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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

野球のバランスが崩れている

第93回全国高校野球選手権大会日大三(西東京)の2回目の優勝で幕を閉じた。
大会前、僕はここで「近年、決勝戦での大差ゲームが増えている」と書いたが、今年もその懸念が当たってしまった。
決勝戦の光星学院(青森)戦では11−0とまた10点差以上のゲームになってしまったのである。


今年の総得点は426点と去年の473点より下回ったが、それでも今年はビッグイニングが目立った。
今年の大会で、1イニングに4点以上入った回数を調べてみよう。


4点……8回
5点……7回
6点……4回
7点……2回
8点……2回
9点……1回


今から28年前の第65回大会の数字も挙げてみる。
この年は、池田(徳島)が「やまびこ打線」と呼ばれる強力打線を引っ提げて夏春夏の三連覇を目指し、「高校野球を変えた」とさえ言われて大暴れした。
しかし準決勝で桑田、清原の一年生コンビ擁するPL学園(大阪)に0−7で敗れた。
この池田とPLのパワー野球が甲子園を席巻し、高校野球の潮流を変えるターニングポイントの大会となった。


4点……14回
5点……5回
6点……2回
7点……1回


4点以上の総回数は、今年が24回、28年前が22回とさほど変わらないものの、28年前は一挙4点が14回と、今年の8回に比べて圧倒的に多い。
その代わり、28年前には一度もなかった一挙8点以上が今年は3回もあり、5,6,7点の回数も増えている。
要するに今年、というより近年の場合は一挙4点も入ったら、それでは終わらなくなるのだ。
前回も指摘したが、守る方は緊張の糸が切れ、打つ方は緊張感がなくなるからリラックスして際限なく打ち続ける。
やはり最近の選手たちは精神的に脆くなっているのだろう。


でも、本当にそれだけなのだろうか。
実は今年の本塁打数は27本と、28年前の31本より少ない。
この28年前というのは、池田がウェートトレーニングを本格的に採り入れ、さらに金属バットも弾きのいい新型バットを使用し、前年は当時の新記録となるチーム7本塁打を放って優勝した(今年の日大三は6本塁打)。
そして、当時はまだラッキーゾーンがあったのである。


今年の本塁打数が28年前よりも少ないのにはわけがある。
今から5年前の88回大会で60本塁打というとんでもないホームラン数となったため、金属バットに規制がかけられたからだ。
そのせいで、その翌年は24本塁打と半数以下に激減している。
その流れが今年も続いているのだ。
もちろん、現在はラッキーゾーンなどない。


それでもやはり、現在でも打高投低であることに変わりはない。
近年の決勝戦のスコアがそれを示しているし、今年の準決勝でも日大三×関西で14−4と10点差ゲームになっている。
その原因は、規制されたとはいえやはり金属バットにあると言わざるを得ない。


28年前は珍しかったウェートトレーニングも、今ではどの高校でも採り入れているため、パワーは格段に向上した。
さらに以前は投手のウェートトレーニングはタブーとされていたが、最近では投手でも積極的に行い、140km/hは当たり前、150km/hも珍しくはないという時代である。
28年前ぐらいは、140km/h以上を投げる投手は大会一の剛腕と言われたものだ。


しかし、投手の球速がいくら上がっても、打者はマシンで速い球を打つ練習はいくらでもでき、ウェートで鍛えたパワーは球速に負けないため、どうしても打高現象が起きてしまう。
そのため、投手がいくら内角球で詰まらせようとしても、金属バットは折れないため打球はそのままフラフラと内野の頭を越えるシーンが目立つ。
また、平凡な外野フライと思ったのがそのまま左中間へポトリと落ちて長打になるケースが多いのだ。
それに、内野ゴロと思われる当たりが大きくバウンドして内野の頭を越えたり、ボテボテだと思った打球が球速は衰えずに三遊間を抜けてしまう、ということも多い。
要するに、力任せに振った打球が、金属バットの特性によりヒットになる、ということがやたら目立つのである。
こんなヒットばかりでは、打撃の基本はマスターできないし、投手は思い切った速球勝負もできない。


行きつく先は金属バット禁止、木製バットに回帰ということだが、なかなか一筋縄ではいかない。
かつてはオリンピックなどの世界大会で使用されていた金属バットは現在では禁止され、日本でも社会人野球は木製バットに戻っている。
お隣りの韓国でも国際化に照準を合わせ、数年前から高校野球でも金属バットを禁止している。
日本の高校野球も木製バットに戻さないと、韓国に追い抜かれてしまうという意見もあるだろうが、日本と韓国では事情が違う。


韓国の高校野球参加校は僅か50数校であり、いわば全ての高校がプロ選手養成機関のようなもので、趣味で野球をやっている選手など一人もいない。
一方の日本では参加校が4,000校を超え、その中には全国制覇を目指す高校あり、甲子園を目標とする高校あり、同好会的なクラブ活動としている高校ありと様々だ。
同好会的に活動している予算の少ない高校が、金属バット禁止となると、とても野球部を運営できないだろう。
日本の高校野球のいいところは、甲子園やプロを目指す選手も、趣味で野球をしている選手も、同じ土俵で戦えることである。
それがただレベルアップだけのために、同好会的な高校を切り捨てるのは良くない。


野球評論家の豊田泰光氏(元・西鉄ほか)は折衷案として「地方大会は金属バットOKとして、甲子園では木製バットのみとすればいい」と語っているが、果たしてそれが可能だろうか。
地方大会での金属バットから甲子園でいきなり木製バットに持ち替えると、当然バッティングが狂ってしまう。
地方大会と甲子園で野球がガラリと変わってしまうのは、やはり選手たちが可哀そうだ。
ただし、秋季大会から期間が開く春のセンバツでなら採用できるかも知れない。


あと考えられるのは、思い切って金属バット禁止にすることだ。
これには条件があって、プロでは禁止されている接合バットや圧縮バットを認める、というものである。
これらのバットは折れにくく、実際に日本のプロ野球では圧縮バットが認められていた時期があり、世界のホームラン王である王貞治は圧縮バットを愛用していた。
圧縮バットはボールが飛び過ぎるということで現在ではプロでも禁止されているが、金属バットに比べれば全然大したことはない。
それに圧縮バットや接合バットなら、バットの原材料となるアオダモの木に拘ることがないので、木の枯渇化を防ぐこともできる。
もっとも現在でも、これらのバットは高校野球の規則では使用可能だが。


そしてメーカーには、木製バットと重さや形状、スイートスポットがほとんど変わらない、練習用の金属バットを開発してもらう。
木製バットと同じなら試合で使っても構わないじゃないかと言われそうだが、試合で使えるとなるとどうしても過当競争が生まれ、いくら規制してもこっそりとよく飛ぶ金属バットを開発するかも知れない。
メーカーだって商売なのだから、売るためには法の網をくぐり抜けた金属バットを開発するに違いないのだ。
それが試合での使用を禁止し、ハナから練習用のみとすると、もう飛び過ぎる金属バットを開発する必要がなくなる。
顧客(=高校)にとって、練習用ならば木製バットに近い方が有り難いのだから。
「ウチの金属バットは木製バットに近く、しかも耐久性に優れています」なんてものを開発してくれれば、予算の少ない高校にとっても有り難いだろう。
他にもっと妙案があるかも知れないが、今のところはこれぐらいしか思い付かない。


野球というスポーツには、グラウンドの広さ、バッテリー間や塁間の距離など、人間の能力に合った天の配分と言うべき不思議なバランスが取れているという。
18.44mという距離は、どんな剛速球投手でも全ての投球を空振りさせることはできない。
ショートに打球が飛べば一塁でアウトになり、外野へ抜ければヒットになり、外野の頭を越えれば二塁打や三塁打になる。
どんな強打者でも7割ぐらいは凡打になるし、韋駄天のような俊足ランナーでも盗塁成功率100%とはならない。
このバランスがあるからこそゲームは安定し、野球というスポーツが面白いのである。
今年のプロ野球で乱打戦が減ったのは、低反発な統一球の使用により、野球がバランスを取り戻したからだ。
一方、悪いバランスの野球に慣れてしまった打者は、低打率に喘いでいる。


近年の高校野球には不安定なゲームが多い。
派手なビッグイニングや大逆転劇で観客を沸かせはしても、それは野球のバランスが崩れかかっている警鐘といえる。
高校野球に野球本来のバランスを取り戻すため、対策が必要だろう。