ラグビーマガジン(ベースボール・マガジン社)の2016年6月号の98ページに、筆者が撮影した写真が掲載された。
ラグビーマガジンでラグビー・リーグの試合が載るのは当たり前ではないか、と思われるかも知れないが、そうではないのだ。
ラグビー・リーグとは、ラグビーのリーグ戦ではなく、五郎丸らがプレーしている15人制(あるいは五輪種目となった7人制)のラグビーとは全く別の競技。
ちなみに、15人制や7人制のラグビーは、正式にはラグビー・ユニオンという。
これに対し、ラグビー・リーグは13人制で、日本ではほとんど知られていない。
しかし、オーストラリアのラグビー・ユニオン(ワラビーズ)は昨年(2015年)のワールドカップで準優勝するなど強豪国だが、人気ではラグビー・リーグの方が上だ。
昨年のワールドカップで、ラグビー・ユニオンの日本代表が優勝候補の南アフリカ代表(スプリングボクス)を倒すなど3勝1敗の好成績でラグビー・フィーバーを巻き起こし、地上波テレビの全国ネットではこぞってラグビーを取り上げた。
そんな番組では、世界のラグビーを紹介するVTRも流れたが、中にはラグビー・リーグの映像も含まれていた。
おそらくテレビ関係者は、ラグビー・ユニオンとラグビー・リーグの違いなんて知らなかったのだろう。
それどころか、ラグビー界の重鎮である某元総理なんて、ラグビー・リーグの存在など知らないに違いない。
それに対し、ラグビー専門誌のラグビーマガジンは、当然のことながらラグビー・リーグのことを知っている。
にもかかわらず、ラグビー・リーグのことが掲載されることはほとんどない。
なぜだろうか?
ラグビー・ユニオンとラグビー・リーグは、ある意味では商売敵でもある。
日本ではその意識は薄いが、海外では露骨だ。
先述したオーストラリアでは、ラグビー・ユニオンとラグビー・リーグは熾烈な興行戦争をしているし、選手の引き抜き合いもある。
たとえが適切かどうかはわからないが、ジャイアント馬場vsアントニオ猪木時代の全日本プロレスと新日本プロレスのようだ。
日本では、ラグビーマガジンに寄稿しているライターは、時々ラグビー・リーグについて触れている。
なぜなら、日本で活躍する選手に、ラグビー・リーグ出身者が少なくないからだ。
たとえば、日本でもプレーしたニュージーランド代表(オールブラックス)のソニー・ビル・ウィリアムズがそうだし、日本代表にも選ばれたクレイグ・ウィングもラグビー・リーグ出身、そして7人制日本代表のジェイミー・ヘンリーはラグビー・リーグと掛け持ちである。
そのため、ラグビーマガジンのライターはJ-SPORTSのラグビー中継で解説をしていることもあり、ラグビー・リーグについても勉強する必要があるのだ。
それでもやはり、ラグビーマガジンとは、ラグビー・ユニオンの雑誌である。
ラグビー・リーグについては、なかなか取り上げてもらえない。
「週刊ベースボール」に、クリケットの記事を寄稿しても相手にされないのと同じだ。
そこで、筆者は一計を講じた。
ラグビー・ユニオンとは全く違う、ラグビー・リーグのプレーの写真をラグビーマガジンに送れば、取り上げてくれるのではないか?
そして、ラグビー・ユニオンでは有り得ない、ラグビー・リーグ独特の「プレイ・ザ・ボール」の写真を送ったのである。
ラグビー・リーグでは、ラグビー・ユニオンのようなラックやモールといった密集プレーが無いので、ほとんどのセットプレーがプレイ・ザ・ボールから始まるのだ。
ラグビー・リーグ独特のプレイ・ザ・ボール
果たして、このシーンの写真がラグビーマガジンに掲載された。
ようやくラグビーマガジンでも、ラグビー・リーグが認知されたということか。
これをきっかけに、ラグビー・リーグをプレーしたい人が増えれば、望外の喜びである。
なお、ラグビー・リーグにも日本代表があり、愛称をサムライズといって、もちろんテストマッチも行われている。
ラグビーマガジンで、サムライズのことを取り上げて欲しいものだ。
ラグビー・リーグの「関西雷×名古屋バーバリアンズ」の試合についてはこちら↓