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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

テレビはどこへ行く

大阪・朝日放送(ABC)の情報番組「ムーブ!」が終了した。
http://asahi.co.jp/move/
放送開始から4年半のことである。


平日夕方の関西地区は視聴率戦争と言われた。
毎日放送(MBS)の「ちちんぷいぷい」、関西テレビの「スーパーニュースアンカー」、よみうりテレビの「情報ライブ・ミヤネ屋(現在は午後2時〜4時頃までに時間変更)」が「ムーブ!」と共にシノギを削り、激しい視聴率争いをしていた。


こんな時間のテレビ番組など、ヌルくてレベルの低いワイドショーだと思っていたが、「ムーブ!」だけは違った。
あらゆる政治ネタや事件などを独特の切り口で鋭く切り裂いていたのである。
コメンテーターも芸能人は一切起用せず、鋭いコメントを発するジャーナリストやライターに限定されていた。
番組の最後に15分ほど「芸能ムーブ!」という芸能コーナーがあったが、これなどは「ムーブ!」にそぐわないムダなコーナーだった。
番組終了の原因の一つに、金がない、という理由があったそうだが、こんなもん芸能リポーターを起用しなければその分ギャラを払わずに済んだのだから、まさしく無用のコーナーだったと言える。
番組打ち切りが決まる前でも視聴率9%を獲っていたのだから、打ち切りの原因は視聴率低下ではない。
そもそも「ムーブ!」の視聴者に芸能コーナーを見たがっていた人は少数だろう。
そんな人は他局の番組を見れば済む話だから。
わざわざレベルの低い視聴者に迎合する必要はない。


もちろん、一般コーナーでも芸能人のことを取り上げることはあった。
たとえば、小室哲哉の逮捕である。
他のワイドショー番組では、小室哲哉が絶頂期にどれだけ稼いで、売れなくなったあとの転落人生を繰り返し報じるという、実にレベルの低い(つまり、どうでもいい)ことばかり取り上げていた。
しかも、どの番組も内容は全く一緒である。
ところが、「ムーブ!」だけは違った。
小室哲哉がなぜ詐欺をしてまで金を得なければならないのか、ということを突いてきたのである。
小室哲哉は詐欺をしているということを自覚していた。
ということは、警察に捕まることを覚悟していたのである。
つまり、警察に捕まった方がマシだ、というヤバいところから借金していたというわけだ。
期日までに借金を返さなければ、裏の組織からどんな目に遭わされるかわからない、と小室哲哉は思ったから、逮捕覚悟で詐欺を働いたのである。
この事件の本質を突いたのは「ムーブ!」だけだった。


今年は確実に衆議院総選挙があるが、そんな年に「ムーブ!」が終わるのは実に惜しい。
と思っていたら、番組終了直前に民主党党首の小沢一郎代表の公設第一秘書が東京地検特捜部に逮捕されるというショッキングなニュースが入ってきた。
今こそ「ムーブ!」の出番ではないか。
司会の堀江政生アナがこのニュースを読むとき、
「いきなりこんなニュースが飛び込んできて、『ムーブ!』も終了する場合ではないんですが」
と言っていた。
これだけ混迷する政局の中で、「ムーブ!」以外にどの番組が報じる!?と言いたい。
どうせヌルい論評しかできないだろう。
さらにこの事件に関して、検察はどういう形で各新聞社にリークしたか、ということまで解説していた。
この事件が明るみに出たのは朝日新聞のスクープだったが、それとて検察主導だというのだ。
こんなことを解説するなど、他の番組では絶対にあり得ない。


個人的には木曜日が好きだった。
コメンテーターは大谷昭宏宮崎哲弥橋下徹というメンバーで、イデオロギーの違うこの三人が議論する「激突!ナマ激論!」は本当に迫力があった。
しかし橋下徹は大阪府知事になったため降板、宮崎哲弥もABCとの確執で「ムーブ!」を去り、裏番組の関テレ「アンカー」に出演するようになった。
宮崎哲弥の降板は「ムーブ!」にとっては大打撃で、木曜日だけでなく月曜日にも穴が開いた。
ただし、木曜日には後釜として藤井誠二という素晴らしいコメンテーターが就くことになり、橋下徹宮崎哲弥のような知名度がなくても、番組のクオリティは保たれた。
本当に、藤井誠二ほどの人材がよくぞ残っていたと思う。
藤井誠二が本格的にテレビ番組のレギュラーになったのは「ムーブ!」が初めてのようだが、なぜこれほどの人材を他のテレビ番組は放っておくのか、僕には理解できない。
藤井誠二が担当した「事件後を行く」は圧巻で、これほど考えさせられるコーナーはなかった。
読売新聞の事件記者だった大谷昭宏のコーナー「事件にヤマあり大谷あり」と並び、木曜日は事件に関し実に強いイメージが生まれた。


「ムーブ!」には、同じ事柄を取り上げても「右翼的だ!」という批判と「左翼的だ!」という批判を受けていたようだ。
要するに、本質を突こうとすれば、受け手によって右翼にも左翼にもなってしまうのである。
月曜日と火曜日のコメンテーターだった勝谷誠彦は「僕は右翼の人間から見れば左翼に、左翼の人間から見れば右翼になるらしい」と語っていた。
本音を語ろうとすればそうなるのだろう。
ちなみに勝谷誠彦は、他の番組では「ムーブ!」の批判をしていた。
どんな批判かと言えば、「ムーブ!」が終了するのは前年秋にわかっていたことなのに、番組では二週間前まで隠そうとしていた、ということである。
「ムーブ!」の批判というよりは、ABCに対する批判だったのかも知れない。


近年、賑わせたニュースとして社保庁によるずさんな年金問題があった。
この問題の発端は「ムーブ!の疑問」というコーナーからだった。
年金が正当に受給されない、という視聴者からの問いが番組を動かし、やがて日本中を騒がせる大事件となった。
まさしくメディアが行政を動かしたわけである。


とにもかくにも、「ムーブ!」は終了してしまった。
これからのテレビはどんな方向に進むのだろう。


今あるテレビ番組が、行政、立法、司法の三権を監視する能力があるのだろうか?