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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

都市対抗 in Osaka

11月1日、第82回都市対抗野球の決勝戦が京セラドーム大阪で行われ、延長11回の末、JR東日本(東京都)がNTT東日本(東京都)を2−1で破り、初優勝した。
史上初めて東京以外で行われた大会で、史上初めて東京勢の決勝対決となったのも何かの因縁か。


都市対抗と言えば、毎年夏に東京ドームで行われる、社会人野球最大の祭典だ。
社会人野球にはもう一つビッグタイトルがあり、それが毎年秋に京セラドーム大阪で行われる日本選手権である。
都市対抗と日本選手権の最大の違いは、補強選手制度があるか否か、だろう。
都市対抗では同地区の予選敗退チームから3名(以前は5名だった)、補強選手としてチームに加えることが出来る。
一方の日本選手権では補強選手制度はなく、そのため単独チームの日本一とは、即ち日本選手権優勝チームを指す。
とはいえ、歴史が長い都市対抗の方が、人気や認知度は高い。


都市対抗が始まったのは戦前の1927年(昭和2年)で、当初は明治神宮球場で開催され、1938年(昭和13年)以降はずっと後楽園球場(1988年からは東京ドーム)で行われてきた。
趣旨としては、アメリカのメジャーリーグは各都市ごとに球団があり、都市対抗のような形になっているので、日本でも都市対抗野球大会を開こうではないか、というもの。
そのため、当初の参加チームは「東京倶楽部」や「全大阪」など、都市名を冠したチームが多かった。
それがやがて、資金豊富な企業チームが台頭するようになり、現在では「都市対抗」というより「企業対抗」になっているのが実情だ。


例えば今年の決勝戦の場合は「東京都×東京都」であり、実際スコアボードにも「東京都vs東京都」と書かれていたが、誰もそんな見方はしないだろう。
あくまでのJR東日本×NTT東日本というのが一般的な見方だ。
そのため普通の新聞では企業名を先に書いて都市名をカッコ付きで書かれているが、主催の毎日新聞だけは都市名を先に書き、企業名はカッコ付きで書かれている。
主催者として、あくまでも都市対抗としての体を守ろうとする表れか。
ちなみに「東京都」というのは東京23区のことで、それ以外の地域では市町村名で呼ばれる。
例えばHonda熊本×日本通運の場合は、大津町×さいたま市、といった具合だ。


今年は東日本大震災の影響で節電の必要性を鑑みて、夏に東京で行われていた都市対抗を秋の大阪に場所を移し、日本選手権は中止にして都市対抗優勝チームを日本選手権優勝チームと兼ねる、ということになった。
こうして史上初めて、よほどのことがない限り今後もないであろう、都市対抗が東京以外の地で行われることになった。


しかし、都市対抗の認知度が高いと言っても、一般的にはあまり知られていなくて、あくまでも野球ファンにしか認知されていない。
いや、野球ファンと言っても普通のプロ野球ファンにもほとんど相手にされていないのが現状だ。
せいぜいドラフトで注目されている選手をテレビで見るぐらいだろう。
だが、社会人野球の最大イベントである都市対抗を生で観ない、というのはもったいない。
都市対抗を生で観戦する敷居は決して高くない、というより低過ぎるくらいだ。


まずは球場(例年なら東京ドーム、今年の場合は京セラドーム大阪)に行く。
球場の外には、その時に対戦する2チームの応援ブースが必ずあるので、黙ってそこに行けばよい。
するとその企業の社員でなくても、チケットと応援グッズ(はいらないけど)が渡される。
さらに、全てのチームかどうかはわからないが、1000円分の球場内食事券までもらえるのだ。
要するに、タダで野球が見られて、Mサイズのビール2杯もタダで呑めるわけだ。
もちろん下戸の人は、1000円分の弁当やホットドッグを食べてもいい。


こんな至れり尽くせりな話もあるまい。
ただし、席はやかましい応援団の真っ只中なのが玉にキズだが。
それと、このチケットは1試合のみ有効で、その試合が終わると応援団席の入れ替えが行われる。
とはいえ、試合が終われば球場外に出て、次の試合のどちらかのチームの応援ブースに行って、チケットをタダでもらえば済む話だ。
つまり、タダで何試合も見られる(準々決勝の場合は4試合!)という、かなりオイシイ野球観戦と言える。
良く言えばこんなファンサービスもないだろうし、悪く言えばチケットのばら蒔きだ。
ファンにとっては有り難いことだが、チケットのばら蒔きは重大な副作用をもたらす。
野球はタダで見るもの、という習慣が付いてしまえば、カネを払って野球を観に行く気がしなくなるからだ。


ではなぜ、こんなチケットのばら蒔きをするのだろう。
それには都市対抗の仕組みを知る必要がある。
「都市対抗に明日はあるか(横尾弘一・著、ダイヤモンド社)」という本によると、球場使用料などの諸経費は出場チームで分担し、1試合につき1チームの負担額は250〜300万円にものぼるそうだ。
その費用は現金で支払うのではなく、1枚700円のチーム券購入という形で支払うことになる。
このチーム券というのが、客にタダで渡されるチケットだ。
1試合に付きチーム券を4000枚、280万円分を買うのがチームの義務である。
決勝まで進出すると5試合行うわけだから、1400万円もかかることになる。
さらに1回戦に限り「特定シード」という枠があり、例えば集客能力の高い土日とか、平日でもナイターになる第3試合を希望した場合、15000枚のチーム券、即ち1050万円分を買わなければならない。
この経費を考えると、企業チームのほとんどが大企業という理由もわかるだろう。
例えば全国展開していない地方企業の場合、チーム券4000枚を購入したにもかかわらず、平日に社員を休ませるわけにもいかず、また土日であっても東京や大阪までの旅費や宿泊費を考えるととても応援団を動員できないため、チケットが紙くず同然になる、という例もあるようだ。


そんなに経費がかかるのなら、ファンにチーム券を売ればいいのに、と誰もが思うだろう。
だがそうはならないのが現状だ。
チケットを売っても誰も買ってくれなければスタンドには閑古鳥が鳴き、せっかく栄光の都市対抗に出場しても企業は大恥をかいてしまう。
それならば社員ではない客にもタダ券をばら蒔いて、体裁を繕おうとしているとしか考えられない。
もちろん、主催者の毎日新聞社や日本野球連盟もスタンドに閑古鳥が鳴くのはまずいので、黙認しているのだろう。
第一、チーム券は各チームが買ってくれているのだから、タダ券をばら蒔こうが主催者の腹は痛まない。
完全な殿様商売である。


もちろん、チーム券以外にも一般客向けに販売されているチケットもある。
それが特別席(2400円)と外野席(900円)であり、内野席はチーム券のため発売されていない。
特別席というのはいわゆるネット裏で、京セラドームでのオリックス主催試合の場合は7500円もする特等席だ。
2400円という値段が高いか安いかはその人それぞれだが、1日3試合を2400円で観るとすると1試合当たり800円で、結構お得な感じもする。
だが今大会に限っては、特別席はガラガラで、ほとんどの人がタダ券をもらって、やかましい応援席でガマンして見ていたようだ。
ちなみに例年の東京ドームでは特別席にも結構客が入っていたようだが、これにはカラクリがある。


社会人野球には「JABAクラブ」という制度があり、この会員になれば2400円のチケットが1000円になる。
会員になるには入会金2000円と年会費5000円が必要で、チケット割引の他にも会報が毎月送られてくる。
つまり入会した初年度なら入会金+年会費が7000円となり、2400円から1000円を引いた差額が1400円なので、都市対抗を特別席で5日間観ると元が取れる。
ただ、開催期間の11日間で5日も観に行く事ができるのは定年退職者ぐらいだろう。
社会人野球の客に年配者が多い理由もよくわかる。
おそらく東京ドームの特別席で観ているほとんどの客はJABA会員に違いない。
東京では毎年都市対抗が行われるのでJABA会員も多いのだろうが、大阪では会員が少ないので今大会でも特別席での観覧客が少なかったのではないだろうか。


ただし、これだけは言える。
特別席に座っている客は、本物の野球ファンだ。
熱心にスコアブックを付けている人もいる。
JABAクラブという制度は、こういう人達に対してはいいサービスをしていると思う。
だが、一般のファンに対してアピールできていないのが実情だ。
だから大企業に頼って、チケットばら蒔きという悲しい事態になっている。


社会人野球のレベルはアマチュアにもかかわらず、恐ろしく高い。
チームによってはNPB二軍よりも強いだろうし、プロを名乗っている独立リーグよりも遥かに上だ。
まず、守備力が全然違う。
独立リーグでは草野球のようなお粗末な守備が見られるが、社会人野球では見事な守備を見せてくれる。
こと守備力に関しては、NPB一軍にもヒケを取らないだろう。
社会人野球はトーナメント制がほとんどなので、守備力がないととても勝ち抜けない。
守備力がいいと締まったゲームになるので、そんなレベルが高い試合をネット裏で観られるのは2400円でも安いということになる。


ただし、運営方法には問題が大あり、と言わざるを得ない。
アマチュアを名乗りながら膨大な経費がかかり、大企業にオンブにダッコという実情では、今後さらなる不況が予想される日本ではジリ貧になっていくだろう。
高度成長期の頃には200以上あった企業チームも、現在では80チームぐらいに減少した。
その代わり、クラブチームが250チーム以上にも増えたのは朗報だが、レベル的には企業チームに敵わず、仮に都市対抗に出場したならば前述のように莫大な資金が必要だ。
昨年度、都市対抗にクラブチームとして奈良県大和高田市の大和高田クラブが出場したが、実態は大和ガスという地元企業が抱えているという、事実上は企業チームのようなものだ。
ほとんどのクラブチームは練習場の確保さえままならず、平日の試合となると仕事を休めないため選手が集まらず棄権、ということが日常茶飯事である。


社会人野球は日本で生まれた独特のシステムだ。
よく「社会人野球のような企業スポーツはダメ。日本でも地域密着のクラブスポーツを発展させなければならない」という意見が聞かれるが、それが正論であっても社会人野球が残してきた功績も見逃してはいけない、と思う。
社会人野球が大企業の庇護の下、選手が安心して野球に打ち込める環境を提供し、プロに優秀な人材を送り込んできたのもまた事実なのだ。


かつてはプロからドラフト指名されても拒否し、社会人野球に進む選手が多くいたが、その理由として企業チームの方がプロ球団よりも立派な合宿所や練習場を確保していた、ということも挙げられる。
おまけにその企業はプロ球団の親会社よりも大企業なのだから、生活の保証はしてくれるし、敢えて危険を賭して弱肉強食のプロの世界に飛び込まなかった、という選手も多いだろう。
社会人野球が選手の受け皿として機能していたのだ。


だが、時代は代わった。
この大不況の現代ではいくら大企業でも、前述のような都市対抗に参加した場合の膨大な経費を容認することは問題視されるだろう。
「リストラするぐらいなら野球部を廃止して、社員の雇用を確保しろ!」という声が大きくなるのは想像に難くない。
事実、都市対抗で何度も優勝した日産自動車(横須賀市)をはじめ、社会人野球の名門と言われた大企業の野球部廃止はあとを絶たない。
もはや都市対抗、いや社会人野球は、今のようなシステムでは崩壊するだろう。
社会人野球の伝統を守りつつ、新たなシステムの構築が急務である。


前述の「都市対抗に明日はあるか」に書かれていたことだが、四国アイランドリーグが発足した時に、当時の石毛宏典社長(元・西武ほか)が日本野球連盟を訪れた際、四国の都市対抗予選に参加する意思があるかと問われたが、石毛は「ウチの選手で商売をしないで欲しい」と答えたという。
要するに、社会人野球はもちろん、NPBとも連携せずに独自路線でやっていく、と言ったそうだ。


なんとももったいない話である。
独立リーグのチームが都市対抗予選に登場する、なんてワクワクするではないか。
ただでさえ四国と言えば野球王国にもかかわらず、社会人野球では企業チームが2つ、クラブチームが2つの後進地区である。
そこに四国アイランドリーグの4球団が乗り込めば、四国野球が活性化すること請け合いである。
それにも増して、今まではプロ球団を敵対視していた日本野球連盟が、独立リーグとはいえプロ球団に参加を求めたのである。
こんなチャンスを逃した石毛の罪は重い。
まさか「プロを名乗る球団が、アマチュアに負けるとメンツが潰される」なんて考えたのだろうか?
第一、商売が基本であるプロ球団で「商売しないで欲しい」もないだろう。


個人的には、都市対抗に限りNPBのファームが参加してもいいと思っている。
もちろん、出場選手資格には、その年の一軍公式戦出場が何試合未満(投手と野手によって基準を変えるべきだろう)、という条件が必要だが。
NPB球団や独立リーグの球団が絡まることにより社会人野球も発展するだろうし、補強選手制度も大いに役立つだろう。
特に独立リーグ球団が参加すれば、その名の通り「都市対抗」の意義が深まる。
そして、アマチュア日本一を決める大会は日本選手権にすればいい。
都市対抗が活性化すれば社会人野球も注目されるだろうし、日本選手権にも関心がいくだろう。


いずれにせよ、今のままでは社会人野球は存続できない、ということを日本野球連盟は認識すべきだ。
もちろん、そのためにはNPBをはじめ各種野球団体の協力が必要なのは言うまでもない。