「人は変わっていくのね。私たちと同じように」
「そ、そうだよ。ララアの言う通りだ」
「アムロは本当に信じて?」
「し、信じるさ!君ともこうしてわかりあえたんだから!人はいつか、時間さえ支配することができるさ」
「ああ、アムロ。時が見える……」
人類の変革を予感させる会話である。
地球連邦軍のアムロ・レイ曹長が、ジオン公国軍の女性将校であるララア・スン少尉との戦闘中、同じニュータイプであるララアを殺害してしまった。
アムロは
「ラ、ララア……。と、取り返しのつかないことを……、取り返しのつかないことをしてしまった……」
と、涙を流して自らの行為を悔やんだ。
戦争により人類変革の象徴であるニュータイプとして覚醒した二人が、その戦争によって殺し合う運命になったのは皮肉である。
だが、ララアの死を迎えた瞬間、二人はニュータイプとしてわかり合うことができたのだ。
ニュータイプとは、死も時も越えて、理解しあえることができる人類にとって理想の姿である。
ところでアムロは、同じニュータイプのシャリア・ブルとはわかり合うことはできなかったのだろうか?
シャリア・ブルだって戦闘中、アムロに殺されたのであって、条件はララアと同じであろう。
アムロや、ララア、そしてシャアと同じくニュータイプであったにも関わらず、たった1話で消えてしまい、劇場版では登場すらしなかったシャリア・ブルがあまりにも不憫でならない。