2月1日のキャンプ・インを前に、阪神の新人選手たちは鳴尾浜球場で自主トレを行っている。
ルーキーの中での注目はやはりドラフト1位の蕭一傑だ。
ユニフォームではないとはいえ、これは野球協約違反にはならないのだろうか。
これも一応、チームの練習であることを示している。
あるいは、合同自主トレにおける新人選手の特例なのかも知れない。
しかも背番号3ケタということは、期待の大砲が3年目で早くも育成枠選手!?
いえいえ、この野原選手は野原将志ではなく、育成枠で今年入団した野原祐也。
この日のルーキーたちはボールを使わないシャドー・バッティング(というのだろうか、ピッチャーがボールを投げるふりをして、バッターが打ったふりをしてのベースランニング)で軽めのメニュー。
蕭一傑も打者として参加し、ボールを投げる姿は見られなかった。
蕭は未来を担う若トラというだけでなく、WBCの台湾代表候補でもある。
鳴尾浜では既にブルペンにも入っており、ターゲットは3月の東京ドームのようだ。
さて、WBCと言えばなんといってもこの男。
ルーキーたちのシャドー・バッティングが終わった頃、外野でキャッチボールを始めた。
そう、ロスの自主トレから戻ってきた、トラの、いや日本の守護神、藤川球児である。
主力組が沖縄の宜野座で自主トレを行う中、暖かい宜野座や故郷の高知で自主トレを行わず、寒い鳴尾浜で若手に混じって調整している理由は知らない。
しかも、目の前にはWBCで敵になるかも知れない蕭一傑がいる。
まあ宜野座にも、やはり台湾代表候補の林威助がいるのだが。
キャッチボールが終わると、球児は三塁側ブルペンへ移動した。
いよいよピッチングを始めるようである。
しかし、三塁側スタンドからはブルペンの様子が見えない。
そこで、一塁側スタンドに移動した。
遠いが、ここからなら三塁側ブルペンの様子が見れる。
3、40球くらい投げただろうか。
もちろんまだ軽めの投球だが、ミットに球音が鳴り響いていた。
でも、どちらかというと変化球が多い印象だった。
前回の第1回WBCではアメリカ戦でAロッド、韓国戦でイ・ジョンボムに痛恨の決勝打を打たれた球児。
だがケン・グリフィーJr.を高めのストレートで三振を奪った時は、グリフィーをして「あんなにホップするストレートは見たことがない」と言わせしめた。
間もなく開幕するWBCで、球児は「火の玉ストレート」で世界のスラッガー連中に球を当てさせず、今度こそノーヒットピッチングを魅せてくれるか―。