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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

トライを獲れるポジション

今日(2月5日)、日本ラグビー・トップリーグのレギュラーシーズンの全日程を終えた。
あとはトップリーグ王者を決めるプレーオフと、大学チームやクラブチームを加えた日本選手権を残すのみとなり、ラグビーシーズンもいよいよ大詰めを迎えることとなった。


さて先日、野球の四番打者で一番多い守備位置はどこか?というシミュレーションをしたが、ではラグビーでどのポジションが一番トライを獲れるのか?というのを知りたくなった。
昔からウィングというポジションがトライゲッターだと言われているが、本当にそうなのだろうか?
2003年にトップリーグが発足して以来の9年間、延べ11人のトライ王(トライ数が同数で複数のトライ王がいたシーズンがある)を輩出したが、ウィングが7人、ロック、フランカーナンバーエイトフルバックが各1人とやはりウィングが優勢だが、最初の3年間はウィングのトライ王はいなかった。
そこで、今季(2011−2012年度)のトップリーグでのレギュラーシーズンの全トライをポジション別に調べてみた。
ラグビーにおけるポジションは以下の通り。


フォワード(FW)
(1)左プロップ(PR)
(2)フッカー(HO)
(3)右プロップ(PR)
(4)左ロック(LO)
(5)右ロック(LO)
(6)ブラインドサイド(左)・フランカー(FL)
(7)オープンサイド(右)・フランカー(FL)
(8)ナンバーエイト(NO.8)
バックス(BK)
(9)スクラムハーフ(SH)
(10)スタンドオフ(SO)
(11)ブラインドサイド(左)・ウィング・スリークォーターバック(WTB)
(12)インサイド(左)・センター・スリークォーターバック(CTB)
(13)アウトサイド(右)・センター・スリークォーターバック(CTB)
(14)オープンサイド(右)・ウィング・スリークォーターバック(WTB)
(15)フルバック(FB)


ただ、上記を見てもわかる通り、例えばウィングは左右2人おり、1人しかいないスタンドオフフルバックと比べるのは不公平だ。
そこで、背番号別に15人ひとりずつのトライ数を割り出してみた。
しかし、ウィングでもチームによって左右に分ける場合と、ブラインドサイドとオープンサイドに分けるフォーメーションもある。
さらに試合途中でポジションチェンジをする時もあるし、特に選手の入れ替えがあった場合は、背番号通りのポジションに就いているとは限らない。
だが、野球と違ってポジションが代わってもいちいち場内アナウンスをしてくれるわけがないし、そもそも記録にも残っていない。
やむを得ないので、ポジションチェンジは考慮せず、また選手の入れ替えで途中出場した選手は、交代した選手の背番号をそのまま引き継ぐことにした。
そのため、完全無欠で正確なデータとは言い難いが、分母のサンプルが大きいので、かなり信頼度の高い統計となるだろう。
そして、集計した結果がこれだ。


1位 (11)ブラインドサイド(左)・ウィング・スリークォーターバック(WTB) 101個
2位 (14)オープンサイド(右)・ウィング・スリークォーターバック(WTB) 77個
3位 (15)フルバック(FB) 62個
4位 (12)インサイド(左)・センター・スリークォーターバック(CTB) 52個
4位 (13)アウトサイド(右)・センター・スリークォーターバック(CTB) 52個
6位 (8)ナンバーエイト(NO.8) 50個
7位 (6)ブラインドサイド(左)・フランカー(FL) 48個
7位 (7)オープンサイド(右)・フランカー(FL) 48個
9位 (10)スタンドオフ(SO) 45個
10位 (9)スクラムハーフ(SH) 29個
11位 (2)フッカー(HO) 27個
12位 (5)右ロック(LO) 26個
13位 (4)左ロック(LO) 19個
14位 (3)右プロップ(PR) 16個
15位 (1)左プロップ(PR) 7個
(番外) ペナルティ・トライ 4個 ※相手の反則による認定トライ
 


背番号11番、左(ブラインドサイド)ウィングが101個と、ダントツでトライ王のポジションとなった。
同じウィングの14番、右(オープンサイド)ウィングに24個差を付けるという、ぶっちぎりの1位である。
11番と14番で、まさかこれだけの差が付くとは思わなかった。
ちなみに、11番のトライ数パーセンテージは、全体の15%強にものぼる。
さらに、両ウィングによるトライ数は、約27%にもなる。


背番号11と言えば、ラグビーにとってまさしく花形ポジションであり、押しも押されもせぬトライゲッターである。
1960〜70年代にかけては「空飛ぶウィング」こと世界の坂田好弘、1990年代ではワールドカップの舞台で疾走した吉田義人、そして現在では「うなぎステップ小野澤宏時といったフィニッシャーたちが、世界を股に掛け駆け巡った。
そして今季、ダントツのトライ王に輝いたネマニ・ナドロも11番だ。
ナドロはスピードとステップで勝負した坂田、吉田、小野澤と違い、体重130kgというフォワード以上の圧倒的な体格を活かした、典型的なブラインドサイド・ウィングである。
1995年の第3回ワールドカップで世界に衝撃を与えたジョナ・ロムーも、巨体を利した11番だった。


2位となった14番も、1位の11番と同じウィング。
右ウィング、あるいはオープンサイド・ウィングと呼ばれるポジションである。
この背番号は、なんと言ってもテストマッチにおける世界トライ数記録保持者である大畑大介がいた。
大畑は14番ながらブラインドサイド・ウィングを務めることが多かったが、いわゆる大型ウィングとは違い、狭いスペースを眩いスピードで抜いていくウィングだった。
まさしくジャパンが誇るスピードスターと言えよう。
3年連続トライ王に輝いたことがある北川智規も14番である。


3位のフルバックは、今日の試合で41歳の松田努が自身の持つトライ最年長記録を更新したのには恐れ入った。
フルバックとは最後の砦を受け持つポジションで、バックスの中で最も強靭な体力を要求される。
そんな中で先発を務め、トライを決める松田には脱帽だ。
フルバックは一番後ろにいるポジションだから、守りでは相手のキックに対処し、攻撃ではライン参加も必要となる、変幻自在な柔軟性を求められるポジションでもある。


4位と5位の両センターが全く同じトライ数というのも面白い。
12番のインサイド・センターはポイントの近くにいるため一瞬の判断力が要求されるのに対し、外にいる13番のアウトサイド・センターはボールを外に回すためにボールをキープする強さがなければならない。
そのため、12番のインサイド・センターは10番のスタンドオフ的な働きがあり、13番のアウトサイド・センターはウィングにより近い。
ニュージーランドでは10番(日本でいうスタンドオフ)をファースト・ファイブエイス(第一FE)と言い、12番はセカンド・ファイブエイス(第二FE)となる。
要するに、司令塔の一翼を担っているわけだ。
日本で言えば、12番を着けていたインサイド・センターの平尾誠二がゲームメイクをし、セカンド・ファイブエイス的な働きをしていた。


6〜8位を奇しくもフォワード第三列が占めた。
6位がスクラム最後方の8番であるナンバーエイト、同点7位が両フランカー
いずれも近代ラグビーでは重要なポジションである。
なにしろ、フォワードとバックスを繋ぐのはバック・ローたる彼らなのだから。
スクラムからサイドアタックが許されるナンバーエイトは力強さが求められ、両フランカーは展開力が要求される。
6番のブラインドサイド・フランカーはロック並みの身長とパワーが必要で、7番のオープンサイド・フランカーはバックス並みの走力を持っている。
最近のトップリーグでは、バック・ローに優秀な外国人選手を起用するチームが多い。
それだけ、バック・ローの出来・不出来が勝敗を分ける、ということだ。


9位が10番のスタンドオフ、10位が9番のスクラムハーフという、ハーフ団が軒を連ねた。
スタンドオフとは、言うまでもなく司令塔。
アメリカン・フットボールで言えばクォーター・バック、野球で言えばキャッチャーである。
スタンドオフは、日本が誇る司令塔・松尾雄治が務めていた。
松尾のゲームメイクにより、新日鉄釜石の7連覇が達成されたのだ。
9番のスクラムハーフは、山椒は小粒でもピリリと辛いという、小柄でも務まるラグビーでは珍しいポジション。
ジャパンの監督としてW杯唯一の勝利に導いた宿澤広朗、身長160cmそこそこの堀越正巳、類稀なるスピードを誇った村田亙らがいた。
ただ、数字を見れば、スタンドオフに比べてスクラムハーフは16個もトライ数が少なく、スクラムハーフとはボールを供給するポジションということか。


12位が2番のフッカーというのも面白いデータだ。
フッカーというか、1番と3番の両プロップを含めたフォワード第一列は、スクラムの専門職で走ることは要求されなかった。
しかし最近のラグビーでは「走れるフロント・ロー」が要求され、プロップやフッカーがラインに入ることも珍しくはない。
そしてフッカーが、両プロップよりも遥かに多いトライを奪っているのには何か理由があるのだろうか。
フッカーは両プロップだけではなく、フォワード第二列の両ロックのトライ数も上回っているのである。


そして12位が5番の右ロック、13位が4番の左ロックという、フォワード第二列のセカンド・ローである。
セカンド・ローといえば、ラインアウトの核となり、さらにモールやラックの密集プレイの中心となる、最も大きくてパワフルな選手が務めるポジションだ。
それだけに力任せにトライを獲る猛者が多くいると思ったが、意外にもトライ数は少なかった。
あくまでもボールを奪い、外にボールを供給する縁の下の力持ち的なポジションということか。
それでも、近年は最も重要なラインアウトは、ロック陣の是非がカギを握っている。


一番トライが少なかったのが、やはりというべきか、1番と3番の両プロップ
最近ではフッカーと同じく「走れるプロップ」が重要視されているが、やはりトライ数は少なかった。
同じプロップでも、16個の右プロップに対して、左プロップは7個と約半分。
この違いはよくわからない。
1番の左プロップはルースヘッド・プロップと言い、スクラムでは首の自由が利くので負担は軽い。
それに比べてタイトヘッド・プロップたる3番の右プロップは、スクラムで相手の両方から首を挟まれて自由が利かないので、負担が大きい。
それなのに、なぜ右プロップの方がトライ数が多いのか、考察の価値があるかも知れない。


では次に、フォーメーション別のトライ数を見てみよう。
まずは大まかに、フォワードとバックスのトライ数から。


フォワード(FW) (1)〜(8) 8人:241個 1人平均:30.1個
バックス(BK) (9)〜(15) 7人:418個 1人平均:59.7個


これはもう、バックスのトライ数が63.4%も占め、フォワードがボールを供給し、バックスでトライを奪うという構造がハッキリとした。
近年ではフォワードとバックスの境目がなくなったと言われるが、やはり役割分担は今でも息づいているのである。
それではもう少し細かく、各ユニットでのトライ数を調べてみる。


フロント・ロー(1)(2)(3)※両プロップとフッカー 計50個 1人平均16.7個
セカンド・ロー(4)(5)※両ロック 計45個 1人平均22.5個
バック・ロー(6)(7)(8)※両フランカーナンバーエイト 計146個 1人平均48.7個
スクラムハーフ(9) 計29個 1人平均29個
フロント・スリー(10)(12)(13)※スタンドオフと両センター 計149個 1人平均49.7個
バック・スリー(11)(14)(15)※両ウィングとフルバック 計240個 1人平均80個


百聞は一見にしかず。
やはりトライ数1〜3位を独占する、両ウィングとフルバックによるバック・スリーが、ダントツのトライ数を挙げていた。
全トライ数の割合でいうと、バック・スリーが占めたのは実に36.4%である。
サッカーでは前方に位置する選手、即ちフォワード(FW)が点取り屋となるが、ラグビーでは全く逆で、後方にいるバック・スリーの選手がトライゲッターとなることが、改めて証明された。
まあ、ラグビーでは後ろにしかパスを放れないので、後ろのポジションにフィニッシャーがいるのは当然であるが。


そして、フォワードとバックスを結ぶバック・ローとフロント・スリーの平均トライ数がほぼ同じというのも興味を惹く。
フォワード・バックス一体となった攻撃が近代ラグビーの主流であり、この数字がそれを証明しているのか。


ポジションによるトライ数の推移というのも、今後のラグビーを考察する上で面白い資料になるかも知れない。