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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

WBCの行く末

3月15日(現地時間)、アメリカ・フロリダ州マイアミのマーリンズ・パークで行われた第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンド2組の敗者復活戦で、プエルトリコがアメリカを4-3で下し、決勝ラウンド(ベスト4)進出を決めた。

敗れたアメリカは2次ラウンド敗退が決定したのである。

 

これは大変な事態のような気がする。

アメリカといえば言うまでもなく、ベースボールの母国。

母国というだけでなく、メジャーリーグ(MLB)という世界最強の野球リーグを擁し、実力的にもアメリカが№1だということは誰もが認めるところだ。

それなのに、3大会連続で優勝を逃したのである。

 

ただ優勝を逃しただけならまだいい。

勝敗が分かれるのがスポーツであり、実力が上だからといって勝つとは限らないのだから。

ただ、内容がいかにもお粗末なのである。

 

第1回大会は2次ラウンド敗退、第2回大会は決勝ラウンド進出するも準決勝で敗退、そして今回の第3回大会でも2次ラウンド敗退……。

3大会中2大会で決勝ラウンドすら進出できないのでは、ベースボール最強国でございとはとても言えないのではないか?

 

もちろん、アメリカにも言い分は山ほどある。

曰く、我々はベストメンバーではなかった。

曰く、3月という時期はペナントレースの準備の段階で、選手達はベストのパフォーマンスができる状態ではなかった。

etc.

 

だが、これは「言い分」ではなく「言い訳」だ。

第2回大会の準決勝、日本に4-9で敗れたあとの記者会見で、アメリカ人記者がデレク・ジーターに厳しい質問を浴びせた。

「もはやベースボールは、アメリカのナショナル・パスタイム(国技)ではなくなったのではないか?」

と。

ジーターはこう答えた。

「1試合に負けただけだ。1試合だけなら、どんなことだって起こりうる」

この答えにアメリカ人記者たちは納得せず、ある記者はこう嘆いた。

「1試合だけじゃない。アメリカのベースボールが敗北したのだ」

 

ジーターの言い分は正しい。

野球というスポーツは番狂わせが起きやすく、投げる投手や打線の調子によってチーム力が大きく変わるので、1試合や2試合では実力が測れないのだ。

各国の野球リーグが1シーズンに100試合以上も行うのはそのためである。

 

だが、それでもジーターの言い分はあくまでも「言い訳」だ。

大会が始まる前から、そんなことはわかりきっているのである。

そしてアメリカが敗れたあとに必ず出てくるのが、前述したように「ベストメンバーではなかった」「準備期間が足りなかった」というもの。

だが、そんなことはアメリカに限ったことではない。

 

日本や韓国は、今大会ではメジャーリーガーなしで挑んだ。

それはチーム編成上の都合ではなく、メジャー球団がプロテクトしたからである。

要するに、アメリカの都合で日本や韓国はベストメンバーを組めなかったのだ。

それでも日本は決勝ラウンド進出を果たした(韓国は1次ラウンド敗退)。

同じく決勝ラウンドに進出したドミニカ共和国プエルトリコだって、メジャーリーガーは含まれているにせよ、決してベストメンバーではなかった。

それでも、いずれもアメリカを破って堂々と4強入りしたのである。

 

3月という時期なので、ベストコンディションではないというのは、最も醜い言い訳だ。

本気でWBCに臨むのなら、大会に合わせて調整すればいいだけの話である。

アメリカ代表が合同練習を始めたのは3月3日。

アメリカにとってのWBC初戦は3月8日だったから、僅か5日間しか合同練習ができなかったわけだ。

もちろん選手達は自主トレをしたり、それぞれの所属チームでキャンプを行っていたのだろうが、たった5日間の合同練習では一つのチームとしての連帯感は生まれないだろう。

それで優勝できると思っていたとしたら相当甘い考えで、実際に過去2回の大会では優勝できなかったではないか。

ちなみに日本代表は2月14日に集合して、翌15日から合同練習を始めている。

日本の初戦は3月3日だったので、たっぷり16日間は合同練習が出来たわけだ。

しかも、その間にNPB球団やオーストラリア代表と強化試合も行っている。

 

「日本チームはWBCごときに目の色を変えて準備しているのだから勝てて当然。我々アメリカ人メジャーリーガーにとってWBCなんて単なる花相撲だから、負けても恥じゃないんだ」

なんて言い訳の余地を残すために、準備期間を短くしているとしたら、それこそ恥ずべき考えだ。

まるで入学試験に落ちた受験生が、

「勉強してなかったんだから落ちたのは当然だ。ちょいと勉強すればあんな大学ぐらい、軽く合格してみせるさ」

などと自慢するようなものではないか。

 

そもそもWBCとは、MLBが始めたイベントである。

中立機関のFIFAが主催するサッカーのワールドカップとは全く違うと言ってよい。

このことは多く語られており、ここでも散々書いたので詳しくは書かないが、要するにWBCはMLBの都合によって運営されている。

オリンピックはおろか、IBAF(国際野球連盟)が主催するワールドカップやインターコンチネンタル・カップをMLBは一切無視し続けた。

そしてメジャーリーガーも参加するWBCを開催したのである。

開催時期も、MLBのペナントレースに支障がないように、3月開催とした。

要するに、MLBの都合で3月開催となったのだから、「この時期にベストパフォーマンスはできない」とアメリカ代表が言うのは、全く滑稽である。

 

また、WBCには参加しないというメジャーリーガーが続出。

これは選手本人の都合もあるし、所属球団が選手をプロテクトしてしまった場合もあるだろう。

例えばサッカーのワールドカップで、ロナウドやメッシが怪我以外の理由でワールドカップ出場を辞退するなんて考えられるだろうか?

「国内リーグが大切だから」という理由で本人が辞退すれば非難轟々の集中砲火を浴びるだろうし、所属チームが「ワールドカップで怪我をされたら困るから」なんて言ってプロテクトすれば、ファンは暴動を起こすだろう。

 

だが、まだ3回しか行われていないWBCでは、問題があるのは仕方がない。

高年俸のメジャーリーガーが、明日をも知れぬWBCに出場して怪我するのは多大なリスクだろうし、それはMLB球団も同じだ。

今ではオリンピックをも凌ぐスポーツ大会となったサッカーのワールドカップも、最初の頃は各国の足並みが揃わず、権威のある大会とは言えなかった。

WBCだって、回数を重ねるごとに問題点を修正していけばいいし、とにかくメジャーリーガーが参加する野球世界大会を始めることに意義があった。

世界一を決める大会なのに、投手の球数制限を施す奇妙なルールや、3月開催という無理な日程も、WBCが誰もが認める世界大会になれば是正されるだろう、と。

 

本気でWBCを世界的な野球大会にしようと思ったら、MLBのレギュラーシーズン162試合はいかにも多すぎる。

しかも、その後に長いポストシーズンの試合も控えているのだから、メジャーリーガーにとってはWBCどころではないだろう。

だが、WBCがメジャーリーガーやアメリカのファンにとってMLBのシーズン以上の価値がある大会になれば、レギュラーシーズン短縮も可能かも知れない。

今のところ、まだまだその可能性は低いが、WBCを世界的なスポーツイベントに成長させるなら、それは必要不可欠だろう。

現在は、WBCがそんな大会になるように種を蒔いている段階である。

 

だが、残念ながら現段階のWBCは、アメリカ本国では全く認知されていない。

幸い、WBCが行われているアメリカの球場で閑古鳥が鳴いているということはないが、多くのアメリカ人は野球ファンを含めてWBCなんてイベントが行われていることを知らないだろう。

テレビで全米ネット中継されることもなく、マスコミの扱いもいたって小さい。

日本でのWBC中継が視聴率30%も叩き出しているのが信じられないぐらいだ。

 

今大会でのアメリカの敗戦によって、WBCは変わるのだろうか。

いい方向に変わればよい。

しかし、

 3大会連続で優勝を逃したばかりか、2回目の2次ラウンド敗退は野球母国・アメリカの恥だ。

第4回大会こそは、最高のメンバーを揃えて準備万端し、野球大国・アメリカの威信をかけてWBC初制覇に挑む」

と、プライドを剥き出しにしてくれればいいのだが、逆のシナリオも考えられる。

「俺たちアメリカが優勝できなかったのは、WBCなんて本気で考えてなかったから。

怪我でもしたら大変だから、もうWBCなんてやめちゃっていいんじゃないの?」

 なんて、野球大国のプライドを捨てて、単なるメンツだけにこだわったら、WBCは退化するばかりか、続行する意義を失って中止されるかも知れない。

 

今後、WBCが世界的スポーツ大会に発展するか、あるいは消滅するかは、今大会でのアメリカ敗戦をMLB関係者がどう考えるか、にかかっている。

「所詮はMLBが儲けるだけの大会。でもアメリカ代表が負けて、MLBの商品価値が下がるのなら、WBCなんてやらないほうがマシ」

と判断するのなら、もうWBCに未来はないだろう。

でも、

「WBCによって北米のみならず、中南米やアジア、そして今大会のようにオランダやイタリアの躍進によってヨーロッパにまで野球が注目された。野球を世界的スポーツに広めるためにも、WBCをもっと発展させよう」

とMLBが考えたら、もっと大きなスポーツイベントになるかも知れない。

 

今大会で、素晴らしいシーンを目の当たりにした。

2次ラウンドで、アメリカに勝って決勝ラウンド進出を決めたドミニカ共和国プエルトリコの選手たちが、喜びを爆発させていたのである。

その姿は、まるで高校球児が甲子園で優勝を果たしたような喜びようだった。

いや、それ以上の興奮だったかも知れない。

ドミニカ共和国プエルトリコには多数のメジャーリーガーが含まれている。

そんな一流選手たちが、高校生のようにはしゃいでいたのだ。

こんなシーンがあるからこそ、WBCを開催した意義があったのだろう。

 

WBCを世界的なスポーツイベントにするためには、アメリカは今回の敗戦を充分に反省し、第4回大会は万全の態勢を敷いてWBCに臨んでもらいたい。

そして、一流のメジャーリーガーたちがベストのパフォーマンスを見せて、アメリカおよび世界の野球ファンにアピールしてもらいたい。

「WBCこそが、ワールドシリーズを超える、世界最高の野球イベントだよ」

と。