第99回全国高等学校野球選手権大会は花咲徳栄(埼玉)が初優勝した。
つまり今年の夏、高校野球で最も強いチームは花咲徳栄、ということになる。
では、一番弱い高校はどこだったのだろう?
それを調べるには、地方大会の初戦で敗れたチーム同士で、負け進んで行く逆トーナメントをするしかないが、もちろんそんな大会を開催する主催者がいるわけがない。
そこで、地方大会初戦で敗れた高校に勝った高校が次の試合で敗れて、その高校に勝った高校がまた次の試合で敗れて……、という形で「一番弱い高校」を選定するしかない。
もっとも、だからと言ってそんな方法で一番弱い高校を指定できるわけではないが、そこはご容赦いただきたい。
なお、昨年夏の最も弱かった高校はこちら。
(昨年の記事を読めばわかるが、今回の記事は校名以外はほとんど去年のコピペだ。なお、一昨年の記事も同様)
地方大会から調べていくと大変だが、甲子園の決勝戦から逆算していけば、容易に探り当てることができる。
甲子園大会
決勝戦 ○花咲徳栄(埼玉)14-4広陵(広島)●
準決勝 ○広陵(広島)12-9天理(奈良)●
準々決勝 ○天理(奈良)13-9明豊(大分)●
三回戦 ○明豊(大分)9x-8神村学園(鹿児島)●(延長12回)
二回戦 ○神村学園(鹿児島)3x-2京都成章(京都)●
京都成章は二回戦からの登場なので、今夏の甲子園で最も弱かった高校は京都成章ということになる。
なんと、1998年に準優勝した京都成章(この年、春夏連覇したのが松坂大輔を擁した横浜)が今夏の甲子園最弱校というわけだ。
だが、前述したように、本当に最も弱いというわけではないので、関係者の皆様はお気を悪くなさらないように。
さて、京都成章は京都代表の高校なので、今夏の日本一弱い高校は意外なことに野球どころと呼ばれる京都府にある。
では、今夏の京都大会を見てみよう。
京都大会
決勝戦 ○京都成章12-6龍谷大平安●
準決勝 ○龍谷大平安8-0西城陽●(8回コールド)
準々決勝 ○西城陽5-3北稜●
四回戦 ○北稜2-1京都共栄●
三回戦 ○京都共栄11-4南陽●(8回コールド)
二回戦 ○南陽3-1堀川●
というわけで、二回戦からの登場のため今夏の日本一弱い高校は堀川と決定した。
くどいようだが、本当に日本一弱いというわけではないので、そこはお許しいただきたい。
まあ、この学校に勝った高校は、次の試合では必ず負けるのだから、弱いというよりは呪いをかけられた、と言った方が適切な気がするが。
では、堀川とはどういう高校なのか?
調べてみると、1908年(明治41年)に開校した歴史の古い、男女共学で京都市立の高校である。
1999年(平成11年)には「探究科」なる科が設置され、その1期生が卒業した2002年(平成14年)には国公立大学の現役合格者が6人から106人と一気に激増し「堀川の奇跡」と呼ばれた。
そして現在でも、京都大学や東京大学に進学する者は50~70名ほどいるという進学校である。
有名なOB・OGとしては、俳優の故・藤田まこと(中退)がいる。
そしてバイオリニストの葉加瀬太郎は卒業生。
北朝鮮の拉致被害者家族の一人である横田早紀江さんも卒業しているが、皮肉なことによど号ハイジャック事件の犯人の一人が堀川の卒業生だ。
スポーツ関係では、元ラグビー日本代表の萬谷勝治が卒業している。
他にも有名人は大勢いるが、これぐらいにしておこう。
硬式野球部は、1956年(昭和31年)春に甲子園出場し、なんとセンバツ8強に進出した。
だが、甲子園出場は春も夏も、この1回のみ。
そして、今夏は前述のように初戦敗退、今春の京都大会でも初戦敗退している。
しかし、新チーム結成時の昨秋の京都大会では一次予選の一回戦で敗れたものの、敗者復活戦では1勝を挙げており、本当に弱いわけではない。
新チームになった今秋の京都大会では、第一次予選の相手は京都国際と決まっている。
62年ぶりとなる来春のセンバツ出場を目指して頑張ってもらいたい。