日本が今年のW杯決勝戦で惜しくも敗れて準優勝に終わり、3連覇を逃してしまった。
えっ、W杯でそんなに日本が活躍している競技があったの!?なんて思われるかも知れないが、これはアメリカンフットボールの話である。
今年7月から神奈川県川崎市で第3回アメリカンフットボールワールドカップが行われ、今日、等々力競技場で決勝戦が行われ、アメリカが日本を23-20と接戦の末、初優勝に輝いた。
http://wc2007.info/777/game9_j.html#
実は過去2回、アメフトの本場であるアメリカは参加せず、今回がアメリカの初参加とあって、真のW杯と言われたものだ。
と言っても、アメリカ代表チームはNFLはもちろん、カレッジフットボールで一流のNCAAの大学の選手が出場していないのだから、本当の意味での「アメリカ代表チーム」とはとても言えないのだが。
言ってみれば、今回のアメリカ代表チームは二流大学の寄せ集め選手と言ってもよく、とても「世界一」を争う試合とは言えない。
それでも、アメリカが参加していない過去2回の大会で優勝を果たし、今回もアメリカ戦以外ではフランス戦、スウェーデン戦いずれも48−0と圧勝しており、日本はアメリカに次ぐアメフト先進国と言えるだろう。
今日の決勝戦でも等々力競技場に1万人を超える観衆が詰め掛け、台風襲来という悪天候にもかかわらず多くの観客が集まった。
それだけ日本ではアメフトが浸透しているとも言え、逆に言えば、体格に劣る日本人のアメフトが世界2位ということは、他の国ではいかにアメフトが浸透していないかという現われだろう。
それもそのはず、アメフトは野球やサッカー、ラグビーなどと共に、明治時代に一斉に渡来している。
このうち、野球以外のフットボール競技は「蹴球」と訳され、サッカーは「ア式蹴球(アソシエーション・フットボールの略)」、ラグビーは「ラ式蹴球」、アメフトは「米式蹴球」などと呼ばれた。
その後、アメフトは太平洋戦争中には敵性語禁止令もあり、また「米式」というのもまずかったのか「鎧球」という言葉に変わった。
逆に言えば、太平洋戦争中であってもバリバリの「敵性スポーツ」であるアメフトが鎧球と名前を変え、日本で生き残ったとも言えるだろう。
以前、関西スポーツ交流会で将来スポーツビジネスに関わりたいという女子大生と話をしたが、彼女はアメフトとラグビーの違いがわからなかった。
これは女性だけの現象ではなく、僕の幼馴染の男友達も、アメフトとラグビーの違いがわからないという。
ちなみにこの男はスポーツオンチというわけではなく、プロ野球に関しては結構詳しい。
確かにアメフトとラグビーはどちらも楕円形のボールを使い、タックルもあり、手でボールをパスして、ボールを手で持って走ることもできる。
でも、アメフトとラグビー両方のファンというのは少ない気がする。
これはまず、生まれて初めて見た競技がどちらか、ということが大いに関係するのではないか。
つまり、初めて見た競技がアメフトならアメフトファン、ラグビーならラグビーファンになるという法則である。
ちなみに僕はラグビー派で、小学生のときに初めてラグビーを見た頃はラグビーとサッカーの違いすらわからなかった。
なにしろ選手がボールを持って走り出したときに「そんなことして、ええんか〜?」と思ったほどだ。
サッカーと同じように、ラグビーでも手を使ってはいけないと思っていたのである。
やがてラグビーの基本的なルールを覚え、ラグビーの魅力に取り付かれたころ、アメフトを見て驚いた。
ボールを前にパスするのを見て「そんなことして、ええんか〜?」と思ったのである。
最初にラグビーを見た人は、「アメフトはやたらプレーが細切れで面白くない」と言うし、アメフトを最初に見た人は「ラグビーは迫力がない」と言う。
しかし、双方のルールと戦術を理解すれば両方とも面白いスポーツだと思うし、食わず嫌いをする必要はない。
僕の場合、高校生の頃にサンテレビでMLBやNBAの中継をよくやっていて、NFLはなかったもののカレッジ・フットボールの中継もあって、それを見てアメフトの基本的なルールを覚えた。
またこの頃の関西アメフト界は、熱く燃えた時期でもあった。
それまで関西アメフト王者に君臨していた関西学院大学が国立の京都大学に猛追を受け、遂に敗れてしまうのである。
そしてその京大が、甲子園ボウル(大学日本一決定戦)で関学最大のライバルだった関東の日本大学を粉砕し、ライスボウル(社会人王者との日本選手権)を制して日本一になった。
その後、関西アメフト界は関京戦が黄金カードとなり、その勝者が甲子園ボウルでの優勝を左右する一戦となったのである。
その頃、関学はアメリカの大学を招いて日米対決を行った。
相手はオレゴン州立大学である。
その頃の関学は(現在もだが)ライスボウル制覇を狙う日本を代表するチーム。
一方のオレゴン州立大は、米大学の四大ボウル(ローズボウル、オレンジボウル、シュガーボウル、コットンボウル)の出場など望むべくもない二流大学。
それでも関学は、オレゴン州立大学には歯が立たなかった。
パスや組織プレーでは関学も目を見張るものがあったが、パワーで圧倒されてしまったのである。
あれから約20年、日本代表も二流とはいえアメリカの選抜チームにあと一歩まで迫ることができた。
ただ、日本代表がNFLのチーム、いやNCAAのチームにすら勝つことは不可能だと思う。
でも、日本人フットボーラーがNFLで活躍するのは可能ではないか。
体格では劣っても、日本人の冷静な判断力と俊敏さ、クレバーさを駆使すれば、NFLで活躍する日本人選手が出てきてもおかしくはない。
特に、クォーターバックでかつて名選手だった芝川(関学)や東海(京大)のような選手が、次々とピンポイントのパスを決めるプレーを見たいと思う。
ところで、我がネターランド王国でも国技を決めたいと思う。
その名も「ネタラン・フットボール」。
このネタラン・フットボールの競技規則については後日発表するから、国民は楽しみに待っていてくれたまえ。