マイク・グリーンウェル(阪神)
ダメ外人の真打ち登場。
前回のディアー編で次にくるダメ外人が誰なのか、おおよその予想はついたと思う。
あ、阪神ファンのそこのアナタ、この名前を見たからといってパソコンをブッ壊さないように。
阪神にとって、いや日本プロ野球史上最悪のダメ外人と言えるのがこのグリーンウェルだ。
グリーンウェルのメジャーでの球歴は輝かしい。
メジャー昇格後、12年間で1400安打、通算打率.303は一流の証明だ。
さらに、すぐにFA移籍するメジャーリーガーには珍しく、レッドソックス一球団一筋で「ミスター・レッドソックス」と呼ばれた。
まさしく鳴り物入りで1997年に阪神に入団。
当時としては破格の、阪神球団史上最高額の年俸3億円で契約した。
現在でこそ阪神は高い金を払ってFA選手を次々獲得(特に広島から)しているが、当時はまだまだドケチ球団。
それゆえに最下位が指定席だった阪神球団から、最下位脱出どころか'85年以来の優勝の救世主として三顧の礼を持って迎えられ、阪神ファンからはバースの再来と期待された。
ところが、キャンプの段階で背筋の痛みを訴え、いきなり一時帰国。
この時に阪神ファンは早くも「ババを引いたか……?」という疑惑を憶えた。
大物と言われたメジャーリーガーほど、キャンプの段階でトンズラするダメ外人が後を絶たなかったからである。
しかしシーズン開幕後に、グリーンウェルはひょっこり日本に戻ってきた。
さすがミスター・レッドソックス、責任感があると阪神ファンは胸を撫で下ろした。
だが、その評価がいかに愚かだったか、数日後に思い知ることになる。
初出場が5月3日の広島戦だったが、その僅か8日後の巨人戦で自打球を当て、足の甲を骨折。
再び帰国したグリーンウェルは二度と日本には戻って来なかった。
「神のお告げじゃにより引退する」
という、あまりにも有名かつ理不尽な言葉を残して。
帰国後のグリーンウェルは、豊富な資金を活かして、甲子園の20倍もの敷地に遊園地を造って経営したり、カーレーサーになったりとやりたい放題。
ところで、グリーンウェルの日本での住まいは家賃200万円もするという超高級マンション。
ところがグリーンウェルは「狭すぎる」と不満を漏らし、球団はさらにもう一部屋を借りて壁をブチ抜かざるを得なかった。
僅か一ヶ月だけ住んだ男のために、阪神球団は400万円もの家賃を払い、マンションの大家さんは超豪華な部屋をブチ抜かれてしまったのである。
ボストンで名声を得た男は、兵庫県に多大な迷惑をもたらした。
ちなみにグリーンウェルは今年、ボストン・レッドソックスのチーム殿堂入りを果たしている。
日本滞在期間約1ヶ月。出場7試合。本塁打0本。打点5点。打率.231。盗塁0。三振0。