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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

ラグビーの背番号が持ち番号制に!?

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スポーツの世界において、背番号は重要な意味を持つ。

背番号とはその選手にとって、名前そのものであり貌でもあるからだ。

 

プロ野球で背番号3といえば長嶋茂雄、背番号1は王貞治を思い浮かべる人は多いと思う。

この両番号は、読売ジャイアンツ永久欠番となっている。

メジャー・リーグでは、背番号3はベーブ・ルースニューヨーク・ヤンキースにおける永久欠番、そして背番号42は黒人初のメジャー・リーガーとされるジャッキー・ロビンソンの番号で、メジャー・リーグ全体での永久欠番となっているのだ。

そして、4月15日にはジャッキー・ロビンソン・デーとして、球団に関係なくメジャー・リーガーの全選手が背番号42を着けることになっている。

つまり野球の世界では、背番号とは個人の持ち物という意識が強い。

 

その反面、日本の高校野球では、背番号とはポジションを意味する番号である。

高校野球の投手ならば、誰もがエース・ナンバーの「1」を目指すだろう。

と言っても、例えば背番号2の選手が投手になっても、それは全然構わない。

高校野球における背番号とは、その大会ごとに固定されているが、試合では背番号に関係なくどのポジションに就いてもいいのだ。

ただ、ほとんどのチームがポジション別に背番号を充てている。

 

日本の高校野球に似ているのがラグビーだ。

ラグビーは日本のみならず国際的に、ポジション別に背番号を割り当てている。

そのポジション別の背番号を記してみよう。

 

【フォワード(FW)】

①左(ルースヘッド)プロップ(PR)=フロント・ロー

②フッカー(HO)=フロント・ロー

③右(タイトヘッド)プロップ(PR)=フロント・ロー

④左ロック(LO)=セカンド・ロー

⑤右ロック(LO)=セカンド・ロー

⑥左(ブラインドサイド)フランカー(FL)=バック・ロー

⑦右(オープンサイド)フランカー(FL)=バック・ロー

ナンバーエイト(№8)=バック・ロー

【バックス(BK)】

スクラムハーフ(SH)=ハーフ・バックス

スタンドオフ(SO)=ハーフ・バックス

⑪左(ブラインドサイド)ウィング(WTB)=スリークォーター・バックス

⑫左(インサイド)センター(CTB)=スリークォーター・バックス

⑬右(アウトサイド)センター(CTB)=スリークォーター・バックス

⑭右(オープンサイド)ウィング(WTB)=スリークォーター・バックス

フルバック(FB)

 

国によってポジションの呼び方は多少違うが、概ねこのポジション別に背番号が割り振られており、当然のことながら先発メンバーは①~⑮の背番号になっている。

日本の高校野球と違うのは、試合ごとに背番号が変わる点だ。

ラグビーでは前の試合で背番号1だった選手が、次の試合で先発から外れたために背番号16になるなんてことは珍しくない。

日本の高校野球では、背番号10の選手が先発投手を務めたり、あるいはライトにいるべき背番号9の選手が先発投手になっても全然構わないのだ。

もちろんラグビーでも、背番号1(左プロップ)の選手がフランカーに入っても構わないし、極端な話がバックスとなってもルール上の問題はない。

ただし便宜上、ポジション別の背番号となっているのが暗黙のルールである。

 

しかし、日本のトップリーグでは、2018年度からプロ野球のような持ち番号制に移行することを検討しているという。

たとえば、パナソニック・ワイルドナイツスクラムハーフ田中史朗なら、どんな試合でも関係なく背番号9になるということだ。

たとえフルバックとして出場しても背番号9、リザーブ(控え)でも背番号9というわけである。

もっと極端な話で言えば、田中が背番号86と決めると、どんな試合でも田中の背番号は86となってしまうのだ(背番号は二桁以内)。

 

トップリーグの狙いは、試合ごとに背番号が変わるとユニフォームのストックを多く揃える必要があって費用がかかることと、持ち番号制にすれば選手の貌にもなってプロ野球のようにユニフォーム販売促進にも繋がるということだ。

2017年2月に行われるトップリーグ選抜×サンウルブズ(スーパーラグビーに参加する日本チーム)の試合で試験導入するという。

もちろん、まだ決まったわけではなく試験段階だ。

 

ラグビーの持ち番号制について、ラグビー・ファンの間では賛否両論が渦巻いている。

賛成派は、ラグビー人気に繋がるのは大いに結構ではないか、という意見だ。

反対派は、背番号がポジションを現しているのは見ていてもわかりやすい、という意見である。

 

では、筆者の意見はどうかというと、よくわからないというのが正直なところだ。

どちらも一理あるからである。

それでも、どちらかと問われれば、心情的には「反対」だ。

やはり、試合を見ていると背番号でポジションを判断することが多いし、その方がわかりやすい。

でも、初心者にとっては、人気選手の背番号が固定されていた方が感情移入しやすい、という意見もよくわかる。

 

ポジション通りの背番号ではないと、最初は戸惑うだろうが、やがては慣れるかも知れないという気もする。

だったら、初心者にも感情移入しやすいように、背番号を選手個人の物にしてもいいのではないかとも思うのだ。

もっと言えば、プロ野球のように背番号の上には選手のネーム(田中ならTANAKA)を入れてもいい。

 

ラグビーの背番号で言えば、去年(2016年)に亡くなった平尾誠二さんを思い出す。

伏見工業高校(現:伏見工・京都工学院)時代はスタンドオフとしての10番、同志社大学に進学してからはインサイド・センターとしての12番、神戸製鋼(現:神戸製鋼コベルコスティーラーズ)では最初は10番ながら全盛期は12番となり、最後は10番として現役を終えた。

平尾さんの背番号は、10番、12番とも、全く違和感なく似合っていた。

ただ、1シーズンだけアウトサイド・センターの13番を着けていたことがある。

平尾さんはアウトサイド・センターでも素晴らしいプレーを見せていたが、それでも背番号13は違和感があったものだ。

 

もう一つの例は、オーストラリア代表(ワラビーズ)のデビッド・キャンピージ

1991年に行われた第2回ワールドカップでは、キャンピージは右ウィング(本来は背番号14)で出場しながら、背番号は11だった。

キャンピージの持ち番号は11番」という認識だったのである。

実際、キャンピージの背番号11は光っており、準決勝では世界最強のニュージーランド代表(オールブラックス)を破り、決勝では地元のイングランド代表に勝って、ワラビーズを初の世界一に導いた。

 

では、ラグビー界では昔からポジション別背番号制だったのかというと、そういうわけでもない。

むしろ、昔の方が遥かに曖昧だったのだ。

 

筆者の手許には、今から46年前の1971年(昭和46年)、花園ラグビー場で行われた日本代表×イングランド代表のVTRがある。

昔のラグビー・ファンならピンと来るだろうが、秩父宮ラグビー場で行われた日本代表×イングランド代表(結果は6-3でイングランドの勝ち)の前哨戦だ。

秩父宮での激闘は今でも伝説になっているが、どうしてどうして、この花園での一戦も凄い勝負だったのである(27-19でイングランドの勝ち)。

 

だがこの試合、イングランド代表の背番号はバラバラだったのだ。

たとえば、ロックの選手が背番号13だったり、スタンドオフが背番号3、ウィングが背番号6で、さらには先発メンバーの中に背番号20番台の選手が二人いたのである。

要するに、イングランド代表の選手たちは、好き勝手な背番号を着けていたのだ。

 

これは、当時のイングランド代表が日本代表との試合をテストマッチ扱いしていなかったことを意味する。

ラグビーにおけるテストマッチとは、国代表チーム同士の真剣勝負であって、テストマッチに出場した選手にはキャップ(帽子)が与えられるという、極めて重要な試合なのだ。

しかしこの年、日本代表との試合に出場したイングランド代表の選手には、キャップは与えられていない。

要するに、格下である日本代表との試合など、テストマッチに値しないというのがイングランドの見解だったのだ。

だから、イングランド代表の選手たちは、ポジションとは全く関係がないバラバラの背番号が着けられていたのである。

 

もう一つの例が、1984年に来日したフランス代表。

こちらはVTRが残ってなくて、筆者の記憶に頼るしかないのだが、間違いがあればご容赦いただきたい。

この年、日本選手権6連覇中だった新日鉄釜石(現:釜石シーウェイブス)とフランス代表が対戦した。

結果は、65-6でフランス代表の圧勝。

筆者は生まれてこの方”強い釜石”しか見たことがなかったので、釜石の惨敗は衝撃的だった(この年度でも新日鉄釜石は日本選手権を制し、7連覇を達成)。

そして、この試合でのフランス代表も「テストマッチではない」という理由で、背番号はバラバラだった記憶がある。

記憶違いだったらごめんなさい。

その後、日本代表とのテストマッチ(例によって、フランス代表はテストマッチ扱いしていない)では2試合とも完勝したが、背番号は規則通りポジション別に割り振られていたのではないか。

キャップ対象外だったとはいえ、一応はテストマッチとしての体裁をフランス代表は保ったわけだ。

 

それ以降、来日した外国チームは「格下の日本だから」という理由で好き勝手な背番号を着けることはなく、ラグビーの掟に則ってポジション通りの背番号を着けていたように思う。

 

これで、ラグビー界では必ずしもポジション別に背番号が割り振られていたわけではないとわかっていただけたと思うが、もし日本のトップリーグで持ち番号制が採用されたらどうなるか。

オールド・ファンからはかなりの反発があると思われる。

でも、スター選手の個人的な背番号が採用されたら、初心者には魅力的だろう。

そこで、オールド・ファンからも、初心者からも受け入れられる折衷案を二つ、提案してみる。

 

一つ目は、シーズンごとに背番号を固定するという案だ。

たとえば、トップリーグのシーズン・インの前に、各チームが選手の背番号を決めてしまうのである。

これは、従来のポジション別に則って、1番から15番までレギュラーと思われる選手の背番号を決めるのだ。

もちろん、試合によっては1番から15番以外の選手が先発出場してもいい。

これは、高校野球における背番号制度と似ている。

要するに、そのシーズンでの背番号を決めてしまって、あとは各チームの自由というわけだ。

ただし、そこには各チームの良識があって、ポジションに合った背番号を選手に割り振るのである。

こうすれば、オールド・ファンのアレルギーも防げるだろう。

そして、翌年度には新たな背番号を設置するのである。

 

もう一つは、持ち番号にするとしても、ポジション別に背番号の縛りを付けるという案だ。

これは、アメリカン・フットボールNFLで採用されている制度である。

これをラグビーに当てはめてみよう。

 

0~9=プロップ

10~19=フッカー

20~29=ロック

30~39=フランカー

40~49=ナンバーエイトナンバーエイトという呼称はどうなるのだろう?)

50~59=スクラムハーフ

60~69=スタンドオフ

70~79=センター

80~89=ウィング

90~99=フルバック

 

こうすれば、一目でポジションがわかるし、選手たちは10個の数字のうち自由な背番号を着けることができる。

慣れれば、観客にもポジションを見分けることができるだろう。

 

もちろん、これは試験段階であり、色々試してみるといい。

不具合があれば修正するか、あるいは廃止してもいいのだから。

建国10周年

我が忠勇なるネターランド王国の国民たちよ、明けましておめでとう。

2017年もまた、ネタラン国民としての誇りを持って、国王に尽してくれたまえ。

 

さて、ネタランが建国されたのは今から10年前の2007年6月28日、即ちネタランも今年で建国10周年を迎えたわけだ。

ここまで我がネタランが発展してきたのは、ひとえに国王の実力国民のご支援による賜物だと感謝している。

 

そして、ネタランのヒット数が遂に100万を突破した(カウンターでは98万ヒットになっているが)。

単純に計算すると、1年に10万ヒットということになる。

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 だが、驚いたのはそのことではない。

2016年12月31日(つまり昨日の大晦日)では、たった1日でなんと8650ヒットを記録したのだ。

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国王の記憶が正しければ、これまでの1日最高のヒット数はせいぜい5000ぐらい。

それも、夏の甲子園の時期に限られる。

普段は、だいたい500ヒットぐらいで、多くても1000ヒットというのが相場だ。

 

一体、何が起こったのか不思議だったが、どうやらラグビー・ライターの向風見也氏が書いた、東福岡が花園で記録した139点ゲームに関する記事で、そのネット上にネタランの記事が紹介されたらしい。

4年も前に書いた記事で、今読み返してみると「随分エラそうなことを書いているなあ」と赤面してしまうが、そこは国王が治外法権で書いた記事としてお許しいただきたい。

 

それはともかく、10年目を迎えたネタランを、今年も国民のみんなで盛り上げていただきたいと切に願望する。

2つのオフサイド

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先日、朝日新聞ラグビーのルールに関する記事が書かれていた。

その記事を引用してみる。

 

(前略)味方がキックした瞬間に、その選手のいる位置が「オフサイドライン」になる。そのラインより前にいる選手が、捕球した相手にタックルするなど、プレーに関与した場合はオフサイドの反則に。相手にペナルティ・キック(PK)が与えられる。(後略)

※2016年12月21日付けの朝日新聞夕刊より抜粋

 

この記事を読んで、おかしいと感じたラグビー・ファンがどれだけいただろうか。

おそらくは、違和感なく読んでしまった人がほとんどだろう。

ところが、この短い一文には、重大な間違いが潜んでいるのだ。

多分、多くの人はそれに気付いていない。

 

ラグビーを見ていると、必ずと言っていいほど「オフサイド」という反則に出くわす。

同じフットボールの、サッカーやアメリカン・フットボールにもオフサイドはあるが、ラグビーほど頻繁には出て来ない。

しかもサッカーのオフサイドでは相手ボールの間接フリー・キック(FK)、アメフトでは5ヤードの罰退と、さして重い罰は与えられないのである。

しかしラグビーでのオフサイドは、違反すると相手ボールのPKという極めて重大な反則となる。

ラグビーにおけるオフサイドとは、ルールの根幹をなすべきことなのだ。

オフサイドを知ると、ラグビーの8割を理解したと言っても過言ではない。

 

ところが、ラグビー・ファンの8割ぐらいは、オフサイドの根本的なことを知らないのである。

この記事を書いた朝日新聞記者も、おそらくそうだろう。

だが、だからと言ってこの記者を責める気にはなれない。

かくいう筆者だって、オフサイドに関する根本的なルールを数年前までは知らなくて、何年もかけてようやく理解できた。

 

ラグビーのルールでは、ボールを前に投げることはできない。

これはよく知られていることだ。

キックに関しては、前にボールを蹴ることができるが、前にいる味方のプレーヤーがそのボールに働きかけることはできない。

これがオフサイドである。

オフサイドとは、プレーできない選手のことであり、プレーできる選手のことをオンサイドと言う。

このことに関しては、前述の朝日新聞記事にも書いていることで、別に間違えたことを書いているとは思えない。

ところが、この記事には重大な誤りの文言が含まれているのだ。

 

それはオフサイドライン」という言葉である。

記事では、

「味方がキックした瞬間に、その選手のいる位置が「オフサイドライン」になる」

と書かれているが、このケースではオフサイドラインは発生しない

この根本的なことを理解している人は、ほとんどいないだろう。

むしろ、観戦歴が長いファン、あるいはかつてラグビーをしていた人ほど、このことを知らないに違いない。

 

そもそも、オフサイドラインとは何なのか?

このことを知るには、ラグビーには2種類のオフサイドがあることを理解する必要がある。

一つ目は、「一般のプレーにおけるオフサイド、二つ目は「ラック、モール、スクラムラインアウトで起こるオフサイドだ。

このことは、ラグビー・ユニオンの競技規則にもちゃんと書かれている。

上記の朝日新聞での記事は「一般のプレーにおけるオフサイド」だ。

ところが、「一般のプレーにおけるオフサイド」では、オフサイドラインは発生しない。

オフサイドラインが発生するのは、二つ目の「ラック、モール、スクラムラインアウトで起こるオフサイド」、要するに密集プレーで起きるオフサイドである。

この2つの異なるオフサイドについて説明していこう。

(注:以下の説明は、ワールド・ラグビー(WR)が発行する2016年度の競技規則に準ずる)

 

一般のプレーにおけるオフサイド

一般のプレーにおけるオフサイドとは、密集プレーが生じていない状態のことである。

そして、試合開始時には全てのプレーヤーがオンサイドである、これが大原則だ。

このことは、競技規則の第11条「一般のプレーにおけるオフサイドとオンサイド」に書いてある。

そして、試合が動くうちにオフサイド・プレーヤーが生まれてくるのだ。

 

たとえば、上記の朝日新聞による記事では、

「キックした選手より前にいる選手がオフサイドで、そのオフサイド・プレーヤーは相手のボール・キャリアにタックルしたり、ボールに働きかけてはいけない」

という意味のことを書いているが、それは間違いではない。

問題は『その選手のいる位置が「オフサイドライン」になる』という部分だ。

単にキックをしただけでは、オフサイドラインは発生しない。

競技規則の第11条を読んでも、「オフサイドライン」という文言は出て来ないのである。

最後に「オフサイドライン」という言葉が1ヵ所だけ出て来るが、それはラック、モール、スクラムラインアウト(つまり密集プレー)に関することだ。

要するに「一般のプレー」では、オフサイドラインは発生しないことがわかる。

 

ラグビーでは、ボールを持っている選手(ボール・キャリア)が先頭にいて、それより前にいる選手はプレーできないというのが大原則だ。

つまり、ボール・キャリアより前にいる選手はオフサイド・プレーヤーということになる。

だが、上記の朝日新聞記事のように、ボール・キャリアあるいはキッカーがオフサイドラインになることはない。

このボール・キャリア(キッカー)が基準になることは確かだが、それでもオフサイドラインは発生しないのである。

下の図をご覧いただきたい。

 

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赤チームの⑩スタンドオフがキックするが、赤チームの⑧ナンバーエイトスタンドオフより前にいるので、プレーに参加することはできない。

プレーに参加するとオフサイドの反則となる。

この場合、赤チームの⑧ナンバーエイトは、キックされたボールをキャッチした青チームの選手に対して、タックルなどはできないのだ。

もちろん、ボールがキャッチされなくても、赤チーム⑧ナンバーエイトの選手は、そのボールを取りに行くことはできない。

取りに行くと、オフサイドの反則となる。

 

しかし、赤チームの⑧ナンバーエイトがオンサイドになる可能性はある。

まずは、ボールを持った青チームの選手が、5m以上走った時だ。

このケースでは、赤チームの⑧ナンバーエイトはオンサイドとなる。

そして、青チームの選手がキックやパスしたり、故意にボールに触れても赤チームの⑧ナンバーエイトはオンサイドとなるのだ。

この場合は、赤チームの⑧ナンバーエイトは堂々とプレーに参加できる。

 

そして、味方のプレーヤーによっても、赤チームの⑧ナンバーエイトはオンサイドになる可能性がある。

一つ目は、ボールを持った選手(図ではスタンドオフの選手)がキックして、その選手が走ってオフサイド・プレーヤー(図ではナンバーエイトの選手)を追い越した場合だ。

なるほど、このケースでは、ボールを蹴った選手(図ではスタンドオフの選手)がオフサイドラインと考えてもおかしくはない。

 

ところが、2つ目のケースを見ると、「一般のプレー」にはオフサイドラインがないことがわかる。

ボール・キャリア(図ではスタンドオフの選手)がキックした後、キッカー(図ではスタンドオフの選手)よりも後ろにいた選手(図では⑫センターの選手)がオフサイド・プレーヤー(図ではナンバーエイトの選手)を追い越したら、オフサイド・プレーヤー(図ではナンバーエイトの選手)はオンサイドとなるのだ。

一旦、オンサイドとなれば、その選手(図ではナンバーエイトの選手)はプレーに参加できる。

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この際、キックしたボール・キャリア(図ではスタンドオフの選手)は一切動いてはいない。

もし上記の朝日新聞記事のように『その選手のいる位置が「オフサイドライン」になる』のならば、赤チームの⑩スタンドオフが動いていないのに、赤チームの⑧ナンバーエイトがオンサイドになるのは、おかしいではないか?

つまりこの点でも、一般のプレーではオフサイドラインは発生しないことがわかる。

 

他にも10mオフサイドというものがある。

味方のプレーヤーがキックした際、オフサイド・プレーヤーは相手のプレーヤーがボールをキャッチした地点、あるいはボールがバウンドすると予測される地点から10m後方にいなければならないという規則だ。

このオフサイド・プレーヤーは10m後方へ直ちに移動しなければならないが、味方プレーヤーの「キッカーもしくはオンサイド・プレーヤーに追い越され」ればオンサイドとなる。

このケースでももちろん、オフサイドラインは発生しない。

 

ラック、モール、スクラムラインアウトに関するオフサイド

次に、オフサイドラインが発生する、密集プレーでのオフサイドだ。

これは俗に、ライン・オフサイドと呼ばれる。

ラックとモールは、ラックがボールが地面にあるのに対しモールはプレーヤーがボールを持っていること、さらに人数の違い(ラックは双方1人ずつで成立するのに対し、モールはボール・キャリアとその味方1人および相手チームの1人から成立する)などがあるが、オフサイドラインについては基本的に同じである。

ただし、セットプレーたるスクラムラインアウトと、ルースプレーであるラックやモールでは、オフサイドラインの定義が違う。

まずは、ラックやモールなどのルースプレーから見てみよう。

 

【ラックやモールに関するオフサイドライン】

 

競技規則の第16条「ラック」に関しては、オフサイドラインの定義をこう記している。

 

「双方のチームに1本ずつ、ゴールラインに平行して2本のオフサイドラインが発生する

 

ここで注目していただきたい言葉は、オフサイドラインが発生する、という文言である。

発生する、ということは、要するに一般プレーではオフサイドラインはないということだ。

下記が、ラック(モールも同じ)における、オフサイドラインである。

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ラック(モールもそうだが)では、2本のオフサイドラインが存在するのだ。

図で言えば、赤チームのラックに参加している最後尾のプレーヤーの足がオフサイドライン、青チームのラックに参加している最後尾のプレーヤーの足がオフサイドラインというわけである。

赤チームに1人だけオフサイド・プレーヤーがいるが、この選手はすぐにオフサイドラインの後方に退かなければならない。

もちろん、この選手がプレーに参加すればオフサイドの反則となる。

 

ここで気を付けて欲しいのは、オフサイドオフ・ザ・ゲートとの違いだ。

タックルが成立しただけではラックは形成されず、従ってオフサイドラインは発生しない。

この場合はタックル・ボックスが発生し、そのボックスに横や前から参加するとオフ・ザ・ゲートの反則となるのである。

しかし未だに、オフ・ザ・ゲートをオフサイドだと思っている人が少なくない。

ヤフーの質問箱や、トップリーグのチームのサイトを見ると、「オフ・ザ・ゲートとはラックおよびモールに、横や前から入ること」などと説明している。

だがそれはオフ・ザ・ゲートではなく、オフサイドなのだ。

オフサイドとオフ・ザ・ゲートの違いについては、こちらを参照されたい。

 

一般のプレーにおけるオフサイドと、ライン・オフサイドとの違いは、ライン・オフサイドの場合は味方のいかなるプレーでもオフサイド・プレーヤーがオンサイドにはならない、という点だ。

一般のプレーにおけるオフサイドの場合は、オフサイド・プレーヤーがボール・キャリアあるいはオンサイド・プレーヤーに抜かれるとオンサイドになるが、ライン・オフサイドの場合はオフサイド・プレーヤー本人がオフサイドラインの後方に退かない限り、オンサイドとはならない。

また、相手側のプレーヤーが5m以上走ったり、キックした場合はオンサイドとなるが、相手側のプレーヤーがパスしただけではオンサイドとはならない

ここも、一般のプレーにおけるオフサイドとは違う点だ。

 

ただし、ラックやモールに参加しているプレーヤーにはオフサイドラインはない

いわば、ラックやモールに参加していれば治外法権なのだ。

もちろん、一旦ラックやモールから離れると、オフサイドラインの後方に退かなければならない。

 

スクラムに関するオフサイドライン】

スクラムにおけるオフサイドラインは、スクラムに参加していないプレーヤーは味方の最後方に位置するプレーヤー(通常は⑧ナンバーエイト)の足から5m後方にある(自陣のゴールラインがそれより前にある場合は、ゴールラインオフサイドライン)。

これは攻撃側、防御側とも同じだ。

そして、スクラムに参加しているプレーヤーにはオフサイドラインがないのは、ラックやモールと同じである。

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特例があるのは⑨スクラムハーフだ。

スクラムハーフオフサイドラインは、スクラム内にあるボールの位置となる。

ボールを投入した側の⑨スクラムハーフは、ボールより前に出るとオフサイドとなるが、片足だけ出た場合にはオフサイドとはならない。

一方、ボールを獲得しなかった側の⑨スクラムハーフは、ボールがスクラムの中にある間、片足でもボールより前に出した場合にはオフサイドとなる。

この際、⑥⑦フランカーと⑧ナンバーエイトの間のスペースに入って行ってはいけない。

 

また、ボールを獲得しなかった側の⑨スクラムハーフが、ボールが入れられる反対側に動いて、オフサイドラインを踏み越えた場合はオフサイドとなり、その⑨スクラムハーフオフサイドラインは、味方チームのスクラムの最後尾の足を通るラインである、という条項もある。

図で言えば、⑧ナンバーエイトの足の位置が、ボールを獲得しなかった側の⑨スクラムハーフにおけるオフサイドライン、というわけだ。

 

なお、スクラムはボールがトンネル(双方のフロント・ローの間の空間)以外から出た時に終了する。

そして、オフサイドラインも解消されるわけだ。

もちろん、スクラムが終了する前にオフサイドラインより前にいたプレーヤーは、プレーに参加するためにはオフサイドラインの後方に退かなければならない。

 

ラインアウトに関するオフサイドライン】

一番ややこしいのは、ラインアウトに関するオフサイドラインだ。

ラインアウトにおけるオフサイドラインは、ラインアウトに参加するプレーヤーとそうでないプレーヤーに分かれ、ラインアウトの参加人数はボールを投入する側が決定できる(相手チームはそれよりも少なくてもいいが、多くてはいけない)。

ラインアウトに参加しているプレーヤーは、ボールを投げ入れるスローワー(図では②フッカー)、ラインアウトに投げ入れられたボールを受けとるレシーバー(図では⑨スクラムハーフ)、そして並んでいるラインアウト・プレーヤー(図では6人)だ。

それ以外の選手は、ラインアウトに参加していないことになる。

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ラインアウトに参加していないプレーヤーのオフサイドラインは、ラインアウトの中心線となるライン・オブ・タッチから10m後方になる(自陣のゴールラインがそれより前にある場合は、ゴールラインオフサイドライン)。

ラインアウトが終了すれば、それよりも前に出て来ていいわけだ。

だが、ラインアウトがいつ終了するのか、そのことについて知っている人は意外に少ない。

 

ラインアウトは、ボールもしくはボール・キャリアがラインアウトから離れた時に終了するのである。

競技規則では、次のように明記されている。

●ボールがラインアウトからパス、ノックバック、またはキックされたとき。
ボールまたはボール・キャリアが5mラインとタッチラインの間の区域に移動したとき。

ラインアウト・プレーヤーが、ビールオフ(味方のラインアウト・プレーヤーによってボールがパスまたはノックバックされるとき、プレーヤーがそのボールを受けようとしてラインアウトから離れること)をするプレーヤーにボールを手渡したとき。
●ボールが15mラインを越えて投げ入れられたとき、またはプレーヤーがボールを持って15mラインを越えたとき。
ラインアウトにおいてラックまたはモールが形成され、ラックまたはモールに参加しているプレーヤーのすべての足が、ライン・オブ・タッチを越えて移動したとき。
●また、ボールがラインアウト内でアンプレアブルになったとき、ラインアウトは終了し、スクラムによって再開される。

 

これらの状態になるとラインアウトは終了し、ラインアウトにおけるオフサイドラインは解消されるわけだ。

ただし、ラインアウトからラックやモールになることは多々あるが、その場合はラックやモールのオフサイドラインが発生することになる。

ラインアウトが終了した時、レフリーが「前に出て来ていいよ」とラインアウトの終了を合図することがあるが、これはレフリーの義務ではなく、好意でやっているだけに過ぎない。

従って、プレーヤーはラインアウトの終了についてルールを知っておく必要がある。

 

ややこしいのは、ラインアウトに参加しているプレーヤーのオフサイドラインだ。

まず、ボールを投入する側のスローワー(図では②フッカー)がタッチラインの外側にいるのは当然だが、相手チームのプレーヤー(図では②フッカー)はタッチラインと5mラインの間、さらに5mラインから2m離れてなければならない。

また、両チームのレシーバー(図では⑨スクラムハーフ)は、味方プレーヤーよりも2m以上後ろで、さらに5mラインと15mラインの間に立たなければならないのだ。

ただし、これらに違反してもオフサイドというわけではなく、相手チームにFKが与えられるだけである。

 

なお、スローワー(図では②フッカー)はボールを投げ入れた後、次の4つを選択しなければならない。

タッチラインから5m内にとどまる。

●ライン・オブ・タッチの後方10mのオフサイドラインの後方に退く。

●ボールが投げられた後、直ちにそのラインアウトに加わる。

●レシーバーの位置に動く。ただしこれは、他のプレーヤーがレシーバーの位置にいない場合に限る。これら以外の位置への移動は、オフサイドとなる。

 

次に、ラインアウト・プレーヤーの位置だ。

ラインアウト・プレーヤーは5mラインと15mラインの間に一列で並び、相手のラインアウト・プレーヤーから1m(ライン・オブ・タッチから50cm)離れなければならない。

もちろん、これらに違反してもオフサイドとはならず、相手チームのFKとなる。

 

ラインアウト・プレーヤーにおけるオフサイドラインとは、ライン・オブ・タッチである。

しかしそれは、スローワーがボールを投げ入れる前、そしてボールを投げ入れた直後にのみ適用されるのだ。

ボールが投げ入れられた後、そのボールが地面あるいはプレーヤーに触れた時、ラインアウト・プレーヤーにおけるオフサイドラインはボールの位置となる。

その場合でも、ラックやモールが形成されれば、ラックやモールのルールに従ったオフサイドラインが発生するのだ。

つまり、ライン・オブ・タッチやボールの位置におけるオフサイドラインは、ほんの一瞬だけに発生するラインということになる。

 

オフサイドではないプレー

最後に、オフサイドではないプレーについても記しておきたい。

よく、オフサイドではないのにオフサイドと誤解されていることが多々あるのだ。

その最たるものが、キックオフあるいはリスタート・キックに関することである。

 

試合開始、あるいは後半開始のキックオフ、そして得点後のリスタート・キックでは、キックする側のプレーヤーはキッカーよりも後ろにいなければならない。

もし、キッカーよりも前にいるプレーヤーがいると、それは反則となる。

こんな時、必ずと言っていいほど相手チームから声が掛かるのは「オフサイド!」という言葉だ。

だがこれは、本当にオフサイドなのだろうか?

結論から言えば、これはオフサイドではないのである。

 

先述したように、試合開始時には全てのプレーヤーがオンサイドである、これが大原則だ。

つまり、試合が始まってもいないのに、オフサイド・プレーヤーなど存在しないのである。

だが、キックオフやリスタート・キックの際に、キッカーより前に出てはならない。

このルールに違反すると、オフサイドではないのか?

 

しかし、これはオフサイドではない。

単なるミス・プレーである。

なぜなら、試合開始時には、オフサイド・プレーヤーは存在しないのだから。

 

キッカーよりも前に出ているプレーヤーがいたら、どんな判定になる?

それは、キッカーの相手ボールによるセンター・スクラムとなるのである。

もしオフサイドならば、PKになるのは当然だ。

しかし、センター・スクラムなのだから、オフサイドではないことは自明の理である。

実際に、競技規則の第13条「キックオフと試合再開のキック」の3項には、オフサイドの文言は見当たらない。

オフサイドでPKにならないのは、偶然のオフサイド(アクシデンタル・オフサイド)の時だけである。

 

これは、ドロップアウトの時にも言える。

ドロップアウトの時、キッカー側のプレーヤーはキッカーより後方に位置していなければならないが、それに違反した場合は22mライン上の中央での相手ボールのスクラムとなる。

競技規則第13条16項には、こう書かれているのだ。

キッカー側はすべて、キックをするとき、ボールの後方にいなくてはならない。これに反するときは、22mラインの中央でスクラムを組み、相手側がボールを入れる。

 

ここでも「オフサイド」という文言は見当たらない。

しかも、罰はPKではなく相手ボールのスクラムである。

要するに、オフサイドではないのだ。

 

まとめ

以上、オフサイドに関する根本的なことをご理解いただけたと思う。

ラグビーにおいて、オフサイドとはゲームの本質的な部分を示すと言える。

それだけに、オフサイドというものを、充分に知っていただきたい。