正常な人ならば一目見ただけで胡散臭さ満点のこのチラシ、中身を見てみると(当然のことながら)ますます胡散臭くなる。
「人は猿から進化した存在などでは決してありません」などと、至極当たり前のことが書かれている。
人間、即ちヒトとは、霊長目・ヒト科に属する哺乳類であり、サルの仲間というだけでサルから進化した生物ではないことぐらい、今や常識である。
にもかかわらず上のような書き方は、いかに他の人間を見下しているか、それとも書いた人が相当なアホかかを物語っている。
こういう文章を見せられたあとに「最初から人として誕生したのです」という文言を見せられると、アホさ加減を通り越して微笑ましさすら感じる。
その後、延々と人類の歴史(っていうか、神々の歴史)が書かれているが、突然転換期を迎えるのがこの一文。
それまではハッキリとした年号はもちろん、「だいたい何世紀頃」といったことすら書かれていないのに、ここではなぜかハッキリと「1962年(昭和37年)」と書かれている。
人類の歴史で大きな転換期となった年は、第二次世界大戦など他にもっと大きな出来事があったはずだが、神々にとっては小さなことらしい。
そもそも、1962年にどんな大事件が起こったのだろうか。
阪神のセ・リーグ初優勝以外、筆者には思いつかない。
要するに、現在世界各地で起こっている災害や事件などは神の裁きによるものらしい。
これらの災害や事件によって死んでいくのは罪なき人々ばかりで、多くの民衆を苦しめる独裁者は大手を振って歩いていて、ちっとも裁きなど受けていない。
神様ってのはよっぽどヒドいヤツなのだろう。
阪神大震災やオウム事件などで亡くなられた人のご遺族の方は、神様に対して徹底的に抗議するべきである。
このチラシによると、罪なき人々を殺したのは神様なのだそうだから。
この人たちがいると医者いらずだろう。
だったら、最近問題になっている妊婦たらい回し事件なども解決しそうなものだが。
おっと、神々にとっては妊婦が死のうが胎児が死のうが、それは「神の裁き」によることなのだろうけど。
このチラシは「陽光ライフ」という、いかにも爽やかなイメージのネーミングだが、爽やかな名前の裏には毒々しいものが潜んでいる、というのが定説である。
賢明な人はもうお気づきだろうが、このチラシの発行元は「崇教真光(すうきょうまひかり)」という宗教団体。
まあ、日本国憲法では宗教信仰の自由が保障されているのだから、この宗教団体の信者になるのは何の問題もない。
だが、与党、野党を問わず、多くの政治家が信者になっているというのはいかがなものか。
わかっているだけでも、自由民主党の町村信孝や石原伸晃、民主党の石井一や鳩山由紀夫が信者として名を連ねている。
そして小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫といった内閣総理大臣の歴任者がこの宗教団体に祝電を贈ったりしている。
また、与党の一角を担う公明党の母体は御存知のように「日本最強の宗教団体」こと創価学会である。
日本という国は「政教分離」など絵に描いた餅で、宗教そのものが国を動かしているということだろう。
そして、有力政治家たちが信仰しているのが「手かざしによる奇跡」なのだから、何をかいわんや。
なるほど、この国のテレビには細木某だの江原ナニガシだのが大きな顔をして映し出されている理由もよくわかる。
こんな荒唐無稽な人物を信じているのだから視聴率も稼げるし、視聴率を稼げるということはそれだけ民度も低いのだろう。
そして、そんな国民が選びだしたのが、「手かざし療法」を信仰する政治家たちである。
恐ろしい国もあったものだ。