西武の涌井投手の契約更改は調停に持ち込まれて決着したようだが、阪神の久保投手と下柳投手はまだ契約更改していない。
下柳は1月31日に契約更改するのが“通例”となっているが、もし2月1日までに契約更改しないと自費キャンプ参加ということになる。
この「自費キャンプ」という言葉には違和感を覚える。
契約更改していない選手は支配下登録選手、育成選手、自由契約選手、任意引退選手のいずれも当てはまらず「契約保留選手」ということになる。
球団と契約していないのだから、一般的な常識としてはその選手はフリー(つまり、自由契約選手)になるのだろうが、プロ野球の場合は契約をしていなくてもその選手の保有権はFA選手でない限り前年度所属球団にある。
オプション契約は別にして統一契約書での契約期間は1年、正確に言うと2月1日から11月30日までの10ヵ月間である。
もちろん、この契約期間中にトレードで他球団に移籍する場合はあるが、契約時の年俸は保証される。
2月から11月までというのがミソで、12月や1月にキャンプを行わないのはこのためだ。
12月1日から1月31日までは、選手にとって球団の拘束が及ばないフリーな期間だからである。
先日、日本ハムに入団した斎藤佑樹投手に初めて給料が出た、とニュースで流れたが、これもおかしな話。
斎藤に「初任給」が出たのは1月中のことだったが、本来なら契約期間外だから、給料が支払われることはないはずである。
普通の感覚で言えば、2月から11月まで年俸を10等分して支払うべきだろう。
だが、日本の風習では「月給」という形で給料を支払うことになっているから、プロ野球でも年俸を12等分して支払っている。
それはともかく、2月1日までに契約更改を済ませていない契約保留選手は、本来ならばチームの一員ではないのだからキャンプに参加する必要はないはず。
しかしほとんどの選手は自腹を切って「自費キャンプ」としてキャンプに参加する。
「ほとんどの選手」と書いたが、契約保留選手が自費でキャンプに参加せず、自主トレをしていた選手など聞いたことがない。
もちろん、独りでするトレーニングには限界があって、チームメイトがいて練習設備が整っているキャンプ地の方が調整しやすいのかもしれないが、若手ならともかく何年もプロのメシを食っている選手なら自分で調整ぐらい出来るだろう。
ましてや下柳ほどのベテランなら、実家のある長崎でじっくり調整して、キャンプ中盤ぐらいに契約更改して「おまっとうさん!」と言って二次キャンプの安芸に乗り込んでも良かろう。
何しろメジャーのキャンプはバッテリー組が2月15日前後、野手組が2月20日前後のスタートと日本よりも圧倒的に遅いのだから、日本選手でもベテランならそれぐらいにスタートしても決して遅くないはずだ。
ちなみに、韓国プロ野球のキャンプ期間は、チームによって違うが1月初旬から3月初旬までと、日本よりもさらに1ヵ月ほど長い。
各国プロ野球の歴史の長さが、キャンプ期間の長さと反比例しているというところか。