秋のシーズン、だんじり祭りがたけなわである。
しかし、関係ない人間にとっては、これほど迷惑至極なものはない。
だんじりが公共の道路を我が物顔で独占する。
もちろん、大渋滞で大勢の人に大迷惑をかけようが、だんじりを引っ張っている青年団にとっては知ったこっちゃない。
警察の許可を得ているという錦の御旗を振りかざして、治外法権のやりたい放題。
警察も青年団の蛮行については見て見ぬふり。
だんじりにおける事故やケンカは絶えない。
公共の道路で危険な行為をする。
しかもだんじりを引っ張っている連中は、間違いなく酒を呑んでいる。
だんじりは軽車両というレッキとした車両なのだから、公共の道路を走らせると当然、道路交通法が適用される。
道交法によると、酒酔い運転は3年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金となるのだ。
これに傷害事件が絡むと、実刑にもなりかねない。
彼らほど、堂々と犯罪を犯している集団を他に知らない。
場合によっては、死者まで出るのだ。
だんじりに参加している奴が死ぬのは勝手だが、なんの罪もない人がだんじりに巻き込まれて死ぬ場合だってある。
なぜこんな無法が許されるのか、僕には理解できない。
死者が出るほど酷くなくても、大渋滞は迷惑極まりない。
大事な仕事がある場合でも、だんじりによる大渋滞によって大きな損失が出ることもある。
バスやタクシーにとってもいい迷惑である。
タクシーの運転手もこう言っていた。
「だんじりのおかげで商売あがったりですわ。普段は10分で行くところを1時間もかかってしまうし、お客さんに迷惑をかけて申し訳ないですわ」
こんなとき、緊急自動車でも走ってきたらどうするのだろうか。
道いっぱいにだんじりが独占している状況を考えると、容易に道を譲れないと思える。
まあ、だんじりを引っ張っている連中は
「そんなもん、関係ないわい!だんじりの方が大事じゃ!」
などと言うのだろう。
救急車の中に、命がかかった患者がいようがいまいがお構いなしに……。
あの大音量も迷惑極まりない。
地声で掛け声をかけるのなら許せるが、奴らは拡声器を使っているのである。
元々だんじり祭りとは、豊作を神様に願うものであるはず。
それなのに、拡声器を使ってどうするの?
そもそも、だんじり祭りが始まった頃は(江戸時代ごろ?)、拡声器なんてなかったはずだ。
豊作を願うのなら、正々堂々と地声で神様に訴えなさい。
大体、今のだんじり祭りは豊作を願うものとは思えない。
単純に酔っ払いどもがウサを晴らすだけのもののように思える。
と言っても、だんじり祭りそのものを否定する気持ちは毛頭ない。
要するに、誰にも迷惑をかけず、みんなが楽しめるだんじり祭りにすればいいわけだ。
そうするためには、だんじりを公共の道路で行わず、学校の運動場や町内グラウンドを借りて行えばいい。
これならば誰にも迷惑をかけず、しかも安全にだんじりを引っ張ることができる。
もちろん拡声器は使用禁止で、地声で思い切り声を枯らせば良い。
そうすれば、だんじり本来の迫力を生み出すことも請け合いだ。
拡声器で大音量を奏でるなんて邪道だし、神様に対する冒涜である。
広いグラウンドなら怪我人が出る可能性も少ないし、一般の人を巻き込むこともない。
そして、だんじりを引っ張る様々な技も披露できる。
見物客を見込んで、グラウンドに出店を出すのもいい。
そうすれば町は活性化するし、祭り独特の情緒も味わうことができる。
こんな簡単なことを実行できないのは、行政の怠慢である。