日本国ではカジノ法案なるものが衆議院で可決されたようだ。
もっとも、正式には「IR推進法案」という名称で、目的は観光立国を目指すものだという。
もちろん、そんな理由は建前で、実際にはギャンブルを合法化しようという法案であることは、どんなアホでもわかる。
しかも戦後の日本は、大衆をギャンブル漬けにして1億総白痴化を狙い、政府にとって都合のいいように、ものを考えない国民を生み出してきた。
冠に天皇の名をかざした国民的大バクチの競馬、誰でもいつでも気軽にギャンブルができるパチンコ、「世界は一家、人類はみな兄弟」「お父さん、お母さんを大切にしよう」と美辞麗句を並べながら「ギャンブルはやめよう」とは決して言わない競艇……。
日本ほどのギャンブル天国は、世界にはあるまい。
それなのに、日本政府はカジノ法案を成立させた。
日本国民を、さらなる「何も考えない民」にしようというのか?
そうすれば、ますます日本国民は「政府にとって都合のいい民」になるだろう。
カジノ法案に反対する人が根強いこともよくわかる。
では、筆者はというと、実はカジノ法案には賛成だ。
と言っても、今のままでは、当然のことながらいいわけがない。
そこで、カジノ法案が日本のためになる政策を提案してみよう。
①カジノに入場するハードルを上げる
カジノ法案は、建前では観光立国にするため、外国人観光客を取り込む法案のはずだ。
だったら、無理に日本人を入れる必要はない。
もちろん、カジノが日本にあるのに日本人が入れないのはおかしな話で、日本人を立ち入り禁止にするのは反対である。
そこで、日本人および日本居住者については、入会金200万円、年会費100万円を払えばカジノに出入りすることが許されるようにする。
つまり、最初は300万円払わせるようにし、それ以降は年に100万円の徴収を義務付けるのだ。
もちろん、スッカラカンになって年会費が払えなくなれば、カジノに出入りできない。
これならば、低所得者が容易にカジノへは出入りできないだろう。
これは低所得者に対する差別ではなく、あくまでも低所得者を守るためである。
ギャンブルなんて、所詮は客が負けるようになっているのだから。
②公営ギャンブルの入場料を上げる
日本には競馬、競艇、競輪、オートレースという公営ギャンブルがある。
筆者は20年ほど前、一度だけ住之江競艇場に行ったことがあるが、入場料が僅か100円だったので驚いた。
調べてみると、現在でも入場料は100円らしい。
どこの世界に、100円で観戦できるプロ・スポーツがあるのだろうか。
ちなみに言うと、プロ野球(NPB)で一番安い席でも2000円ぐらいはかかる。
これで経営が、どうやって成り立つのだろうか。
答えは簡単で、客が賭ける金(ほとんどが客の負け)でボロ儲けしているのである。
競馬でも、G1レースが行われるような競馬場では、一番安い席で200円である。
あの、10万人もの客を集める超人気の競馬でも、入場料はたったの200円。
しかも、15歳以下は無料という、信じられない料金設定だ。
JRAはこうやって、せっせと未来のギャンブラーを育てているのだろうか。
もちろん、場外馬券売場は入場無料である。
そこで、競馬、競艇、競輪、オートレースといった公営ギャンブルは、一番安い席でも1万円の入場料を取るようにする。
そして、競馬でいう場外馬券売場のような場所でも、入場料を最低1000円取るようにすればいい。
そうすれば、一獲千金を狙う連中ではなく、これら公営ギャンブルを本当に愛する人たちが集まるだろう。
だいたい、スポーツとは金を賭けなければ楽しめないものなのだろうか?
③パチンコの詐欺をやめさせる
日本をギャンブル大国にした最大の元凶は、言うまでもなくパチンコだ(パチスロも含む)。
パチンコほど怖いギャンブルはない。
公営ギャンブルは日にちもレース回数も決まっているのでまだマシだが、パチンコは年中無休で、しかも朝から晩まで1日中打てる。
どんな田舎でも、日本中のあちこちにパチンコ屋はあるし、入場無料で100円から玉を買える。
負けても負けてもパチンコを続けることができ、しかもたまに勝ったりするから、その快感が忘れられなくてギャンブル依存症にハマっていってしまう。
こんな怖いバクチはない。
そこで、パチンコの最大の元凶である「三店方式」という、詐欺そのもののシステムを禁止することだ。
「三店方式」とは、出玉を持ってきた客に対し、特殊景品を渡して、それを景品交換所に持って行けば金に換えてくれる、というものだ。
早い話、パチンコ屋で直接お金を渡すと「賭博」になって日本の法律に触れるので「パチンコは景品を渡すだけで、ギャンブルじゃないよ」と見せかけているだけである。
これを詐欺と言わずして、なんと言おう。
もっとも、そんなことを信じているヤツは一人もいないが。
ドラマなんかで、缶詰などがいっぱい入った紙袋を抱えて「いやー、パチンコで大勝ちしました」なんていうシーンがあるが、筆者はそんな人を見たことは一度もない。
なぜなら、みんな特殊景品を換金しているからだ。
せいぜい、余り玉をタバコに替えるぐらいだろう。
換金できずに景品だけだったら、パチンコなんてあんなに流行るわけがない。
それでも、パチンコで大勝ちしたシーンで、換金している場面が出て来ないのは、見えない力が働いているのだろうか?
そこで、一般大衆を食い物にする「三店方式」という詐欺的システムを一切禁止する。
勝った人には、文字通り景品を与えるだけにするのだ。
あるいは、景品の中に図書券を含めてもいい。
これなら、パチンコをギャンブルだとは誰も言わず、健全娯楽と認めるだろう。
さらに、人口1万人以下の自治体にあるパチンコ屋には、景品の中に地域振興券を含める。
パチンコで勝った人には、その自治体(要するに田舎)で買い物をしてもらうのだ。
これならば、地域再生に繋がるだろう。
換金できなければ、多くのパチンコ屋が潰れる?
そのために、カジノ特区があるではないか。
カジノの中にパチンコやパチスロを納入すれば、外国人の観光客に「これが、ジャパンが生んだギャンブル・マシーン、パチンコか」と世界に紹介できる。
ハッキリ言うと、今のままではパチンコなんて日本にしかない、ガラパゴス的なギャンブルである。
でも、カジノ特区にパチンコを導入すれば、世界中のカジノからパチンコの輸入注文が殺到するかもしれない。
そうなれば、日本のパチンコ産業も潤うだろう。
ここまでやってくれたら、カジノ法案には賛成である。
まあ、一部の人には甘い汁は吸えなくなるかも知れないが。