第101回全国高等学校野球選手権大会は履正社(大阪)が初優勝を果たし、去年の大阪桐蔭に続いて大阪勢の2連覇となった。
決勝戦の相手は、春のセンバツ初戦で17三振の完封負けという屈辱を味わった星稜(石川)だったが、大会№1投手の呼び声高かった星稜のエース奥川恭伸を打ち崩し、春の雪辱を果たして履正社は今夏の高校野球で最も強いチームとなった。
では、一番弱い高校はどこだったのだろう?
それを調べるには、地方大会の初戦で敗れたチーム同士で、負け進んで行く逆トーナメントをするしかないが、もちろんそんな大会を開催する主催者がいるわけがない。
そこで、地方大会初戦で敗れた高校に勝った高校が次の試合で敗れて、その高校に勝った高校がまた次の試合で敗れて……、という形で「一番弱い高校」を選定するしかない。
もっとも、だからと言ってそんな方法で一番弱い高校を指定できるわけではないが、そこはご容赦いただきたい。
なお、昨年夏の最も弱かった高校はこちら。
(昨年の記事を読めばわかるが、今回の記事は校名以外はほとんど去年のコピペだ。なお、一昨年より前の記事も同様。このテーマの記事が、最も楽な執筆となる)
地方大会から調べていくと大変だが、甲子園の決勝戦から逆算していけば、容易に探り当てることができる。
甲子園大会
決勝戦 ○履正社(大阪)5-3星稜(石川)●
準決勝 ○星稜(石川)9-0中京学院大中京(岐阜)●
準々決勝 ○中京学院大中京(岐阜)6-3作新学院(栃木)●
三回戦 ○作新学院(栃木)18-0岡山学芸館(岡山)●
二回戦 ○岡山学芸館(岡山)6-5広島商(広島)●
今夏の甲子園で最も弱かった高校は、二回戦から登場した広島商ということになる。
なんと、夏の甲子園で2位となる6度の優勝を誇る超名門:広島商が最弱の高校となったのだ。
だが、前述したように、本当に最も弱いというわけではないので、関係者の皆様はお気を悪くなさらないように。
さて、広島商は広島代表の高校なので、今夏の日本一弱い高校は広島県にある。
春夏合わせて全国5位タイとなる12度の優勝(他は東京都と和歌山県)を数えるという野球どころの広島県に、最弱の高校があるのだ。
では、今夏の広島大会を見てみよう。
広島大会
決勝戦 ○広島商10-7尾道●
準決勝 ○尾道3-2尾道商●
準々決勝 ○尾道商7-2広島新庄●
四回戦 ○広島新庄12-10高陽東●
三回戦 ○高陽東9-8如水館●
二回戦 ○如水館14-0広島商船高専●(5回コールド)
一回戦 ○広島商船高専12-1音戸●(7回コールド)
というわけで、今夏の日本一弱い高校は音戸と決定した。
くどいようだが、本当に日本一弱いというわけではないので、そこはお許しいただきたい。
まあ、この学校に勝った高校は、次の試合では必ず負けるのだから、弱いというよりは呪いをかけられた、と言った方が適切な気がするが。
それにしても、この勝敗表を見ると、錚々たる高校の目白押しだ。
何しろ三回戦で敗退した如水館まで、ほとんど甲子園で活躍した高校ばかりである。
こんなこと、去年までのこの企画にはなかった。
準々決勝以前になると、大抵は「どこの高校?」という名前がズラリと並んでいたのである。
さすが野球王国・広島は一味違う。
それはともかく、音戸(おんど)とはどういう高校なのだろう。
ウィキペディアで調べてみると、音戸は呉市にある県立校で、学校創立は戦前の1940年と結構歴史の古い高校らしい。
元々は女子校だったが、現在ではもちろん男女共学で、主な出身者の項目はない。
カヌー部が強いらしく、インターハイで3年連続入賞したそうだ。
学校のサイトを見ると、硬式野球部の部員数は僅か8名。
今夏は他部から助っ人を借りて広島大会に出場したのだろうか。
しかし、体育会の部活動は、硬式野球部とカヌー部を含めて僅かに7部。
サッカー部やバスケット部、陸上部もないという、今時珍しい高校だ(バレー部は女子のみ有り)。
硬式野球部には8人しかいないのに、マネージャーは2人(おそらく女子)もいる。
部員4人当たり1人のマネージャーがあてがわれるという、密度の濃い状態だ。
仮に部員100人だとしたら、マネージャーが25人もいるという計算になる。
3年生部員は3人で、夏が終わって引退すると部員は5人になるが、今年の秋季大会には県立大柿高校との連合チームで参加しているようだ。
呉地区のCゾーンでのリーグ戦の初戦で、音戸・大柿は呉港に0-37で惨敗している。
リーグ戦はあと1試合あるので、音戸・大柿の連合チームの健闘を期待しよう。
そして部員を増やし、来年には単独チームでの出場を願って。