日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎(行った回数:1回)

ゼロ カーボン ベースボール パークは2025年にオープンした、阪神タイガースの二軍本拠地施設だ。
なお、ゼロ カーボン ベースボール パークというのは二軍施設の総称で、本拠地球場として使用するメイン球場は日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎という。
(なぜ今更こんな記事を書くのかと言えば、前回の原池公園野球場を書くまで、この「想い出のフィールド」シリーズをすっかり忘れていたからである)
このSGLスタジアム、本当に二軍球場か?と思えるほど立派なもの。
以前の二軍本拠地だった阪神鳴尾浜球場や阪神浜田球場とは、その差は歴然だ。
まず、ナイター設備があり(鳴尾浜や浜田には無し)、全席有料で収容人員数は内野席が約3600人で臨時外野席を含めると約4400人(鳴尾浜は約500人の全席無料)、ビールや弁当などの売店まであった(鳴尾浜はジュースの自動販売機のみ)。
つまり、鳴尾浜球場は二軍選手が鍛錬するだけの場、SGLスタジアムは鍛錬の場でもありながらファンが楽しめる球場となっている。
それでも、鳴尾浜球場の前の本拠地だった浜田球場はもっと酷く、観客席もない草野球場のようなものだった。
実際に、鳴尾浜球場へ移転した後の浜田球場は、草野球場になっている(現在は取り壊し)。
それでは、浜田球場~鳴尾浜球場~SGLスタジアムの移り変わりを見てみよう。
▼1979~1994年まで阪神二軍の本拠地だった阪神浜田球場(写真は移転後)

▼1995~2024年まで阪神二軍の本拠地だった阪神鳴尾浜球場

▼2025年から阪神二軍の本拠地になった日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎

さて、ここからはゼロカーボンの周辺を写真で見ていきたい。
最寄り駅は阪神本線および阪神なんば線の大物駅で、徒歩5分という便利な場所にある。
何しろ、大阪梅田駅と大阪難波駅、さらには神戸三宮駅から乗り換えなしで行くことができるというアクセスの良さだ。
▼大物駅からSGLスタジアムの照明塔が見える

▼球場前には二軍戦とは思えないほど大勢のファンが集まる

▼SGLスタジアムの外観

▼SGLスタジアムの隣りにある、一般人利用可能な小田南公園軟式野球場

▼レフト側外野席の入口

▼SGLスタジアムのライト後方にある内野練習場。その後ろは阪神なんば線

▼SGLスタジアムのエントランス近くにある広場

▼その広場にはキッチンカーが出店

▼SGLスタジアムの入口近くにあるタイガース・ショップ。チケットなしで入場可能

▼球場内にある売店で売っている虎風荘カレー。選手寮の虎風荘で若手選手たちが食べていたカレーで、SGLスタジアムでしか売られていない。食べてみたが、辛くて美味しかった(甘口や中辛などは無し)

▼試合開始前のSGLスタジアム。まだ空は明るく、これから暮れなずんでいく

▼写真の中央下にある看板がグラウンドの死角になり、ここだけが不満

▼従来の二軍本拠地球場では考えられなかったスコアボードのオーロラビジョン

▼すっかり日が暮れ、本格的なナイト・ゲームに。魚眼レンズで撮影

SGLスタジアムと鳴尾浜球場は何故ここまで違うのか?
それは、阪神球団が二軍で集客努力をしようとしている現れである。
簡単に言えば、二軍でも商売しようとしているのだ。
しかし、今までの阪神球団、というよりも日本プロ野球(NPB)各球団は、二軍で儲けようとは思っていなかった。
商売は一軍のみで、二軍は文字通りファーム(農場)、あくまでも選手育成の場としか考えていなかったのである。
したがって、鳴尾浜球場のみならず、二軍戦を入場無料にしているNPB球団は多いのだ。
だが、これはおかしい。
二軍と言えどもプロ野球には違いないのだから、お客様からお金を戴いて、その対価としてプレーを見せるのが本来の姿であるはずだ。
二軍選手だって年俸を貰っているプロなのだから、単に練習するだけではなく、お金を払っているファンに野球を見せるという意識を持つべきである。
それが徹底しているのがメジャー・リーグ(MLB)だ。
MLBにはNPBの3倍近い30球団もあるが、アメリカの国土面積が日本の約26倍もあることを考えると少ないぐらいである。
しかし、MLB球団は広大なファーム組織、即ちマイナー・リーグを傘下に収めているのが特徴だ。
NPB球団にはファームは基本的には二軍しかないが(球団によっては四軍まであるとはいえ、三軍以下は育成選手中心の編成であり練習が主な目的で、練習試合はあっても公式戦はない)、たとえば大谷翔平が所属するロサンゼルス・ドジャースの場合はマイナー・チームを4球団、最下層のルーキー級を2チームも擁している。
今、さらっと『マイナー・チームを4球団』と書いたが、ここがNPBと根本的に違うところだ。
阪神は一軍だろうが二軍だろうが阪神タイガースだし、経営母体も同じだが、ルーキー級を除く各マイナー・チームはMLB球団とはチーム名も経営母体も変わるのである。本拠地だって、MLB球団の近くとは限らず、むしろ遠く離れている方が圧倒的に多い。
ドジャースの場合、マイナーの3A球団はオクラホマシティ・コメッツ、2A球団はタルサ・ドリラーズで、多くのマイナー球団は独立採算制である。
つまり、MLB球団とは業務提携をしているというだけで、たとえば自チームの3A球団が来年は違うMLB球団の傘下になっていることだってあるのだ。
全米(カナダを含む)にはマイナー・チームが120球団もあり、MLB球団が保有するルーキー級のチームを含めるともっと増える。
マイナー球団は中小都市に本拠地がある場合が多いので、そこに住んでいる人はわざわざ遠い大都市で行われているMLBの試合を観に行くよりも、地元でマイナー球団の試合を観戦することが多いのだ。
ここに、アメリカのマイナー・リーグ文化があるわけで、日本で言えば相撲の「江戸の大関より土地の三段目」という感覚である。
したがって、アメリカではマイナー・リーグだって立派なプロ野球だし、NPBの二軍と違いマイナー球団にはオーナーやゼネラル・マネージャー(GM)もいるので、興行として成り立たせる必要があるのだ。
マイナー球団のGMが球場でホットドッグを売ることだって珍しくない。
その理由は経費節減もあるが、もう一つは球団経営の基礎を学ぶことで、将来はMLB球団のGMを目指すのだ。
マイナー・リーグは選手や指導者だけではなく、経営者も育てているのである。
以前の鳴尾浜球場のように、売っているのはジュースの自販機のみなど、ファン無視も甚だしい。
しかも、鳴尾浜球場にはナイター設備が無かったため、平日でもデー・ゲームだったので、一般サラリーマンは来場しにくかったのである。
▼鳴尾浜球場には売店はなく、あったのはジュースの自動販売機のみ

しかし、近年になってようやくNPB各球団も、ファームを単なる選手育成の場ではなく、集客を意識するようになってきた。
さすがに一軍と二軍で経営母体を変えるようなことはなさそうだが、阪神二軍と時を同じくして読売ジャイアンツの二軍本拠地も新球場のジャイアンツ タウン スタジアムへ変更し、SGLスタジアムに負けない豪華な施設でファン・サービスにも取り組んでいる。
それ以外の球団も、老朽化した二軍施設をリニューアルしたり、二軍本拠地を移転したりする動きが活発になってきた。
移転の場合でも、多くの自治体が招致活動を行っており、つまり二軍でも集客が見込めるようになったのだ。
これは喜ばしい現象で、この流れを止めないでいただきたい。
SGLスタジアムがその呼び水になったのは、阪神球団は誇っていいだろう。
