NHK総合テレビ「日本人のおなまえっ!」という番組が人気のようだ。
日本人の苗字に関するルーツを探る番組である(探るのは苗字だけではないようだが)。
なぜそんな苗字になったのか、それを探索するのは楽しいものだが、未だに謎のことがある。
それは、方角を示す苗字のうち「西」が圧倒的に多いのではないか、ということだ。
試しに、東西南北の苗字について調べてみた。
なお、情報元は「名字由来net」というサイトで、結果に意義がある人はそちらの管理人に文句を言ってもらいたい。
各苗字の日本全国での順位と、日本全国に存在する大体の人数を示してみる。
(データがない場合は*印)
●ズバリ、方角そのもの
①東 124位 152,000人(「あずま」を含む)
②南 199位 107,000人
③西 242位 91,500人
④北 843位 22,800人
●後に「村」
①西村 44位 311,000人
②北村 116位 159,000人
③東村 3,341位 3,900人
④南村 5,190位 2,000人
●前に「村」
①村西 4,621位 2,400人
②村北 13,621位 440人
③村東 33,516位 90人
④村南 *位 *人
●後に「田」
①西田 111位 164,000人
②北田 711位 27,800人
③東田 1,394位 12,100人
④南田 3,616位 3,500人
●後に「野」
①西野 316位 69,000人
②北野 375位 55,300人
③東野 1,033位 17,500人
④南野 1,917位 8,100人
●後に「本」
①西本 363位 56,500人
②北本 1,728位 9,200人
③東本 3,137位 4,200人
④南本 5,547位 1,800人
●前に「本」
①本西 12,390位 520人
②本東 29,954位 110人
③本南 56,772位 30人
④本北 78,763位 10人
●後に「山」
①西山 171位 124,000人
②北山 621位 32,100人
③東山 1,152位 15,500人
④南山 3,455位 3,700人
●前に「山」
①山西 1,338位 12,900人
②山北 2,348位 6,300人
③山東 4,931位 2,200人
④山南 10,824位 650人
●前に「大」
①大西 103位 178,000人
②大東 1,895位 8,200人
③大北 2,248位 6,700人
④大南 6,004位 1,600人
●前に「小」
①小西 193位 109,000人
②小南 2,089位 7,200人
③小北 5,004位 2,100人
④小東 6,157位 1,600人
●後に「口」
①西口 741位 26,500人
②北口 1,438位 11,600人
③東口 3,073位 4,300人
④南口 3,385位 3,800人
●後に「森」
①西森 1,108位 16,300人
②北森 4,586位 2,400人
③東森 6,360位 1,500人
④南森 30,763位 100人
●後に「脇」
①西脇 819位 23,500人
②北脇 3,509位 3,600人
③東脇 15,799位 340人
④南脇 32,009位 100人
●後に「川」
①西川 114位 162,000人
②北川 215位 102,000人
③南川 2,021位 7,600人
④東川 2,179位 6,900人
●前に「川」
①川西 825位 23,300人
②川北 1,451位 11,500人
③川東 3,818位 3,200人
④川南 7,357位 1,200人
他にも東西南北が付く苗字は多いのだが、キリがないのでここまでにしておく。
見てもらえれば一目瞭然、思い付くままに苗字を並べただけなのに「西」の圧勝である。
決して「西」が多い苗字を選んだわけではない。
一文字のみの東西南北では「西」は3位に甘んじているものの、それ以外では全て1位だ。
そして、ほとんどの苗字で、西>北>東>南、となっている。
漢字二文字以上の苗字で「西」と「北」が優勢なのは、二つともカナ読みで二文字だからだろう。
「東」と「南」はカナ読み三文字なので、漢字二文字以上となると読みが多すぎて、苗字には向かないのだろう。
逆に漢字一文字の場合は、カナ読み二文字では物足りないので「西」「北」は少ないのだろう。
カナ読み数の理由を抜きにしても「西」の多さは異常である。
同じカナ読み二文字の「北」と比べても「西」の方が圧倒的に多い。
たとえば「西村」さんのルーツは、読んで字の如く中央の村(「中村」さんのルーツ)から見て「西」の方にある「村」が由来だが、中央の村が基準ということは当然のことながら東や南、北の方にも村はあったはずで、西の方にだけ特別に村が多かったわけではあるまい。
にもかかわらず「西村」さんがダントツで多いのである。
なぜ西側以外の人たちは「東村」「南村」「北村」とあまり名乗りたがらなかったのだろうか。
また、日当たりがいいはずの「南」の少なさも気になる。
「東」も日出ずる方向で命の源なのに、いくらカナ読み三文字でもなぜこんなに少ないのか、理由がわからない。
「東」さんは「西」さんに勝っているものの、「東」さんと「東村」さんを合わせても(約16万人)、同じルーツの「西村」さん1人(約31万人)にほぼダブルスコアの完敗なのだ。
このあたりの謎は「日本人のおなまえっ!」で究明してもらいたいものだ。
【追記】
どうやら既に「日本人のおなまえっ!」で、この謎が解き明かされていたようだ↓
日本人の名前っNHK 東・西・南・北のつく名字から分かる、昔の人々の暮らし | Writerzlab
「西の川」の象徴・淀川(大阪)