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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

INACレオネッサ

14日夜、大阪市西区の靭公園会議室で、第15回スポーツファンデーション主催の関西スポーツネットワーク交流会(以下、カンスポ)が行われた↓
http://www.sports-f.net/
僕がカンスポに参加したのは今回で8回目だそうで、一般参加としては今回の参加者の中では2位となっており、僕も結構カンスポに貢献していたのだなあと自負しておこう。


今回のゲストはなでしこリーグ日本女子サッカーリーグ)に所属している、神戸を本拠地とするINAC(アイナック)レオネッサの田渕径二監督だった。
恥ずかしながら僕はなでしこリーグに関しては全くの無知であり、あらかじめインターネットで同リーグおよびレオネッサに関して予習してきた。
ネットというのは実に便利だ。
全然知らないことでもかなりの情報を得ることができる。
それでも、そこに流れている情報はあくまで表面的なことで、本当のことは当事者にしかわからない。
そこでネットで調べた情報から質問事項をチェックして、今回のカンスポに臨んだ。
質問したいことが多すぎて消化不良になるかも、と思ったが、それは杞憂に終わった。
なぜなら田渕監督の講義の中で、質問事項に関する説明がほとんどなされていたからだ。
それでも、もう少し突っ込んだ話が聞きたいと思い、短い質疑応答の時間の中で敢えて質問をぶつけた。
この質問内容については後述する。
時間が押していたのに下らないことを訊いて迷惑をかけたかな、とも思ったが、スポーツファンデーションのコウジ代表理事は「よくぞ質問してくれた。ありがたい」と言ってくれた。
こういう席で質問をするのはなかなか勇気のいることで、他の参加者に対して、遠慮なく質問していいんだよ、というメッセージにはなったかも知れない。
僕が質問に立ったのは、実はそういう意図もあったわけである。


質疑応答が終わり、隣のレストランに移った。
ここではビュッフェスタイルの料理が用意されており、30名ほどの参加者が料理をつまみながらいろいろ話をしたり名刺交換をしたりというのは、靭公園でのカンスポのいつもの光景だ。
そしてもう一つのいつもの光景。
テーブルにはピッチャーに入った生ビールと赤ワインが用意されている。


そのピッチャーをすぐ目の前からどかせ!
そう怒鳴りたかった。
なぜか?
カンスポのもう一つの楽しみは、ビールを飲みながらスポーツについて話し合うことではなかったか?


実は、翌日に肝臓のエコー検査を受けなければならなかったため、アルコールは厳禁だったのである。
9月は健康診断の季節だからか、我が国きっての敏腕記者であるえむすぽ記者など、健康診断を受けた結果、肝臓に異常ありという人がやたら多いのだ。
えむすぽ記者は酒はさほど呑まないのに、要精密検査という診断結果が出たそうだ。
僕は2週間前に自発的に肝臓の血液検査を受けたが、えむすぽ記者ですら肝臓障害があったのに、僕が異常ナシのわけがない。
当然、もう一度今度はエコー検査を受けよ、という指示が出たのだが、病院が指定してきた日にちはなんとカンスポの翌日。
なんで再検査を受けるのに2週間もかかるのかと思ったが、予約が詰まっていたのだろう。
おかげでこの2週間、アルコールは一滴も口にしていない。
しかし、目の前に冷たいビールが置かれ、他の連中がそれを旨そうに飲み干しているのを、ただ指をくわえて見ているのは、僕にとって拷問以外の何物でもない。
なるだけビールとワインから目を逸らし、ひたすらウーロン茶を飲んでいた。
間の悪いことに、ビュッフェに並んでいたのは好物の鶏の唐揚げ。
あれを生ビールで流し込めばどれほど旨いことか。


僕のアルコール忍耐物語はどうでもいいので、話をカンスポに戻そう。
各テーブルで和やかな談笑が続いていたが、僕はころ合いを見計らって田渕監督のテーブルに行った。
質疑応答に答えてくださったお礼を言い、名刺を交換してレオレッサについてさらに質問を続けた。
田渕監督の講義の内容と、僕の質問事項を要約すると以下の通りだ。


女子サッカーリーグは1990年ごろに発足。
その後はJリーグ発足によるサッカーブーム到来で一時期は世界最高の女子サッカーリーグと言われるまでになったが、バブル崩壊により大手企業が次々に撤退、女子サッカーはたちまち冬の時代を迎えた。
しかしその後も経費節減を行い細々と活動を続けていたが、その頃にNPO法人としてINACが発足、そのトップチームとして女子サッカーチームのINACレオネッサが誕生した。
女子サッカーリーグは「なでしこリーグ」と改称したが、レオネッサはトントン拍子に昇進し、2006年に念願のなでしこリーグ1部に昇格した。


なでしこリーグはバブルの頃とは異なり、入場料を取らずに運営していた。
入場料を取っていた頃でもせいぜい500円程度であり、ハッキリ言ってその程度でリーグを運営していくのは不可能だ。
それどころか有料試合にすると会場使用料が数倍に跳ね上がり、整理人員の人件費を加えると無料の方がよっぽど経費が安くつく。
そこでなでしこリーグは全試合無料にして経費節減し、リーグの生き残りを図った。
結果、なでしこリーグは存続することができたが、無料試合ばかりではいくら経費がかからなくてもそれ以上の発展はない。
今季は何試合か有料試合(800円程度)が設定されており、2013年に全試合有料化を目標としている。
しかし、その道のりは険しいらしく、レオネッサの場合無料にもかかわらず1試合平均で500人ぐらいしか集まらない。
人気チームの浦和レッズですら2,000人程度で、今のままでは全試合有料化はとてもおぼつかない。


それでも今季は、北京オリンピックなでしこジャパンが4位と大健闘を見せたため、なでしこリーグへの関心が高まった。
なでしこジャパンの催し物にはスポンサーもついて、レオネッサもなでしこジャパンに数名選手を送り出していたので、1日2,3件、合計60件以上の取材を受けるという、以前には考えられない状況が続いた。
当然、なでしこリーグにも好影響を与えたが、そんな中で衝撃的な事件が起きた。
優勝経験もある強豪のTASAKIペルーレが女子サッカー部を休部、なでしこリーグ退会が発表された。
ペルーレ田崎真珠(株)が所有し、部員のほとんどが田崎真珠の社員という、いわゆる「企業チーム」だが、本社の業績悪化を受けて休部せざるを得なくなった。
これが企業チームの怖いところで、会社の業績がいいときはクラブの運営費は社員の福利厚生費、あるいは会社の宣伝費として扱われるので、潤沢な資金を得ることができ、クラブ自体は赤字でも会社が補填してくれるので高いレベルを保つことができる。
しかし業績が悪化すると真っ先に切られてしまう部門でもあり、チームの実力は関係なく解散を余儀なくされる。
特にバブル崩壊後は日本式企業スポーツの地盤の脆弱さが指摘され、地域密着のクラブチームが台頭してきた。


では地域スポーツクラブが安泰かと言えば、そんなことはもちろんない。
大金持ちがパトロンとしてバックについている欧米のクラブチームとは事情が違う。
企業チームのような親会社がない以上、別のところから資金を調達しなければならない。
レオネッサの場合は81社ものスポンサーがあるそうで、そこから運営費を捻出している。
しかしそれでもスポンサー料は年間1億2千万程度で、バブルの頃の企業チームに比べると3分の1にすぎない。
しかも企業チームに比べると、スポンサーになるメリットがあまりに少ないため、協賛してくれる企業もなかなか見つからない。
それでスポンサー料は安くても、その分数多くのスポンサーに頼ることになる。
そうすることにより、企業スポーツのように大きな資金は得ることはできなくても、企業の業績に左右されて「親ガメこけたらみなこけた」という事態は避けることができる。
スポンサーの付け方としては、よくあるのがお馴染みの広告ユニフォーム、競技場の広告看板などから、選手個人に対するスポンサー、果ては自動販売機を提供するというのもあるらしい。
レオネッサの場合はメインスポンサーがアスコホールディングス(株)という会社で、その関連企業がアスコとの関係を強化したいという目的でスポンサーにつくという例もあるという。
そして最近ではサブプライムローン問題も深刻で、それによって撤退あるいはスポンサー料カットを要求されたり、金は出せないけど我が社の商品を無料提供するというのでどうか、という問い合わせが目立つそうだ。


もう一つの問題が、言うまでもなく選手の育成だ。
いい選手を集めたければ待遇や練習環境を良くする必要があるが、資金が集まらないとそれもままならない。
この点でもバブルの頃は数多くのプロ契約選手を抱え、自前のグラウンドを持っていた大企業のチームとは、現在の多くのチームと大きく異なる。
企業チームならその企業の社員として働くことができるが、地域クラブチームではそれもできない。
選手が他に仕事を持っているのは当たり前で、サッカーに練習時間を割きたいために月収6万円程度のアルバイトに甘んじている選手もいるらしい。
場合によっては遠征費も選手の自費で、ある選手は夜行バスで試合当日早朝に現地に着き、喫茶店で休んだあと午後から試合、試合が終わると再び夜行バスに乗り込み、翌日朝から仕事に出かける、なんてこともあったそうだ。


しかし現在でもプロ契約の選手はいる。
レオネッサの場合、外国人選手を含めてプロ契約選手が6人おり、現在のなでしこリーグでは最多だ。
プロ契約選手は他に仕事はせずサッカーに専念し、年俸契約(11カ月)で1年間の生活保障はしてくれる。
そう考えるとアマチュアの選手より恵まれているように見えるが、逆にいうと1年で簡単にクビを切られるケースも珍しくない。
クビを切られると、たとえアマチュアになってもそのチームのトップチームに留まることはできず、ある意味でアマチュア選手よりも厳しい。
プロ契約した選手にはサッカーに専念できる環境を与える代わりに、常にレベルアップが要求され、それができなければ容赦なく切られてしまう。
ちなみにレオネッサでは、プロ契約以外でもスポーツ契約社員というのもあるのだそうだ。


上記のようになでしこリーグを取り巻く環境はかなり厳しいようだ。
しかし田渕監督は、前述したように2013年には全試合有料化を実現させたい、と熱く語っていた。
そのためには客が金を出しても観に行きたいと思えるようなレベルの試合が必要だとも言っていた。
現在の女子サッカー人口は約6万人で、2013年までにはその5倍の30万人が目標だそうだ。
そして何よりも、なでしこリーグを商売にできるリーグにすることが必要だろう。
経費をペイできる入場料を観客に科し、その上で多くの客を集め、その金でチームを運営し選手が報酬を受け取る。
この理想を実現するのはかなり難しいが、それでも不可能とは思えない。


そのモデルケースとなるのがアメリカプロ野球のマイナーリーグではないか。
マイナーリーグにはメジャーリーグのようなスターはいなくても、地域の球団として地元のファンを持ち、入場料を取っても多くの観客が集まる。
ゼネラルマネージャーは人件費節約のために自らの手で飲食物やチームグッズを売り、それもチームの収入源となる。
地域企業も球場の看板などに広告を出し、それがスポンサー料になる。
それ以外にもメジャー球団からの育成料もあるが、それを除けば女子サッカーチームも似たような状況ではないか。


そして何よりも、選手たちにはサッカーに対する熱い情熱がある。
前述したように、選手たちを取り巻く環境は実に厳しい。
サッカーで成功したからと言って、大金を稼げるわけではない。
それでもサッカーを続けているのは、サッカーが好きだからだ。
好きでなきゃ、サッカーなんてやってられないのだ。


でも、サッカーが好きだからと言ってリーグが存続できるわけではない。
選手のサッカーに対する情熱というのは、リーグ運営に当たっては必要条件ではあるが、十分条件ではない。
それをサポートするのがチームであり、なでしこリーグであり、日本サッカー協会でもある。
選手にとっての必要十分条件は情熱+技量だが、運営者にとってのそれは情熱+アイディア+実行力だ。
むしろそれは、選手以上に重要なのかも知れない。
田渕監督はチームの理事長でもある。
それだけに単なるチームの将というだけでなく、なでしこリーグの成功を強く願っていると、話をさせてもらって感じた。


僕もレオネッサ、あるいはなでしこリーグの力になることはできないかと考えている。