大阪府南東部の太子町に叡福寺という寺がある。
町名を見れば判る通り聖徳太子と関係の深い町だ。
来年(2021年)の4月10日~5月11日に聖徳太子1400年御遠忌大法会が行われるそうだ。
巷では「聖徳太子、実は存在しなかった説」が流布しているが、もちろん叡福寺にそんなことは関係ない。
叡福寺は河内三太子の一つであり、上之太子と呼ばれる。
河内三太子には他に中之太子の野中寺(大阪府羽曳野市)と、下之太子の大聖勝軍寺(大阪府八尾市)があって、もちろん聖徳太子と関係が深い。
中でも叡福寺は聖徳太子の墓所があるので最も有名だが、その割には知っている人は少ないのではないだろうか。
この日も4連休の初日なのに、叡福寺には人影はまばらだった。
これは決して新型コロナウイルスの影響ではないだろう。
「密」とは程遠いのでマスクをしている人もいない。
普段の休日でも、叡福寺の境内はひっそりしている。
同じ聖徳太子ゆかりの寺でも、いつも観光客や遠足および修学旅行客などで賑わっている法隆寺(奈良県斑鳩町)とは対照的だ。
ちなみに、法隆寺の拝観料は大人1,500円だが、叡福寺は無料である。
▼4連休の初日なのに、叡福寺の境内はひっそりしている
叡福寺の駐車場(無料)に、観光バスが停まっていることも少ない(この日も観光バスはなかった)。
叡福寺にいる人たちも、ほとんどは近所の人が散歩がてらに来ているだろう。
ただ、タクシーで乗り付けて来た男性がいて、この人は観光客かも知れない。
観光客というより、歴史好きの可能性が高いだろう。
バス停が目の前にあるのに、わざわざタクシーで来るのはもったいないと思うのだが、バスの本数が少ないので時間が合わなかったのかも知れない。
ちなみに最近、停留所名が「太子前」という判りにくい名前から「聖徳太子御廟前」に変更された。
▼叡福寺の前にあるバス停。最近、新しくなって聖徳太子の絵が描いている
叡福寺は(野中寺や大聖勝軍寺もそうだが)法隆寺のように観光地化されていないので、歴史好きはそこが却って魅力のようだ。
ゴールデンウイーク中も穴場なので、来年は叡福寺の聖徳太子1400年御遠忌大法会に行ってみるのもいいかも知れない。
宿泊施設は、叡福寺から徒歩では遠いが車なら5分程度の所に太子温泉がある。
太子町には他にも、推古天皇陵や小野妹子の墓などもあって、奈良の斑鳩や飛鳥に勝るとも劣らない歴史の宝庫だ。
▼叡福寺の奥にある、聖徳太子御廟
▼叡福寺の南大門から西方院(日本最古の尼寺と言われる)を望む