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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

ポストシーズン

海の向こうのアメリカではMLB(メジャーリーグ)のディビジョン・シリーズ(5回戦制、3戦先勝)が始まった。
ナショナル・リーグでは、コロラド・ロッキーズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスという、共に西地区、共に新興球団の両チームが3連勝でリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ(7回戦制、4戦先勝)に進出した。
一方のアメリカン・リーグは、老舗球団のボストン・レッドソックスがやはり3連勝でリーグ・チャンピオンシップに進出。
残る一つの椅子を巡って、クリーブランド・インディアンズニューヨーク・ヤンキースが激突。
現在のところ、インディアンスの2勝1敗。
名門中の名門・ヤンキースが剣が峰でこらえているところだ。
インディアンス×ヤンキースというと、映画「メジャーリーグ」を思い出す。
この頃はまだリーグ三地区制ではなく東西二地区制で、インディアンス、ヤンキースとも東地区に所属していた。
両者は地区優勝を目指し最終戦まで同率、優勝決定戦で弱小のインディアンスが強敵・ヤンキースを破るというストーリーだった。
この頃のMLBにはワイルドカード(地区2位のうち、最高勝率のチームがディビジョン・シリーズに進出する制度)がなく、地区優勝しなければプレーオフリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ)に出場できなかった。


一方、日本でもNPB(日本プロ野球)のパシフィック・リーグでクライマックス・シリーズが始まった。
クライマックス・シリーズ第一ステージの第一戦は千葉マリンスタジアムで今日行われ、パ・リーグ2位の千葉ロッテマリーンズが同3位の福岡ソフトバンクホークスを8−4で破った。
第一ステージは3回戦制で先に2勝すれば第二ステージ(5回戦制、3戦先勝)進出し、リーグ優勝チーム(今年のパ・リーグ北海道日本ハムファイターズ)と日本シリーズ優勝を賭けて戦う。
この制度の原型が始まったのが2004年のパ・リーグ
人気回復策のため、これまでのレギュラーシーズンで優勝を争う制度を改め、上位3チームをプレーオフ進出できる制度を始めた。
つまり、2位チームと3位チームがプレーオフ第一ステージを3回戦制で戦い、2勝したチームが1位チームと第二ステージで5回戦制を戦い、3勝したほうがリーグ優勝、そして日本シリーズに進出できるという制度にしたわけだ。
レギュラーシーズン上位のアドバンテージとしては、プレーオフでは全ての試合を上位チームの本拠地で行うこと、引き分けがあって日程を終えても勝ち数が同じであれば、上位チームが次の段階に進出すること、などであった。


この制度の導入については当時も賛否両論が渦巻いたが、思った以上に盛り上がりをみせたため、今年からセントラル・リーグでも導入することになった。
方式はパ・リーグ初年度で行われた方式とほぼ同じだが、変わったのは名称が「クライマックス・シリーズ」になったことと、このクライマックス・シリーズの結果いかんにかかわらず、レギュラーシーズン1位の球団はあくまでもリーグ優勝ということだ。
つまり、今年の日本シリーズは、リーグ優勝チーム同士の戦いではなくなる可能性もある。


ここでは、クライマックス・シリーズの是非は問わない。
どの方法がいちばん正しいか、なんてことはないからだ。
従来のプレーオフなし、レギュラーシーズンだけで優勝を決め、両リーグの覇者によって日本シリーズを戦う。
これ以上の公明正大な方法はないだろう。
いや、もっと公明正大にしようとすれば、2リーグに分けずに、1リーグのみで総当たり戦をすればいい。
こんなに公平に、強いチームを決める方法はない。
しかしそれをすると、一チームが独走すれば消化試合が激増し、プロの興行としては見合わないコンテンツになるかも知れない。
これは2リーグ制にしても、プレーオフがなければ同様のことが考えられる。
考えられる、というより、そんなシーズンが実際に何度もあった。


そこで考えられたのが、近年のプレーオフ(クライマックス・シリーズ)制度である。
この制度の一番いいところは最後の最後までハラハラさせることだ。
どれだけゲーム差が離されても、ファンは最後まで楽しめる。
ファンの視点から考えると、プロの興行として最後まで飽きさせないという点では素晴らしい。
しかし、そこには重大な副作用を伴う。
言うまでもないことだが、レギュラーシーズンの価値が薄れてしまうことだ。
140試合ぐらい戦ってぶっちぎりの勝率を残したのに、最後のたった5試合で2勝3敗だったために日本シリーズの大舞台に立てないなんて、優勝チームにとってはやりきれないだろうし、ファンにも不公平感が残る。
さらに、勝率5割に満たない球団が日本一になる可能性もあるのだ。
そして今年のように、セ・パともデッドヒートを繰り広げれば、クライマックス・シリーズのありがたみがなくなる。
あの伝説の1988年10月19日、ロッテオリオンズ×近鉄バファローズの試合なんて、プレーオフがあったら伝説にはならなかった。
130試合戦ったからこそ、優勝の重みがファンにヒシヒシと伝わったのである。


このようにプレーオフ制度には一長一短があるわけだが、他の組織の制度も見てみよう。
まずは先に挙げたMLB。
MLB26球団がナ・リーグ12球団、ア・リーグが14球団に分かれていたときは、東西二地区制がとられていた。
そこで地区優勝したチームがプレーオフ(最初は5回戦制、後に7回戦制)に進出し、勝ったほうがリーグ優勝となる。
そしてリーグチャンピオン同士がワールド・シリーズ(7回戦制)で戦い、勝ったほうがワールドチャンピオン(本当は北米チャンピオン)になった。
26球団とチーム数は多いが、制度としては単純だ。
そのため、プレーオフがあるとは言っても消化試合が多いシーズンはいくらでもあったのである。
その制度が変わったのが1994年(ただし、この年はストのためポストシーズンゲームは行われず)。
球団数を増やし(現在は30球団)、両リーグを東・中・西の三地区に分け、プレーオフには各地区の優勝チームと、各地区の2位チームのうち最高勝率のチームを「ワイルドカード」として進出される、現在のシステムを採用した。
当然、このシステムには反発の声が大きく、この制度では長いレギュラーシーズンが無意味になってしまう、という声が大半だった。
しかし、MLBにはNFL(米プロアメリカンフットボール)やNBA(米プロバスケットボール)に対抗する制度が必要だった。
消化試合を増やせば、ファンはベースボールからソッポを向く、と。


NBAのシステムを見てみよう。
NBAの所属チームはMLBと同じく30球団。
そこで東西のカンファレンスに分かれ、その中でそれぞれ三つのディビジョンに分かれる。
ここまではMLBと非常に似たシステムだ。
しかし、ここからが大きく違う。
各地区の優勝チームがプレーオフに進出するのは当然だが、ワイルドカードとして優勝チームを除く勝率上位5チームがプレーオフに進出するのだ。
つまり各カンファレンス8チーム、両カンファレンス16チームにプレーオフ進出のチャンスがあるわけで、この数はNBA所属チームの半分以上。
レギュラーシーズンよりポストシーズンの戦い方のほうがずっと重要なのである。
これでは消化試合なんて激減するだろう。
もちろん、1位通過だとプレーオフの一回戦では8位通過のチームと戦うわけで、有利になることに違いはないが。
NFLもNBAほどではないにせよ、32球団中12チームがプレーオフに進出できる仕組みであり、MLBよりは遥かにレギュラーシーズンの価値は低いだろう。
NFLやNBAがこの方式で成功したのを見て、MLBが焦ってポストシーズン制度を充実したのは容易に想像がつく。


このあたりは野球というスポーツの特性が絡んで、一概にどの方法が良いとは言えない。
野球というのは、一試合では強弱をつけにくいスポーツだからだ。
だから短期決戦には向かないし、レギュラーシーズンで150試合前後の試合をこなさなければ強弱を判定しにくい。
これを論じればさらに長くなるので、ここでは割愛しよう。


過去にNPBで行われたプレーオフといえば、なんと言っても1973年からパ・リーグで採用された「前・後期制」だろう。
当時は一年間130試合制だったシーズンを二つに分け、65試合ずつで優勝を決めたのである。
前半65試合で勝率1位チームを前期優勝、後半65試合で勝率1位チームを後期優勝とし、この前後期優勝チームによりプレーオフ(5回戦制)を行い、3勝したチームがパ・リーグ優勝として日本シリーズに進出したのである。
この方式のメリットは、前期ペナントレース、後期ペナントレース、そしてプレーオフと、一つのリーグで三つの山場を提供できたことである。
恐らくこれは、米マイナーリーグで採用されていたのをヒントにしたのだろう。
そしてこの制度にはもちろん、デメリットもあった。
まず、日程調整が大変なことである。
前期と後期を分けるために、梅雨の時期にオフデイを増やし、梅雨が来る前になんとか前期の日程を終えようと、試合日程が集中した。
そこで40連戦なんてことも日程に組まれたのである。
もっとも実際は雨天中止があるのでそんな連戦は行われなかったのだが、選手の負担は急増した。
また、前期優勝したチームが、後期に手を抜くといったこともあったのである。
逆に、前期優勝したチームが後期も優勝してしまうとプレーオフが行われず、まさしく気の抜けたシーズンとなってしまった。


こうして前後期制は10年で廃止されたが、その後3年間、パ・リーグで実施された「幻のプレーオフ」制度は、あまり知られていない。
それは1983年からパ・リーグで導入されたプレーオフ制度で、「レギュラーシーズンで2位チームは1位チームに5ゲーム差以内ならプレーオフを行う。そこでプレーオフ5試合を行い、レギュラーシーズンとプレーオフを合わせて勝率を上回れば、2位チームが優勝となる」というものだった。
しかし、'83年は西武ライオンズ、'84年は阪急ブレーブス、'85年は再び西武と、いずれも2位以下を5ゲーム差以上の独走で優勝を決めてしまいこのプレーオフは行われず、無意味な制度として僅か3年で消滅してしまった。


現在のクライマックス・シリーズ制度はどこから来たのだろうか。
恐らく、KBO(韓国プロ野球)から来たと思われる。
1982年に発足したKBOは6球団でリーグ戦をスタートさせて、パ・リーグに倣って前・後期制をとった。
その後、7、8と球団数を増やし、現在に到っている。
一時期は2リーグ制をとったこともあったが定着せず、現在では8球団1リーグとなっている。
KBOではレギュラーシーズンを行った後、3位チームと4位チームが準プレーオフ(3回戦制)を行い、その勝者と2位チームがプレーオフ(5回戦制)を行い、その勝者が1位チームと韓国シリーズ(7回戦制)で韓国チャンピオンを決めるというシステムになっている。
つまり、レギュラーシーズンはあまり重要視されていない。


強者を決めるスポーツ大会とプロとしての興行、これをどう両立するかは永遠の課題である。