昨日もちょっと触れたが、ラグビーの東芝ブレイブルーパスのクリスチャン・ロアマヌ選手が大麻の再検査でも陽性反応、同チームを解雇された。
ただ単に解雇するだけでなく、どんなルートで大麻を入手し、いつ頃から大麻を吸っていたのか、徹底的に調査するべきだろう。
さらにチームやトップリーグだけでなく、ラグビー協会全体に薬物に関するチェック機関を設け、再発防止のために厳しく対処すべきだ。
一昨年は関東学院大学ラグビー部員が大麻栽培をしていたのだから、ラグビー界全体の問題として捉えるべきである。
ロアマヌは飲食店で知らない人からもらったタバコに大麻が含まれていたと語っているようだが、このあたりの事実関係も徹底的に調べねばなるまい。
また、ロアマヌが言っていることが事実だとしても、あまりにもラグビー選手としての自覚が無さすぎるし、自己管理能力が欠如していると言わざるを得ない。
タバコだと思っていたということは、普段からタバコを吸っていたということだろう。
そう言えば、最近は大相撲でも大麻問題で揺れに揺れているが、彼らもタバコのように大麻を吸っていたのだろうか。
最近では世間一般の喫煙率は下がっているが、ラグビー界と相撲界では未だにタバコを吸う人が多いということなのか。
ラグビーと相撲と言えば、タバコは最も慎むべき競技である。
持久力が無くなるタバコはラグビー選手にとって大敵だし、体重増加の妨げになるタバコはやはり力士にとってご法度だろう。
そしてラグビー界と相撲界には意外な共通点がある。
未だに旧態依然の体質が残っているということだ。
ラグビー選手は大学出身者が多く、体育会の理不尽な封建制度が残っているラグビー部も少なくない。
そんな部では未だに先輩が後輩にうやうやしくタバコの火を点けさせ、あるいは可愛がっている子分に「恩賜のタバコ」でも配っているのだろうか。
また、ラグビー協会内も依然として古い体質が残っているといわれる。
大相撲は言わずもがな。
日本相撲協会および各部屋は旧態依然から脱却できず、ここ数年の「不祥事のデパート」ぶりはご存じのとおり。
この両競技とは関係ないが、大学野球を見に行って、ビックリしたことがある。
イニングの合間にスタンド裏に行くと、学生応援団の連中が喫煙所に固まってみんなでタバコを吸っている。
試合終了後になると、応援団の8割ぐらいの学生がタバコを吸っているのだ。
これのどこが喫煙率低下だ、我々が若い頃とほとんど変わらないではないか。
今の世の中、喫煙者は誰もが肩身の狭い思いをしているというのに、なぜ若い彼らがわざわざタバコを吸うのだろう。
後になって禁煙の苦しみを味わうかも知れないのに。
かくいう僕も、若い頃はスモーカーだった。
僕の場合は親はタバコを吸わないので、吸うきっかけになったのは友人や職場である。
周りの誰もが吸うので、何か一人だけ取り残されたような気になったものだ。
タバコを吸うきっかけになるのは、周りからの影響が大半だろう。
ということは、未だに大学の体育会では時代に逆行した喫煙がまかり通っているのだろうか。
今週号の週刊ベースボール「閃球眼」で石田雄太氏が、
「今の選手の携帯電話依存と、昔の選手のタバコ依存はよく似ている」
と書いているが、これは少々違う。
携帯依存の場合は心理的な依存のみだが、タバコ依存は心理的依存の他に薬物依存も含まれているのだ。
ニコチンとは立派な麻薬であり、これが切れると一種の禁断症状を起こし、次の1本に火を点ける。
ただし、薬物依存と言ってもタバコの場合は他の薬物に比べると大したことはない。
「禁煙は難しい」とよく言われるがそんなことは決してなく、僕が禁煙した時もさほど難しくはなかった。
禁煙してから一週間ほどは禁断症状が現れたが、それは大して苦しいものではなく、少し頭がボーっとしたくらいである。
ただ、車の運転中に渋滞に巻き込まれるとイライラしてタバコが欲しくなったり、食事の後に手持無沙汰になったのがやや困った、というところか。
むしろ難しいのは、禁煙そのものよりも、禁煙するという「決心」である。
特に理由がない場合は、禁煙を決心するのは難しい。
ノン・スモーカーの方にはわかりにくい心理かも知れないが、もう二度とタバコを吸えなくなるということ自体に恐怖を感じてしまうのである。
僕の場合は、付き合う人種が変わったために周りでスモーカーが僕だけになってしまったので、肩身が狭い思いをしてまで吸うぐらいならタバコをやめようと決心し、禁煙することができた。
やはり環境が人を変えるのである。
その意味では、大麻汚染に侵されているラグビー界や相撲界は、大麻を吸うような環境下にあるのかも知れない。
そのためにも、徹底して原因究明しなければならないだろう。
海の向こうのアメリカでは、メジャーリーグのスーパースター、ニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスがステロイド使用を認めた。
ステロイドは大麻と違って法的拘束力はないが、ステロイド使用に関して厳格だったオリンピックに比べて、メジャーリーグでは規制が甘かった。
その甘さが、せっかくハンク・アーロンを超える通算ホームランを放ったにもかかわらず、「*(アスタリスク)付きのホームラン王」と揶揄されたバリー・ボンズを生んだ。
当時のメジャーリーグでは、
「ファンが求めているのは105マイルの剛速球や550フィートの大ホームランだ。それらを生み出すにはステロイドは必要だし、そのおかげで大金をせしめることができる」
という、実に歪んだ認識がされていたという。
やはり「環境が不正を生む」というところか。