昨日はエイプリル・フールということで、みなさんも何か愉快なウソをついただろうか。
かくいう僕も昨日、ここで例年通りタイガース大嘘ネタを披露したのだが。
さて、4月1日といえば、「4月1日生まれは、なぜ早生まれなのか」という疑問を誰もが抱いたことがあるだろう。
日本の学校では4月1日をもって入学とされるのだから、「4月1日~翌年3月31日生まれが同学年」とするのが普通だと思うのだが、実際には「4月2日~翌年4月1日生まれが同学年」となっている。
4月1日生まれの有名人といえば、元プロ野球選手の桑田真澄が思い出される。
桑田はPL学園高校一年生の時に、夏の甲子園で優勝投手になったのだから、甲子園史上最年少優勝投手ということになる。
この年の夏の甲子園で最も注目されていたのは、池田高校が史上初の夏春夏3連覇を果たすかどうかだったが、準決勝でPLが対戦し、桑田が完封した上に超特大ホームランを放つというワンマンショーで7-0と池田に大勝、池田最強伝説を崩壊させた。
4月1日生まれの一年生ということは、実質は中学生のようなものである。
その「実質中学生」が、どの高校生投手も抑えることができなかった池田の強力打線を完封し、「実質中学生」が、どの高校生打者も打てなかった豪腕投手の高校三年生・水野雄仁から超特大ホームランを放ったのだ。
4月1日生まれの人は幼少期では、他の同学年の人に比べて1年ぐらいの発育の差があり、大きなハンディがあると言われる。
桑田の母親もそのことを憂慮し、桑田を出産するとき担当医師に「なんとか4月2日生まれにできないか」と頼んだそうだが、当時の医療技術ではそれもままならなかったようだ。
実際、桑田が小学生の時には4月1日生まれのハンディがモロに出て、落ちこぼれだったそうである。
だが、結果的には4月1日生まれだったおかげで清原和博と同学年となり、KKコンビとして無敵のPL軍団を作り上げた。
実はKK一年時のPLは投手力が弱く、事実KK入学前の春のセンバツには出場できず、夏の甲子園出場も危ぶまれていた。
しかし、桑田という一年生がエースになったことにより投手力は充実し、夏の甲子園優勝に繋がった。
もし桑田が母親の意向通り1日遅れの4月2日生まれとなっていたら、この時点ではまだ中学生だったので、KKコンビも生まれなかったことになる。
しかも、PLには頼りになる投手がいなかったのだから、夏の甲子園には出場できなかった可能性が高い。
そうなれば、清原の甲子園デビューも遅れることとなり、さらに清原にとって桑田という最大の球友にして最大のライバルが同学年にいなかったということなので、その後も順調に育ったかどうかもわからない。
それどころか、現在の球界勢力図も大幅に変わったはずだ。
その意味では、桑田が「予定通り」4月1日に生まれたのは、野球史を大きく左右する出来事だと言ってよい。
いや、普通に考えれば4月1日生まれは早生れではない(即ち、早生れの最後の日は3月31日)のだから、桑田はどう考えても清原より一学年下である。
ではなぜ、早生れの最後の日が3月31日ではなく4月1日なのだろうか。
これは、民法143条の「年齢計算に関する法律」で、「満年齢は出生の日から起算して、翌年の出生日の前日に満了する」と決められているからだ。
つまり、4月1日生まれの人は、3月31日に一つ歳をとる、ということである。
じゃあ、4月1日生まれの人は、3月31日が誕生日なの?
いや、そういうわけではない。
4月1日生まれの人が一つ歳をとるのは、4月1日の0時、即ち3月31日の24時ということになるのだ。
つまり、4月1日生まれの人が1年を満了するのは3月31日ということになる。
2月29日生まれの人を例にとってみよう。
2月29日はご存知のとおり、閏年の4年に1度しかやってこない。
では、2月29日生まれの人は、4年に1度しか歳をとらないのか?
もちろん、そんなことはない。
毎年2月28日24時(閏年以外では3月1日0時)に1年を満了するのだ。
要するに、満年齢は誕生日ではなく、誕生日の前日が基準となるのである。
学校教育法では、「保護者は、子女の満6歳に達した日の翌日以降における最初の学年の初から、小学校に就学させる義務を負う」とある。
「学年の初」とは4月1日のことで、4月1日0時=3月31日24時に満6歳に達した子女を小学校に入学させなければならない、ということだ。
わかりやすく言えば、3月31日に満6歳に達した子供は小学校に入学させなければならない、ということになる。
前述のように4月1日生まれの人は3月31日で満年齢に達するのだから、早生れになるわけだ。
いわば、桑田はこのややこしい法律によって早生れとなり、KKコンビを築いて野球勢力図を塗り替えたのである。
桑田の例は特別として、4月1日生まれのハンディを考えれば、4月1日生まれの我が子を4月2日生まれとして、1年遅れの学年にしたいと思うのが親心というもの。
だが、4月1日生まれの子供を4月2日生まれと申請すれば、公文書偽造という罪で罰せられる。
こればかりは、「エイプリル・フールのウソでんねん」なんて言い訳は通用しない。