日本時間の今朝、フランスのサンドニでラグビーワールドカップ決勝が行われ、スプリングボクス(南アフリカ代表)がディフェンディング・チャンピオンのイングランドを15−6で破り、二度目のワールドチャンピオンに輝いた。
自国とは関係ないカードでも決勝戦とあって、8万人を超える大観衆が詰め掛けた。
どこぞの国のスポーツに対する態度とは大違いである。
今日はそのことを書きたかったのだが、そうはいかなくなった。
僕はこの試合をテレビの生放送で見ていた。
正確に言うと生放送ではなく、日テレによる1時間遅れの生中継だったが。
ちなみに、日テレがいかにも生放送として扱っていた亀田親子のJBCでの茶番謝罪会見、実はあれも録画だった。
もちろんこれは日テレの責任というよりも、JBC側の意向だったのだろうが。
この手の情報操作は当たり前に行われているのだろうが、こんなことがまかり通っていると、やがてとんでもない世の中になりかねない。
話を元に戻すと、試合を観ながらDVDでも録画をしていた。
録画しておくと後から論評もし易いし、決勝戦だから貴重な記録にもなる。
ところが再生しようとしてもできない。
DVDを取り出してセットすると、勝手にフォーマットを始めてしまった。
かくして、第6回ラグビーワールドカップ決勝戦は、闇に葬られた。
思い切り暴露すると、このDVDはソニーの台湾製DVD−RWだ。
10枚セットで買ったものだが、これまで6枚使って3枚はもう再生できない。
不良率50%と、かつては抜群の信頼性を誇っていたソニー商品とは思えない醜態ぶりだ。
ちなみに、このDVD被害によって、日本×フィジー戦も闇に消えた。
ソニーだけを槍玉に挙げるのは心苦しいので、実は使い物にならなかったDVDは他のメーカーでもかなり多い。
あまりDVD被害のことは話題にならないが、こんなことはある程度常識で、みんな諦めているのだろうか。
メーカー側に苦情を言っても、良品のDVDと交換するだけで、録画内容までは補償してくれない。
交換する手間を考えたら、もういいやと思ってしまう。
欲しいのは録画されているはずの映像なのだから。
電気屋さんに並んでいるDVDを見ると「日本製」とデカデカと書かれている物が目に付く。
やはり「MADE IN JAPAN」のブランド神話が生きているのだろうか。
売り尽くしのDVD−Rで激安品の20枚セットがあって、あまりの安さに懐疑的になったが、「日本製」という表示に惹かれて買ってしまった。
VHSビデオからのダビングに使っているのだが、14枚使って今のところDVD被害には遭っていない。
やはり日本製は質がいいのか?
普通は、日本製は外国製に比べて値段は高い。
でも、わざわざ「日本製」とデカデカと表示している商品を見ると、「安い外国製品でDVD被害に遭っても、それはあなたの責任ですよ」と言われているような気分になる。
これからはDVDの世界で産地偽造の犯罪が生まれるかも知れない。
グチばっかり言っていても仕方がないので、W杯の寸評をしよう。
予選リーグでは0−36と大敗したイングランドは負けたとはいえ、見事にチームを立て直した。
準々決勝ではワラビーズ(オーストラリア代表)を倒し、準決勝では地元のフランスに競り勝った。
SOウィルキンソンが復帰するだけでこれほどチームが生まれ変わるのか。
一方のスプリングボクスは、最大のライバルになると見られていたオールブラックス(ニュージーランド代表)が準々決勝でフランスに敗れ、ワラビーズも敗退しただけに、ラッキーな面もあった。
そして決勝戦、ワンサイドになった予選リーグとは打って変わって大接戦となった。
両チームのディフェンスが優れていた結果だろう。
その反面、試合自体はノートライで、ゲームとしてはつまらなかった。
イングランドがあわやトライかという場面があったが、ビデオ判定でトライは認められなかった。
それ以外でも積極的にバックス勝負はせず、お互いにキッキングゲームで、エキサイティングなプレーは見られなかった。
「チーターと競走した男」スプリングボクスのハバナも、動きはほとんど目立たなかった。
勝ちにこだわる試合では仕方ないのだろうが、ラグビーの醍醐味を魅せる場面を観たかった。
これはファンが要求する贅沢だろうか。
大会全体としては、やはり3位のアルゼンチンが殊勲賞だろう。
旧IRB8ヶ国メンバー以外で初の4強入り、しかも地元フランスに対して2連勝したのだから、これ以上に誇れるものはない。
だが、アルゼンチンといえば泣く子も黙るサッカー強国、ラグビー選手の生活は代表レベルでも決して楽なものではない。
生活に苦しむアルゼンチンのラグビー選手は、ぜひとも日本のトップリーグでプレーしてもらいたい。
そして我らがジャパン。
予選リーグの結果は3敗1分の4位。
最下位だけは免れた。
1、2戦のワラビーズとフィジー戦でメンバーを変える「2チーム制」は物議を醸したが、やはりあの作戦は日程上仕方がなかったのではないか。
結果的にはワラビーズに大敗、フィジーにも負けたのだから、この作戦は失敗だったといえる。
しかし、フィジーには負けたとはいえ、4点差の小差なので勝ち点1を獲得、結局この勝ち点が最下位脱出を生んだ。
そのフィジーは旧IRB8カ国メンバーのウェールズを破り、堂々と決勝トーナメントに進出した。
そしてジャパンは、決勝トーナメント進出経験のあるカナダに対し、ノーサイド寸前のトライ&コンバージョン・ゴールで引き分け。
自国とは関係ない消化試合でもスタンドは満員、フランスの大観衆は「ジャポン!ジャポン!」と大声援を贈っていた。
これはファンにジャパン・ラグビーが認められた証である。
もちろんこれは判官びいきでもあるのだが、ジャパンにはラグビーの面白さの醍醐味が詰まっているからだろう。
ジャパンがアジア代表としてW杯に出場している意味は、まさしくここにある。
これからは善戦に満足することなく、かと言ってジャパン・スタイルを崩すことなく、W杯での勝利を目指して欲しい。
そしてW杯で常に決勝トーナメント進出できる実力を備えて、ジャパンは世界のラグビー・ファンに本当の意味で認められたことになる。