昨日、野球のアジアシリーズ決勝が行われ、中日ドラゴンズ(日本)がSKワイバーンズを6−5で破り、アジアチャンピオンに輝いた。
しかし、先日ここでも危惧したように、中日がこのシリーズに対してどれだけ真剣だったかは疑問で、やはり川上憲伸は投げようとしなかった。
状態が良くないのかも知れないが、だったら日本シリーズが第6戦にもつれ込んでも、日本シリーズではもう登板しなかったのか。
今の中日の選手はアジアチャンピオンになった喜びよりも、日本球団としてのメンツを保ててホッとした気持ちの方が強いだろう。
なにしろ日本のメディアは、中日関係の記事はアジアシリーズ優勝よりも、福留のFA宣言の方が関心が高い。
一方、韓国メディアはアジアシリーズの結果(中日とSKは1勝1敗)を大きく取り上げ、韓国と日本はもはや対等だ、と鬼の首でも獲ったかのようなハシャギようである。
話しは変わるが同じ日、大阪でも決勝戦があった。
全国高校ラグビーの大阪大会決勝である。
大阪では出場校数が多いため、第一、第二、第三地区に分かれる。
第一地区が前年度全国優勝の東海大仰星、第二地区が大阪朝鮮、第三地区は大阪工大高がそれぞれ花園出場を決めた。
花園出場、と言っても、この決勝戦は花園ラグビー場で行われたのだが。
僕はこのうち、東海大仰星×大阪桐蔭、大阪工大×啓光学園の試合をテレビで観たのだが、二試合とも全国大会決勝と言ってもおかしくはないレベルの高さだった。
いや、ヘタな大学の試合よりもレベルは上だろう。
この4校のうち東海大仰星は前年度の圧倒的な優勝が記憶に新しいし、啓光学園は泣く子も黙る全国四連覇、工大は最近でこそ全国優勝から遠ざかっているものの、常に大阪の高校ラグビー界をリードし、ジャパンに好選手を輩出してきた、高校野球で言えばPL学園のような存在である。
このように大阪における高校ラグビーのレベルは異様に高いのだが、その理由はどこにあるのだろう。
実際に、歴代日本代表選手の中では大阪出身者がダントツである。
ちなみに、プロ野球選手でも大阪出身者がもっとも多い。
では大阪はスポーツ先進国なのか?
残念ながらそうではない。
サッカーでは大阪出身者は少なく、全国サッカー大会で大阪勢が優勝したのは実に34年前の北陽まで遡らなければならない。
この頃は高校サッカーでも大阪や関西のチームが強かった。
ではなぜ、サッカーでは野球やラグビーと異なり、東高西低となったのか?
実は元々高校サッカーは関西で行われていたのだが、日本テレビが主催するようになり、1976年度から首都圏で開催されるようになる。
北陽の優勝から三年後のことだ。
以来、大阪及び近畿はサッカー後進地域となり、近畿勢が全国優勝したのは北陽の優勝から実に32年後の2005年、滋賀県代表の野洲が優勝したときだ。
一方で、大阪はラグビーや野球では常に全国のトップを走っている。
これはやはり、全国高校大会が関西で行われている影響が大きいのではないか。
高校野球は甲子園、高校ラグビーは花園。
奇しくも最後に「園」が付く。
大阪の子供たちは安い入場料の全国高校野球や全国高校ラグビーを観に行き、そのスポーツに憧れる。
だから大阪のリトル・シニアリーグやボーイズ・リーグは盛んだし、ラグビースクールも数多くある。
こうした少年硬式野球やラグビースクールの子供たちは、子供の頃から甲子園や花園でプレーしているのだ。
ただ、大学ラグビーでは関西の優秀な選手が関東の大学に流れて、慢性的な東高西低状態が続いている。
トップリーグでも、関東の東芝やサントリーが優勢な状態が継続しているようだ。
これからは冬、つまりラグビーの季節、大学では不祥事から立ち直って欲しい同志社大、昨年度全国4強の大阪体育大に京都産業大、トップリーグでは平尾が指揮を執ることになった神戸製鋼コベルコスティーラーズに期待をしたいところだ。