10月29日(土)、南海電車まつりが開催された。
南海電車まつりとは年に一度、10月下旬もしくは11月上旬に催される鉄道祭である。
主催の南海電気鉄道は、関西五大私鉄の一つに数えられる大手私鉄。
大阪の繁華街・ミナミにある難波駅を拠点に、海沿いを走って和歌山市や関西空港に至る南海線と、内陸部から和歌山の霊峰・高野山まで結ぶ高野線という二大路線を抱える。
つまり、大阪南部と和歌山を結ぶ私鉄というわけだ。
南海電車まつりが行われるのは、大阪府の南東部・河内長野市にある千代田工場。
南海電鉄にとって唯一の車両工場である。
しかし、隣り駅の河内長野駅から無料送迎バスが出ている。
河内長野駅は市の中心駅で、近畿日本鉄道(近鉄)の長野線との接続駅でもある。
筆者は近鉄沿線の住民であり、千代田駅までの一駅のみの運賃を払うのももったいないので、河内長野駅から送迎バスに乗ることにした。
だが、10~20分のピストン輸送なのに、午前中から早くも長蛇の列である。
南海と近鉄の共同駅とはいえ、インフラでは南海が圧倒的に上の河内長野駅
南海電車まつりへの無料送迎バスには長蛇の列
満員の乗客を乗せて送迎バスが走り出した。
しかし、土曜日とあって大渋滞、バスはなかなか進んでくれない。
ちなみに河内長野市は和歌山県と接する、結構な田舎なのだが……。
ようやく千代田工場に着いた。
そこで見た光景は、思った以上の凄い人だかり。
入場無料とはいえ、ここまでとは思わなかった。
そして何よりも、チビッ子が多い。
この国は少子化が最大の問題とされているが、これほど子供がウジャウジャいたのか、と思ったぐらいである。
しかも、田舎のこんな所にわざわざ来るということは、この子らは間違いなく鉄ちゃん・鉄子の予備軍。
キミたち、将来有望だね!
親御さんにとっても、こんな素晴らしいレジャー施設はないだろう。
テーマ・パークなら高い入場料を払わされるが、ここは入場無料。
しかも、子供ばかりか親も存分に楽しむことができる。
キミたち、それだけ親孝行しているんだよ!
一番人気は、やはりラピート!
その独特な先頭部分は鉄人28号とアダ名された。
そのラピートに試乗できるということで、長蛇の列である。
そして、運転席も覗き見ることができる。
ラピートに試乗する客で長蛇の列
そして、隣りにあるのは真田赤備え列車。
言うまでもなくNHK大河ドラマ「真田丸」に扮した電車である。
実は、南海高野線にある九度山駅の周辺は、真田幸村が14年間も住んでいた土地だからである。
なお、特急となっているが、中は普通の通勤電車と変わらない。
つまり、指定料金不要の自由席である。
ただ、列車全体と同じく座席は赤くなっており、真田幸村の家紋である六文銭が描かれている。
正面には六文銭が描かれた、真田赤備え列車
座席も赤備え仕様、六文銭マークも
その隣りにあるのは、泉北高速鉄道の3000系車両だ。
泉北高速鉄道とは第三セクターの会社だが、南海電鉄との関係は深く、難波駅から泉北地区の和泉中央駅まで直通運転を行っている。
その車内では、鉄道グッズを販売していた。
泉北高速鉄道3000系
その隣りにあるのは、南海本線特急のサザン・プレミアム!
難波駅と和歌山市駅および和歌山港駅を結ぶ特急と言えばサザンだが、それをグレード・アップしたのがサザン・プレミアムである。
ただし、限られた時間にしか走っていないので、いつでも乗れるわけではない。
今回の南海電車まつりでも、残念ながら試乗はできなかった。
南海本線のエース、サザン・プレミアム
ラピート、真田赤備え、泉北3000系、サザン・プレミアムが揃い踏み
展示車両から離れて、今度は工場へ。
ここでは、チビッ子たちによる車内操作サービスを行っていた。
つまり、チビッ子たちが運転席に座って、扉を開閉したり、車内アナウンスをしたりできるのである。
さすがに筆者は、これには参加できない。
それでも、外からは電車を眺めることができる。
昔から南海電鉄は、南海線は鉄製車両、高野線はステンレス製車両が多かった。
理由は、南海線沿線は工場が多く、傷が付きやすいので補修が容易な鉄製車両となったが、高野線は住宅地を走るので補修の必要がなく、塗装をしないで済むステンレス車両を使用したのだとか。
もっとも、高野線でも山岳地帯を走る列車では、鉄製車両が使われている。
南海線を走る鉄製車両
高野線に使われるステンレス製車両
さらに奥へ入って行くと、南海電車とチビッ子たちによる綱引き。
要するに、チビッ子たちが南海電車と綱引きをするというイベントだ。
結果は、チビッ子たちの勝ち。
グレート・アントニオかっての!
(注:グレート・アントニオとは、かつて力道山と闘ったプロレスラー。縄で繋いだバス3台を引っ張るというデモンストレーションで人気を博した)
南海電車とチビッ子たちとの綱引き。親たちも必死で応援
さらに工場の奥へ入って行くと、電車部品が羅列している。
さすがにここまで来ると、子供の姿も少ない。
しかし、連結器の部品に異常なまでの興味を持つチビッ子もいた。
この子はきっと、中川家礼二を越える鉄ちゃんになるだろう。
密着連結器に興味を持つチビッ子もいた
しかし、ここまで読んでいると、チビッ子ばかりの祭典では?と思う人もいるだろう。
だが心配することはなかれ。
ちゃんと大人のゾーンも用意されている。
それは、鉄道部品即売会。
こちらはチビッ子などの入り込む余地はなく、鉄ちゃんだらけ。
無邪気なチビッ子たちも、いずれはこんな大人になるのだろうか。
鉄道部品即売会に長蛇の列をなす鉄ちゃんたち
もちろん、飲食店にも事欠かない。
なぜかご当地グルメが数々出店している。
関西の私鉄に過ぎない南海電鉄のイベントに、なぜこれだけご当地グルメが出店しているのかわからない。
ただ、アルコール飲料は販売していないようなので、お見知りおきを。
バラエティに富んだ飲食店の数々
他にもまだまだあるけど、今回はここまでにしておく。
もう一度おさらいすると、今年のイベントはこの日で終わりだ。
来年も秋に開催されるだろうが、日程はまだ決まっていない。
南海電車まつりのイベントは、次のとおり。
●毎年秋に、千代田工場で開催(最寄り駅は南海高野線の千代田駅)
●入場無料
●10時~16時まで
●雨天決行、荒天の場合は中止
●河内長野駅から無料送迎バスあり
●数々の鉄道関係グッズ販売あり
といったところか。
来年の日程は未定だが、興味がある方は行ってみたらいいだろう。
おまけショット:こんなヤツを見ると、ロー・キックをお見舞いしたくなる^^;