今日は朝からワールドシリーズ、それが終わった昼の2時頃から早慶戦、夜は日本シリーズと、野球だらけの一日だった。
高校野球の季節でも野球だらけになるが、これほどビッグイベントが重なるのも珍しいのではないか。
MLB最強を決めるシリーズと、日本伝統の試合と、NPB最強を決めるシリーズ。
しかもワールドシリーズでは、レッドソックスの松坂大輔投手がワールドシリーズ初勝利を挙げた。
また、昨日予定されていた早慶1回戦が雨で流れたために、今日の早稲田の先発が斎藤佑樹投手になるというオマケもついた。
早慶戦は延長12回の大熱戦の末、慶應が1−0でサヨナラ勝ちした。
日本シリーズでは中日が日本ハムに8−1で大勝、1勝1敗のイーブンとした。
こんな野球だらけの一日になった背景には、時差の関係で日本時間の朝に行われるワールドシリーズ、デーゲームが基本の東京六大学、ナイターで行われる日本シリーズという時間帯が見事にマッチした。
そんな中で面白く思えたのがワールドシリーズだった。
1、2戦はボストンにあるフェンウェイ・パークで行われたが、今日はデンバーのクアーズ・フィールドに戦いの場が移された。
そしてこの両球場のあまりの違いに改めて驚かされる。
クアーズ・フィールドは左右対称ではないとはいえ、オーソドックスな造りになっている。
ただし、高地にあってボールが飛びやすいせいか、かなりだだっ広い。
左翼105.8m、左中間118.9m、中堅126.5m、右中間114.3m、右翼106.7m。
それに対しフェンウェイ・パークはレフトが極端に狭く、あまりにも有名なグリーン・モンスター(高さ11mほどもあるフェンス)がある。
それに対して右中間は広いが、突然スタンドが現れたり、広い右中間からまたもやフェンスが突然湾曲して、右翼ポール際は広島市民球場並みに狭くなる。
左翼94.5m、左中間115.5m、中堅118.9m(最深部128m)、右中間115.8m、右翼92m。
あまりにもいびつ過ぎて、広いのか狭いのかわからない。
ただ、フィールドとしては狭いことが映像で窺える。
これだけ条件が違う競技場で同じスポーツが行われていることが凄い。
実際観ていても、フェンウェイ・パークで行われた1、2戦と、クアーズ・フィールドでの第3戦では違う球技(特にレッドソックスのレフト、ラミレスのプレー)に見えた。
極端に言えば、埼玉スタジアムだろうがフットサルのコートで行われる試合だろうが、Jリーグの公式戦として認めらているようなものだ。
公認野球規則によれば、塁間や投手間の距離については明確に定められているが、外野の距離には曖昧な記述しかない。
本塁から外野フェンスまでは250フィート(76.2m)以上という規則があるが、それ以上あれば構わないということである。
さらに野球規則では、両翼320フィート(97.5m)以上、中堅400フィート(121.9m)以上が望ましい、と書かれてある。
つまり「望ましさ」が書かれているだけで、同じ条件で試合をすることが前提ではないのである。
フィールドと客席を隔てるフェンスも競技場の一部となっているのも、野球の特徴である。
今年のMLBのオールスターゲーム、イチローがランニングホームラン(インサイド・パーク・ホームラン)を達成できたのも、AT&Tパークの妙チクリンな外野フェンスの賜物だ。
普通のフェンスなら、あんなホームランはありえない。
先日も「野球とラグビーの相関関係」でも少し書いたが、野球というのは実に奇妙なスポーツだ。
ボールゲームなのに、ボールを保持しているのは攻撃側ではなく守備側である。
団体競技なのに、投手対打者の個人戦でもある。
競技場に統一性も公平性もない。
こんな奇妙キテレツなスポーツに、我々はなぜか熱狂してしまう。