サッカーのワールドカップ開催はもう間もなくだが、来年ニュージーランドで開催されるラグビーワールドカップの日本の7大会連続出場が決まった。
22日、東京の秩父宮ラグビー場で行われたアジア予選で、日本は香港相手に94−5で圧勝、4戦全勝であっけなく予選を突破した。
ハッキリ言ってアジアではジャパンは敵なしで、W杯への壁は自動ドアのようなものだ。
それだけジャパンが強くなったということだが、予選でこんな楽な戦いをしていると、本番の強豪国相手には対処できないのでは?と思ってしまう。
ちなみに、W杯の予選リーグで同組となるのは、ニュージーランド、フランス、トンガ、カナダ。
オールブラックス(ニュージーランド代表)とフランスには絶対に勝てない。
トンガとは過去に何度も好勝負を演じており、カナダに対してはなぜかジャパンは相性が良くて、前回のW杯でもノーサイド寸前で引き分けに持ち込んだが、実力的には両国ともジャパンよりは上だろう。
とはいえ、トンガとカナダには勝つ可能性があり、ジャパンにとっては夢のW杯2勝を挙げるチャンスだ。
ちなみに、世界ランキングでは日本が13位、カナダが14位、トンガが15位となっている。
それにしても、アジアのラグビーレベルの低下は目を覆うばかりだ。
近年、アジアでジャパンの最大のライバルだった韓国は、今回のアジア予選では4戦全敗。
特に日本にトップリーグができてからは、日本との差は開くばかりだ。
近鉄ライナーズに所属する韓国出身のキム・チョルウォンによると、韓国ではラグビーの試合を見に来るのは関係者か選手の親類ぐらいらしい。
「日本に追い付け追い越せ」を目標にしていた頃は強化に力を入れていたのだろうが、日本にトップリーグができて大きく水を開けられると、強化する目的もなくなったのかも知れない。
オリンピックに7人制ラグビーが採用されたので、これからは韓国もラグビー強化に乗り出すのだろうか。
いずれにしても、同じ地域にライバルがいないと、ジャパンもレベルを上げるのは難しいだろう。
ワールドカップ予選で思い出されるのが、1990年のことだ。
翌年、イングランド他で開催される第2回ワールドカップ、その出場権を賭けた予選が、秩父宮で開催された。
当時は現在とは地区割りが異なっていて、アジア・太平洋地区予選となっていた。
出場国は、日本、韓国、トンガ、西サモア(現・サモア)の4ヵ国。
W杯に出場できるのはこのうちの2チームで、即ち予選突破には2勝が必要だった。
太平洋地区のフィジーは第1回大会でベスト8に進出していたので、予選免除の特権が与えられていた。
フィジーがいないとはいえ、この3ヵ国相手に2勝というのは、当時のジャパンとしてはかなり過酷な条件だった。
当時は日本に劣らない実力を身に付けた韓国、そしてフィジーと互角の戦いをするトンガと西サモア。
日本は第1回W杯では予選なしで選抜出場されたが、第2回大会は本戦に出場できないのでは?という見方が一般的だった。
そこでジャパン監督の宿沢広朗は、韓国には勝てるという前提で、初戦のトンガ戦に全てを注ぎ込み、2勝を挙げて予選突破する、という戦略を取った。
そして初戦のトンガ戦で、ケガをしていた林敏之、トンガ出身のシナリ・ラトゥの活躍でトンガがたまらず反則を犯し、細川隆弘が次々とペナルティー・ゴールを決めて、遂に難敵中の難敵・トンガを28−16で破った。
この試合に勝てばW杯出場となる第2戦の韓国戦、平日のデーゲームにも関わらず秩父宮には満員の観衆が詰めかけた。
前半は韓国のラッシュで6−10とリードを奪われたものの、韓国のスタミナが切れた後半には20点を奪って一気に逆転、26−10でW杯出場を決めた。
試合終了後、宿沢監督はスタンド裏でファンに捕まって、胴上げされたという。
この時のファンの興奮は、今回のW杯出場とは比べ物にもなるまい。
この頃のラグビー日本代表ことは、過去に「宿沢ジャパン平尾組〜W杯唯一の勝利」で連載しています。
ぜひご覧ください↓
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20070831/1188576922
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20070901/1188655441
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20070902/1188719104
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