八尾市立山本球場(行った回数:1回)
大阪府藤井寺市辺りから国道170号線(大阪外環状線)を北上して八尾市に入り、柏村交差点を左斜めに曲がって府道15号線を車で走行していると、狭い土地に突然、立派なスタンドのある野球場が目に飛び込んでくる。
知らない人が初めてこの道を通れば、何故こんなところに球場が?と誰もが驚くだろう。
スタンドの規模を見ると、NPB一軍戦は無理としても、二軍戦や独立リーグなら充分に開催能力がありそうである。
内野席しかないとはいえ、収容人員は2,000人で、阪神タイガース二軍本拠地の阪神鳴尾浜球場(同500人)のなんと4倍だ。
▼NPB二軍本拠地球場よりも遥かに大規模なスタンドの山本球場
山本球場というと、センバツ高校野球発祥の地である名古屋市八事にあった山本球場を連想するが、名古屋の山本球場は人名から名付けられたのに対し、現存する八尾市の山本球場の名は地名が由来。
近くに近鉄大阪線の河内山本駅があるが、最寄り駅は同線の高安駅になる。
山本球場の開場は、戦前の1938年(昭和13年)と歴史は古い。
当時の球場名は住友球場で、つまり住友グループが建てた球場だ。
戦後の1950年(昭和25年)に近畿日本鉄道(近鉄)が買収し、近鉄パールス(後の大阪近鉄バファローズ)の練習場として使用される。
1956年(昭和31年)に八尾市が所有するようになったとはいえ、近鉄はなぜ一軍はともかく山本球場を二軍本拠地にしなかったのだろうか?
ちなみに、現在の山本球場は内野が黒土、外野は芝生の立派な球場で、一塁側と三塁側のファウル地域にはブルペンもあり、スコアボードは磁気反転式という豪華さである。
▼内野は黒土、外野は芝生という本格的な山本球場
▼スコアボードは磁気反転式で選手名、審判名の欄もある
▼バックネット裏にもボールカウントがあるが、スコアボードと同じく未だにSBO
これだけ本格的な球場だと、高校野球の大阪大会では使用しそうなものだが、硬式も利用可能とはいえ少年野球ぐらいしか開催されていない。
それはなぜかと言えば、山本球場は狭すぎるからだ。
両翼90mというのは、昭和の頃だとNPB一軍の球場でもよくあった広さだが、中堅100mはいかにも狭い。
これでは、高校野球以上のレベルの硬式野球では使用できないのも当然だ。
▼山本球場は両翼90m、中堅100m
山本球場は八尾市が所有し、八尾体育振興会が指定管理者となっているが、これだけ立派な球場をどうやって維持しているのだろう。
少年野球ではなかなか入場料も取れないだろうし、筆者が行ったときにはボーイズ・リーグが行われていたが、やはり入場無料だった。
ただし、球場内にある駐車場は普通車で2時間300円となっている(以降は1時間100円)。
この駐車場、コイン・パーキングの形態なのに何故か出口には精算機がなく、事前に球場玄関内の精算機で料金を支払い、精算済みのカードを受け取らなければならない。
筆者はそのことを知らず、車を出庫させようと出口まで運転したものの精算機がないことを知り、慌てて出口から引き返して球場玄関内で精算を済ませ、再び車に乗り込み出口で精算済みカードを差し込んだが、もし後ろから出庫の車が来ていたら身動きが取れなくなっていただろう。
混乱を防ぐためにも、精算機は出口に設置してもらいたい。
というか、出口にはカード挿入口があるのに、なぜ精算機がないのだろう?
つまり、収入は駐車料金とジュースの売り上げ、フェンスの広告料ぐらいしかないわけだ。
もちろん、試合を行うチームや団体は球場利用料が必要だが、それだけでは維持費の捻出も難しいだろう。
何しろ、山本球場は大阪における少年野球のメッカなのだから、何とか運営を続けてもらいたいところだ。