて、ユニオンとの掛け持ちがほとんどらしい。

しかし、リーグ初心者はいないそうだ。

 

近大グラウンドには小規模ながらスタンドがあり、そこに腰を掛けた。

スタンドは西側に設置され、夕陽は校舎に遮られているから影になり、実に涼しい。

2年前の追手門では、梅雨明けの7月下旬で、しかも真っ昼間に行われたので、暑くてかなわなかった。

でも今回は、心地よく観戦できそうだ。

 

しかし、選手たちはそうもいくまい。

ラグビーといえばウィンター・スポーツというイメージが強いが、リーグはユニオンと違ってサマー・スポーツ。

だが、ユニオンのような密集プレーがないとはいえ、リーグの選手たちは暑くないのだろうか?

 

同じスタンドには女性が3人いた。

どうやら関西雷の選手たちの関係者らしい。

一人の女性は三脚にビデオカメラを設置していたから、試合の録画記録を頼まれていたのだろう。

 

試合開始前、どこからか「ナガオカさん!」という声が聞こえてきた。

ナガオカさん……。

リーグでナガオカさんというと、あの長岡法人さんではないか?

長岡さんと言えば、ユニオンの本田技研鈴鹿(現:ホンダ・ヒート)でプレーし、日本代表にも選ばれたが、その後はリーグに転向して日本代表(サムライズ)入りし、史上初めてユニオンとリーグ両方の日本代表に選出された選手だ(その後、沖土居稔選手も達成)。

後でKさんに確かめたところ、やはりあの長岡さんだった。

なんでも現在は関西に住んでいるらしい。

だが、この日は所用のため途中で帰ったそうだ。

 

試合が始まった。

試合開始および後半開始のキックオフは、プレース・キックで行うらしい(ユニオンではドロップ・キック)。

得点後は、得点された側のタップ・キックでリスタート(ユニオンではドロップ・キック)。

ゴール・キックはドロップ・キックで、これはユニオンの7人制と同じだ。

また、スクラムは行わない。

 

試合を見ていると、ユニオンのつもりで見てしまうので、どうしても戸惑ってしまう。

タックルが成立すると、ユニオンではラックを形成する場合が多いが、リーグではそこでプレーが止まってしまい、両軍の選手はその場から離れる。

そして、攻撃側の選手がボールを足で掻き出して後ろの選手に渡し、そこからプレーが再開する。

これをプレイ・ザ・ボールといい、リーグの試合はほとんどがこの繰り返しだ。

 

リーグにおけるプレイ・ザ・ボール。敵とは組み合わない「1人ラック」のような感じだ

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リーグでの試合の流れ。タックルが成立するとプレーが止まり、プレイ・ザ・ボールで試合を再開する

www.youtube.com

 

 動画を見ればわかるように、タックルしてボール・キャリアが倒れるとタックル成立、プレイ・ザ・ボールから試合が再開する。

なお、倒れずにボール・キャリアが立ったまま動かなっても(ユニオンでのモールのような感じ)、タックルは成立したとみなされるようだ。

 

つまり、リーグではユニオンのようなボールの争奪戦は行われないのだ。

それが、ユニオンを見慣れた人にとっては物足りないと感じる場合もある。

しかし、ラグビー(ユニオン)で一番わかりにくいのがラックやモールといったボールの争奪戦だとも言われ、その意味ではリーグはユニオンよりもわかりやすいとも言えるのだ。

 

鋭いタックルが突き刺さる。迫力あるタックルはリーグ、ユニオンを問わず、ラグビーの華だ

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ユニオンのような力比べはないが、リーグでは華麗なオープン攻撃がユニオンよりも多く見られる。

また、キックは攻撃権を放棄してしまうしまうので、リーグではユニオンほど多くは使わない。

なにしろ、6回のうちに得点しなければ攻撃権を失うのだから、できるだけ少ない回数で、しかも攻撃権を失わずに、敵陣ゴールに近付く必要があるのだ。

タックルされても、倒れる前に味方へパスを出す、いわゆるオフロード・パスも有効な手段である。

ユニオンのように何度もラックを連取して、フェイズを重ねるというわけにはいかない。

 

また、タックルのたびにいちいち試合が止まると言っても、アメフトのハドル(攻撃前に20秒程度行う作戦会議)のようなものなどないから、試合のブツ切れ感はない。

試合が止まってもすぐにプレイ・ザ・ボールから始まるので、試合自体は流れている。

このあたりがオーストラリアでリーグの人気がある秘密だろう。

スピードと個人技のリーグ、パワーと組織力でユニオン、豪快さではオーストラリアン・フットボール(オージー・ルールズ)といったところか。

 

今大会でのトライシーン。トライの仕方はリーグもユニオンも全く同じ

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1試合、2試合と終えたが、さすがに関西雷は強く、West Mixに2連勝。

始まったのが夕方5時過ぎなので、かなり暗くなってきた。

ところが、6時半になっても照明が灯らない。

後で知ったことだが、どうやらグラウンドを借りた人が点灯の仕方がわからなかったようだ。

なにしろ、リーグとは全く関係ない大学のグラウンドを借りている身である。

こう暗くなると、カメラの感度はいいのだが、止まっている写真は何とかなっても、被写体が動いていると焦点が合わずにブレてしまい、いい写真は撮れなかった。

フラッシュはプレーの邪魔になるので焚くわけにはいかない。

実は上記のトライシーンの写真も、かなり暗くなってから撮ったもので、そのためピンボケになっている。

ただ、選手たちは野球と違って大きなボールを扱うので、なんとかプレーできたようだ。

 

夕闇の中、無事に全試合が終了した。

第3試合はWest Mixが意地を見せて勝ったものの、結局は関西雷が2勝1敗で優勝となった。

去年も関西雷が優勝したそうで、今年で2連覇である。

 

大会が終わり、両軍の選手による記念撮影

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閉会式終了後にKさんと少し話したが、やはり関西ではまだまだリーグは浸透していないとのこと。

今大会も本当は4チームの参加を予定していたが、チームや選手が集まらなかった。

おそらく、ユニオンをプレーしていても、リーグの存在なんて知らない選手も多いだろう。

関西はラグビーが盛んな土地だが、それが却ってリーグの発展を遅らせているのかも知れない。

いや、関東でも最近ようやく認識され始めたぐらいで、なかなか運営も大変なようだ。

 

特に、休日でのグラウンドの確保も難しいに違いない。

今回のように(照明が点かなかったとはいえ)ナイトゲームを想定すれば、照明設備のあるグラウンドが必要だが、そんな場所はそうそうないだろう。

関西では設備が整った大学のグラウンドを借りるしかないのではないか。

ちなみに一昨年は前述のように追手門学院大学グラウンド、去年は京都大学宇治グラウンドで行われたそうだ。

 

環境は厳しいが、それでも日本ラグビーリーグ協会はリーグの普及と、日本代表たるサムライズの強化を目指している。

今年の4月には、東京でタイ代表とのテストマッチも行った。

日本でも、ユニオンとリーグの日本代表を掛け持ちするような選手が出て来ると面白い。

 

15人制専門の選手よりも、7人制(セブンズ)日本代表の選手の方が可能性はありそうだ。

同じユニオンでも、7人制だと密集プレーが少ないのでプレースタイルとしてはリーグと似ており、リーグに適応できる選手が多いに違いない。

実際に、サムライズに選ばれてタイ代表とのテストマッチで大活躍したジェイミー・ヘンリー選手(キャピタル・ジャイアンツ、立正大学出身)は、ユニオン7人制日本代表の選手でもあった(ニュージーランド国籍のため現在はセブンズ代表から外れているが、日本国籍を取得すれば代表復帰も有り得る)。

 

もし掛け持ち選手が現れて、セブンズ日本代表がリオデジャネイロ・オリンピックに出場したとすると、オリンピック選手がリーグでプレーすることになるわけだ。

そうなると、日本でもラグビー・リーグの認知度が高まるだろう。

実にワクワクする話ではないか。

 

2013年にオーストラリアで行われた、サムライズ×ポルトガル代表のテストマッチ

www.youtube.com

  

今年(2015年)4月29日、東京で行われたサムライズ×タイ代表のテストマッチ

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満員の観衆を集める本場オーストラリアのプロ・ラグビー・リーグ「NRL」。プロ化されたのはユニオンよりもリーグの方が遥かに早かった

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