昨日、ラグビートップリーグの近鉄ライナーズ×コカコーラウエストレッドスパークスの試合を近鉄花園ラグビー場へ観に行った。
先週の長居スタジアムに引き続き、二週連続のトップリーグ観戦で、例によって楽苦美愛の連中と一緒である。
それにしても、何度も言うが花園はいい。
陸上用トラックが無いので目の前でプレーが行われているので迫力満点、また昨日が今季花園初ゲームだったため、芝生の状態が非常に良かった。
飲食物も野球場以外の競技場としては豊富に揃ってるしラグビーグッズも売っており、ミュージアムもある。
これは花園が充実しているというよりも、他の競技場にはあってしかるべき施設が無さすぎるとも言えるのだが。
試合の方は地元のライナーズが前半劣勢に立ちながら、後半一気に逆転して18−14で快勝。
これで開幕二連勝で勝ち点9の3位。
これでマイクロソフトカップも見えてきた?というわけにはいかないだろうが、少なくとも自動降格だけは免れそうな雰囲気だ(開幕早々、こんな心配はしたくないが)。
それどころか、九州電力、サニックス、IBMあたりには充分勝てる可能性があるので、台風の目となるかも知れない。
さて、今年のラグビーで注目と言えば、実験的競技規則(ELV)の適用で、プレースタイルが大きく変わるのではないかという点だ。
ELVとはルール改正ではなく、今シーズンはこのルールで試してみて、良さそうなら来シーズンからルール改正しようというもの。
そこで早速花園で今年の競技規則を購入した。
2年前にラグビー競技規則を買って以来、僕はルールブックフェチになっている。
近年、日本ではラグビーの人気低迷が叫ばれて久しいが、その理由の一つとして「ラグビーはルールがわからない」というもの。
僕の周りにも「野球は好きだけど、ラグビーのルールはよくわからない」というヤツがいるが、これはトンでもない誤解で、ラグビーのルールなど野球に比べればずっと易しいのだ。
今、手元にある2007年度版公認野球規則(左)と、昨日買った2008年度版ラグビー競技規則(右)の写真を載せてみよう。
本の大きさ、厚みともに、公認野球規則の方が遥かに上である。
ページ数では野球が250ページなのに対し、ラグビーは150ページ。
しかも、ラグビー競技規則では絵や写真を使って丁寧に説明しているが、公認野球規則は図は全くなく、六法全書のような厳めしい文章が並んでいる。
規則内容は、野球はラグビーの倍はあるだろう。
早速、2年前のラグビー競技規則と見比べながらルール改正ポイントを調べてみたが、なんと文章は全く変わっていない。
ひょっとして昨年度の競技規則なのかと思ったが、まごうことなき2008年度版。
そこでハタと思い当たったが、よくよく考えてみればルール改正ではなく「実験的競技規則」なので、今年の競技規則ではまだ変更されていないのではないか。
そうだとしたら、わざわざ買って損した気分だが、説明の絵や写真などは2年前と大きく変わっているので、全く無駄ではなかろう。
それに、競技規則を買った際、ELVの変更ポイントを説明した冊子を貰ったので、謎に思っていた部分もある程度理解できた。
その変更ポイントをここで全て記すことはできないが、プレーに大きく影響しそうなルールを簡単に説明しよう。
第17条 モール
プレーヤーは、モールを引き倒して防御することができる。
モール内の相手プレーヤーの肩から腰の間を掴んでいるときに限り、モールを引き倒すことができるようになった。
今まではこの行為は「コラプシング」という反則(ペナルティキック)が取られていたが、上記の場合にのみ合法的とみなされる。
これにより、モールでゴリゴリ押すつまらない戦法を少なくするという意図がある。
第19条(1) タッチおよびラインアウト
自陣の22メートル区域内にボールを戻し、そのボールをキックして直接タッチになった場合、地域獲得は認められない。
たとえば、22メートル区域外から、22メートル区域内にいる味方プレーヤーにパスをした場合、たとえ22メートル区域内からタッチキックをしてもそれがダイレクトタッチなら地域獲得は認められませんよ、という意味だ。
これにより逃げのタッチキックを減らし、より攻撃的なラグビーを促すという目論見である。
ただし例外があって、22メートル区域外から22メートル区域内のプレーヤーがパスを受け取っても、相手プレーヤーにタックルを受けた場合はこの規則は解消され、そこからダイレクトにタッチキックを蹴っても、地域獲得が認められる。
第19条(7) タッチおよびラインアウト
いずれのチームにもラインアウトに参加する人数に制限を設けない。
従来のルールでは、ラインアウトでボールを投入する側の人数に防御側もラインアウト参加人数を合わせなければならなかったが、今回のELVで2人以上ならば合わせる必要がなくなった。
極端にいえば、相手の人数に関係なく14名がラインアウトに参加してもいいということになる。
つまり、ジャパンのお家芸だったショートラインアウトは意味がなくなる。
第20条 スクラム
オフサイドラインをスクラムの最後尾の足の位置から5メートル後方に設定する。
これが今回のELVの一番ややこしいポイントで、スクラムに参加していないプレーヤー(スクラムハーフを除くバックス)のオフサイドラインは従来ルールなら味方スクラムの最後尾のプレーヤーの足だったが、今年はそこからさらに5メートル後方になる。
また、ボールを獲得していない側のスクラムハーフのオフサイドラインは従来通りボールの位置および自チームのスクラムの最後尾だが、そこから一端5メートル離れてしまうと、もうそのオフサイドラインより前方に移動することはできない。
このELVのメリットはよくわからないが、スクラムでボールを獲得したチームに広いスペースを与える、と説明している。
以上、ELVのポイントを簡単に説明したが、トップリーグ3試合を見た限り、それなりの効果も出ているようだ。
中でも昨シーズンとの大きな変化は、モールが極端に減ったこと。
去年までは敵陣ゴール前でペナルティキックを得れば、タッチに蹴り出してのラインアウトでモールを形成し、ゴリゴリ押していく戦法が目立ったが、今季はモールに頼らずラックから球出しを図るプレーが多く見られる。
また、ムダなタッチキックが影を潜め、インプレーの時間が長くなったようにも感じられる。
ただ、タッチには蹴りださないとはいえ、まだまだキックに頼る戦法が多く、もっと積極的にカウンターアタックを仕掛けてランニングラグビーをしてもらいたいのだが。
まだシーズンが始まったばかりで各チームとも試行錯誤の段階かも知れないが、せっかくのELVなのだからアグレッシブな姿勢で面白いラグビーを魅せてもらいたいものだ。