今日は我が国きっての敏腕記者であるえむすぽ記者と共に、京セラドーム大阪に行ってきた。
第36回社会人野球日本選手権大会を見るためである。
今日行われたのは1回戦3試合。
第1試合はトータル阪神(近畿・兵庫)×JFE西日本(中国・広島)の対戦。
トータル阪神はクラブ選手権優勝チームとしてのエントリーで、今回が初出場。
監督は元阪神の投手だった伊藤文隆。
先日、伊藤の現役時代のVTRを見たが、凄いボールを投げ、コントロールも悪くない。
これほどの投手なら通算100勝はもちろん、150勝近くまで挙げられるのではないかというようなピッチングだった。
しかし、結局54勝しか挙げられなかったが、最大の原因は弱気の虫だったと言われている。
クラブ選手権で優勝したとはいえ、やはりクラブチームにとって企業チームは大きな壁だ。
ところが、トータル阪神が初回に神保のホームランで先制すると、JFE西日本は二度の無死三塁のチャンスを潰すなど、拙攻によりなかなか得点を挙げることができない。
このままズルズルと得点できずにトータル阪神の金星か、と思われたが、7回にJFE西日本が2点を奪い、2−1で逆転勝ち。
第2試合は日本新薬(近畿・京都)×Honda(関東・埼玉)。
都市対抗優勝のHondaという、真打ち登場である。
そして何よりも注目はこの男。
そう、球団名は忘れたが、D1(ドラフト1位)指名された長野(ちょうの)久義である。
今日の長野は4打数1安打1三振とあまりいいところなし。
守備でも自慢の強肩を見せるシーンはなかった。
ただ、一塁走者の時に、キャッチャーファールフライで二塁にタッチアップで落としいれた走力はさすがだった。
今年日本一に輝き、今日は韓国王者を倒した巨人(あれ、球団名を思い出しちゃった)の外野の一角に入ることができるか?
試合は、Hondaが1−0で日本新薬を振り切った。
第3試合は大和高田クラブ(近畿・奈良)×TDK(東北・秋田)。
大和高田から京セラドームへは、電車でも高速道路でも一本で来られる上に、土曜日ということもあってか、多数の応援団が繰り出していた。
クラブチームとは思えない迫力である。
都市対抗優勝経験のあるTDKに対し、一歩も引けを取らない大和高田クラブの戦いぶり。
金属バット禁止以降、今日の第1、第2試合のごとく、社会人野球はロースコアゲームばかり続いたが、この試合は違った。
追いつ追われつの大熱戦となり、僕も思わず地元の大和高田クラブに肩入れした。
8回裏に貴重な追加点を入れ、大和高田クラブがTDKを6−4で破った瞬間、思わずバンザイをしてしまった。
消化不良気味だった第1、第2試合に比べ、実に爽快だった。
今日、久しぶりに社会人野球の全国大会を見て、改めて思ったのはそのレベルの高さである。
金属バット禁止以降、非力さが目立っていたが、それでも今日は3試合で3本のホームランが出た。
僕は今年、関西独立リーグの公式記録員を務めたが、ハッキリ言ってレベルでは比べ物にならない。
投手力、打撃力もそうだが、まず守備力が違う。
関西独立リーグは凡プレーのオンパレードだった。
ちなみに今日の3試合では、エラーは僅かに1個。
関西独立リーグでは、1試合に1チームのエラー数が6個という、草野球並みの試合があった。
この違いがどこにあるのかというと、試合前にその秘密があった。
そう、試合前の7分間のノックである。
試合間のインターバルでは、トイレに行ったり、腹ごしらえをしたりするものだが、今日は僕もえむすぽ記者も、試合前のノックにただただ見とれていた。
正直言って、試合よりも面白いぐらいである。
どのチームの監督も、ノックの技量が見事で、思い通りの場所に打って選手を自在に動かし、しかも全く無駄がない。
7分間という短い時間を実に有効に使っているのだ。
さらに、ノックでは最も難しいとされるキャッチャーフライやポップフライも実に器用に打ち分ける。
本当に、ノックを見るだけで銭を払う価値がある、と思えるぐらいだ。
それに引き換え、関西独立リーグの各球団のノックなんて見てられなかった。
選手を動かすこともできず、手際も悪い。
ましてや、まともにキャッチャーフライを打てるノッカーもいない。
こんなんでどうやって守備練習をするのだろうかと思っていたが、やはり試合で結果が表れていた。
エラーが多発するのは当然である。
その点、アマチュア野球の指導者はさすがで、たとえば高校野球の名門校のノックは素晴らしい。
そのレベルは、関西独立リーグの比ではない。
もし高校野球を見に甲子園に行くことがあるのなら、試合だけではなく試合前のノックを見ることをお勧めする。
そこには芸術的なシーンが展開されているだろう。
「ノックバットを握れなくなれば、監督を辞める」というのが高校野球の鉄則である。
さて、話は社会人野球に戻って、1回戦の最大の見どころはなんといってもトヨタ自動車×日産自動車の対戦。
史上初の三連覇に挑むトヨタ自動車に対し、名門ながら今年で休部が決まっている日産自動車。
しかも同業他社ということで、絶対に負けられない一戦。
クラウンが勝つかシーマが勝つか、あるいはカローラが勝つかブルーバードが勝つか。
最大の敵同士の対戦ということで、試合前の挨拶すら拒否するかも!?