全国高校ラグビーが開幕した。
通称「冬の花園」である。
僕が初めて高校ラグビーのメッカ、近鉄花園ラグビー場に行ったのは高校ラグビーではなく、全同志社×オックスフォード大の一戦だった。
このことについては過去の日記で少し触れているので、そちらを参照されたい。↓
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20071007/1191772780
高校野球の甲子園に対して、高校ラグビーは当然、花園である。
奇しくも、どちらの名前にも語尾に「園」が付き、高校球児や高校ラガーマンが集う「園」としてもイメージが湧きやすい。
さらに、甲子園は阪神電気鉄道、花園は近畿日本鉄道と、関西大手私鉄が運営しているという点でも共通している。
阪神電車で甲子園に行くとき、甲子園の雄大な姿に圧倒された。
電車が甲子園駅に近付くと、照明塔が見え始め、スタンドの外壁に絡みついた蔦の緑が見えると「甲子園に来たなあ」と実感したものである。
ただ、最近は大きな建物や阪神高速がそれらを遮り、昔ほどの実感が味わえなくなったが。
高校生のとき、上記のように初めて花園に行ったとき、僕は近鉄電車の車窓から見える雄大な花園ラグビー場をイメージしていた。
なにしろ高校野球の甲子園に対して、高校ラグビーの花園である。
当然、甲子園に負けず劣らずの貫禄があるに違いない。
ところが、東花園駅に近付いても、一向にラグビー場らしき物は見えてこない。
花園ラグビー場が見えぬまま、電車は東花園駅に着いた。
駅から降りてもラグビー場がどこにあるのかサッパリわからなかったが、大勢の人がゾロゾロと歩いているので、その人たちについていった。
かなり歩いた末に、ようやくみすぼらしい建物に辿り着いた。
それが近鉄花園ラグビー場だった。
3万人収容の立派なスタンドがある現在と違い、当時の花園は1万人強のキャパシティしかなかったのである。
どうりで電車からは見えなかったわけだ(もっとも現在でも、電車や駅からはラグビー場は見えないが)。
しかも、甲子園球場や大阪球場、藤井寺球場に日生球場と、駅からすぐの野球場に通い慣れた僕にとって、花園ラグビー場は駅からあまりにも遠すぎた。
僕が初めてテレビでラグビーを観たのは小学六年生のとき。
それは花園で行われていた全国高校ラグビーの準決勝、國學院久我山×大阪工大高だった。
結果は3−3の引き分け、抽選で久我山が決勝戦進出。
双方ノートライ、贔屓にしていた大阪の高校が決勝進出できず、しかも抽選で勝者を決めるという極めて理不尽な方法に憤慨したにもかかわらず、初めて観るラグビーという競技に熱中した。
それまで、野球やサッカー、バレーボールやバスケットボールぐらいしか団体球技は知らなかったのに、こんなに面白い球技があるとは思わなかった。
この年の決勝戦は國學院久我山×目黒という、東京同士の対決だった。
この頃は東京のレベルが異様に高く、東京同士の決勝戦も珍しくなかった。
結果はノーサイド寸前まで久我山がリードを保ったが、最後のワンプレーで目黒が同点のトライ、さらにコンバージョンも決めて劇的な逆転優勝となった。
最近、ベースボール・マガジン社の「高校ラグビー図鑑」というムックを買った。
この「B.B.MOOK」シリーズは野球に限らず、ラグビーでもレベルが高く、あっという間に読み終えてしまった。
今回のムックは各高校のジャージーがコンセプトだったが、そのトップを飾ったのが大阪工大高のジャージーだった。
工大の、紺色の上に走る胸の2本の赤いラインのジャージーは、僕がもっとも好きな物の一つである。
あの工大のジャージーを見るたびに、正月が来た、と実感したものだ。