かつて、プロレスラーのアントニオ猪木がプロボクサーのモハメド・アリと異種格闘技戦を行った。
プロレスとボクシング、どちらが強いかという、誰もが夢想する興味を湧きたて、この試合は全世界に衛星中継された。
どの競技が一番強いか、格闘技における永遠のテーマである。
そこで、異なる盤上競技が戦って、強い競技はどちらか、という試合があったら面白いのではないか、と思った。
それでぜひ実現させたいのが、日本将棋×チェスのミクスド・マッチである。
動きは細かいがバラエティに富んだ駒を擁する将棋と、駒の種類は少ないが豪快な動きをするチェス、どちらが強いか。
考えただけでワクワクするではないか。
両者が対戦するルールを考えてみた。
もちろん、指すのは将棋とチェス、お互いの名人同士である。
(1)将棋はチェスのキング、チェスは将棋の玉将を取った時点で勝ちとする(詰み、あるいはチェックメイト)。
(2)9×9の将棋盤で試合をする。
(3)将棋、チェス共に正規の駒の並べ方だが、チェスは一列余るので、左右いずれかの端を空ける。どちらを空けるかは、チェスのプレーヤーの自由。ただし、キングは将棋の玉将と同列、つまり中央の列に配置しなければならない。
(4)チェス側の空いた二枡は、将棋、チェス共に侵入することができない。したがって、実際に使用する枡は9×9−2で79枡となる。配置は下の2種類の写真いずれかである。色が付いた二つの枡は使用しない。
(5)双方ともに、持ち駒は使用できない。あくまでも将棋の駒とチェスの駒の一騎打ちである。
(6)将棋は敵陣三段目に入ると、飛車、角行、銀将、桂馬、香車、歩兵は成ることができる。チェスはポーンのみ、敵陣一段目に入るとプロポーションする(成る)ことができる。動き方は、将棋、チェスの規定通り。
(7)チェスはキャスリングはできるが、アンパッサンはできない。
(8)千日手、ステールメイトは引き分けとする。
(9)時間制については、試合(大会)ごとに決める。
僕は将棋もチェスも、細かいルールは知らないので、もっといい案もあるだろう。
いい案があれば、ぜひともお知らせいただきたい。
プロレスとボクシング、ライオンとトラ、カブトムシとクワガタ、そして将棋とチェスのどちらが強いか、実に興味ある戦いではないか。
あなたは将棋とチェス、どちらが強いと思いますか?
<駒の動き方>
○将棋
玉将(1枚)……全方向一歩ずつ行ける(チェスのキングと同じ)。
飛車(1枚)……前後左右どこまででも行ける(チェスのルークと同じ)。成ると斜め一歩ずつの動きが加わる(竜王)。
角行(1枚)……斜めどこまでも行ける(チェスのビショップと同じ)。成ると前後左右一歩ずつの動きが加わる(竜馬)。
金将(2枚)……前後左右と、斜め(前のみ)一歩ずつ行ける。
銀将(2枚)……前と斜めに一歩ずつ行ける。横と後ろは不可。成ると、金将と同じ動きができる(成銀)。
桂馬(2枚)……横に一歩、前に二歩の飛び石で移動。前方の二方のみ(チェスのナイトは同じ動きだが、八方に動ける)。成ると金将と同じ動きができる(成桂)。
香車(2枚)……前のみ真っ直ぐ、どこまでも行ける。成ると金将と同じ動きができる(成香)。
歩兵(9枚)……前のみ一歩ずつ動く(チェスのポーンに似ている)。成ると金将と同じ動きができる(と金)。
○チェス
K キング(1枚)……全方向一歩ずつ行ける(将棋の玉将と同じ)。
Q クイーン(1枚)……全方向どこまでも行ける(将棋の飛車と角行を合わせた動き)。
R ルーク(2枚)……前後左右、どこまででも行ける(将棋の飛車と同じ)。
B ビショップ(2枚)……斜め、どこまでも行ける(将棋の角行と同じ)。
N ナイト(2枚)……横(あるいは縦)に一歩、縦(あるいは横)に二歩の飛び石で移動。前後左右の八方に動ける(将棋の桂馬は同じ動きだが、二方にしか動けない)。
P ポーン(8枚)……前のみ一歩ずつ動くが、相手の駒を取る時のみ、斜め前に一歩だけ進む。そして、最初のみ二歩進むことができる(将棋の歩兵と似ているが、動きは複雑)。プロモーションする(成る)とキング以外の任意の駒と同じ動きができるが、最も強力なクイーンに成るのが普通。