来年(2023年)から北海道日本ハム ファイターズの新本拠地球場となるエスコンフィールド北海道が物議を醸している。
公認野球規則では、本塁からバックストップ(バックネット)までの距離が60フィート(18.288m)以上必要と書かれているのに、同球場では50フィート(約15m)しかないことが発覚したからだ。
同球場はメジャー・リーグ(MLB)の球場を参考にしており、実際にMLBでは50フィートはおろかもっと狭い球場すら存在している。
なぜこんなことが起こったのかというと、日米のルール解釈の違いで、日本では60フィート以上が必要と書かれているのに対し、MLBでは60フィート以上を推奨と曖昧な表現になっているためだ。
結局、来年のオフ・シーズンに改修工事を行うことで決着したが、実は日本プロ野球(NPB)では昔から球場に関するルール違反が横行していたのである。
それは公認野球規則2.01【付記】(a)に書かれている、
1958年6月1日以降プロフェッショナル野球のクラブが建造する競技場は、本塁より左右両翼のフェンス、スタンドまたは左右両翼のフェアグラウンド上にあるプレイの妨げになる施設までの最短距離は325㌳(99.058㍍)、中堅のフェンスまでの最短距離は400㌳(121.918㍍)を必要とする。
という部分だ。
1958年6月1日以降に建設されたNPBの本拠地球場には東京スタジアム(現在は閉鎖、両翼90m、中堅120m)、横浜スタジアム(両翼94.2m、中堅117.7m)、西武ライオンズ球場(現:ペルーナドーム、完成当初は両翼95m、中堅120m)などがあるが、いずれも規則通りの広さを満たしていない。
それでも、現在と違い全く文句が出なかったのは、当時のNPBに規則通りの広さだった本拠地球場は1つもなかったからだ。
他球団から文句が出ようものなら、
「おたくの新球場、規則通りの広さやおまへんな」
「あんさんとこの球場はもっと狭いでんがな」
と逆ねじを食わされるのがオチだろう。
NPBにようやく規則通りの広さの本拠地球場が誕生したのは、1988年開場の東京ドームである。