イングランドで行われていたラグビー・ワールドカップは、ニュージーランド(オールブラックス)が史上初の連覇、史上最多となる3度目の優勝を遂げて幕を閉じた。
今大会は、かつて1勝(21敗2分)しかしてなかった日本代表が、優勝候補の南アフリカ(スプリングボクス)を破るなど3勝(1敗)し、日本中にラグビー・フィーバーを巻き起こしたのは周知の通り。
日本代表がスプリングボクスを破った試合は、日本だけが大騒ぎしたのではなく、世界中が驚愕したのである。
この逆転シーンは、ファン投票により過去の名勝負を押しのけて「ワールドカップ史上で最高の瞬間」に選ばれたほどだ。
ハリー・ポッターの作者であるJ・K・ローリングですら「こんな話は書けない」と感嘆したぐらいである。
日本でも今大会をきっかけにしてラグビーの魅力に気付いた人も多いと思うが、日本代表の試合以外でも、素晴らしい勝負の連続だった。
日本のラグビー・ファンは、日本代表が決勝トーナメントに進出できなくても、テレビ中継を通じて世界最高峰のラグビーを大いに楽しんだのである。
もちろん、現地に行ってワールドカップの生観戦を堪能した日本のファンも大勢いた。
彼らは日本戦に熱狂し、そして日本が敗退しても、決勝トーナメントでの最高レベルの試合と、ワールドカップの雰囲気を存分に味わったのである。
4年後の2019年、このラグビー・ワールドカップが日本で開催される。
今大会のエンディング・セレモニーでも、トゥイッケナム・スタジアムの大型スクリーンには日本を紹介するVTRが流れていた。
世界最高峰のラグビーを生で観られるのは、今から考えても興奮する。
生で観るラグビーは、テレビ観戦とは比べ物にならないほどのド迫力だ。
だが、不安がないわけではない。
日本では、オリンピックを除くスポーツの世界大会運営が下手だからだ。
2007年に大阪で行われた世界陸上は成功したとは言い難く、2006年の世界バスケは赤字続きの大失敗だった。
2002年に日韓共催で行われたサッカーのワールドカップは成功だったが、世界最大のスポーツ大会で失敗する方がおかしい。
いや、ラグビーだって今大会で日本代表が躍進したから良かったようなものの、もし過去の大会と同じく惨敗に終わっていれば、知名度のないまま行われ失敗していた可能性が高かった。
しかも「ラグビー・ブームは一過性のもので、4年後には熱が冷めていたらどうしよう」と心配する関係者もいるぐらいだ。
2019年のラグビー・ワールドカップが成功するか否かは、これから4年間の日本ラグビー界の努力にかかっている。
現在はラグビー・ブームとはいえ、4年後のワールドカップ日本大会が成功するとは限らない。
そんな中、毎回成功しているように見えるのがバレーボールのワールドカップだ。
サッカーやラグビーのワールドカップと同じく4年に1度行われ、バレーの世界ではオリンピック、世界選手権と並んで三大大会と呼ばれている。
今年もゴールデン・タイムで地上波中継されたが、毎回ゴールデン・タイムの地上波全国ネット放送されるのは、かなり恵まれているスポーツだと言えよう。
ラグビーのワールドカップが始まったのは1987年と比較的新しいが、バレーのワールドカップは遥かに歴史が古く、1965年に男子の第1回大会が開催されている(女子は1973年から)。
日本で初めて開催されたのは1977年で、フジテレビが独占中継し、日本は男子が準優勝、女子が優勝して、日本中にバレー・ブームを巻き起こした。
当時の日本ではサッカーはまだ不人気競技で、日本代表がワールドカップに出場したこともなかったので「ワールドカップと言えばバレー」というイメージが定着したのである。
以降、38年間も日本で開催し、フジテレビが独占中継するというスタイルが続いているのだ。
そして4年後の2019年、即ちラグビー・ワールドカップが行われる年でも、既に日本開催は決まっている。
しかし、これはどう考えてもおかしな話だ。
ワールドカップと銘打つ大会が、ずっと1国で開催されているのである。
開催国なのだから、当然予選は免除で、日本は毎回出場している。
しかも、開催国の特権で、日本が有利な日程を組めるのだ。
たとえば、序盤では弱い相手と当たって波に乗るようにする、ということが可能なのである。
日本バレー協会は「厳正な抽選で日程を決めている」と説明していたが、もちろんこれは大嘘だ。
国際バレーボール連盟(FIVB)は「開催国特権により対戦順を決めている」と認めている。
それに、テレビ放映の関係で、日本はほとんど試合開始時間が夜になっており、常に24時間サイクルで調整できるが、他国はナイトゲームの翌日はデーゲームになったりするのでコンディション作りが難しい。
今年の大会では、男子の日本が最後の連戦で連休の関係によりデーゲームを行ったが、ナイトゲームの後は休養日となっていたので、ハンディは無いに等しかった。
もちろん、スタンドは日本の応援一辺倒で、常にホーム・アドバンテージがある。
日本のバレー・ファンは、他国のナイスプレーに拍手することなど全くない。
それどころか、他国がミスすると、鬼の首でも取ったかのように大ハシャギする。
さらに、他国は毎回アウェイというだけではなく、食事も気候も全く違う外国(日本)での試合を強いられるのだ。
こんな不公平極まりない世界大会に、他国から不満が出ないわけがない。
しかし、FIVBは聞いて聞こえぬふり。
それもそのはず、FIVBの収入の9割が、日本開催によってもたらされているのだ。
ジャパン・マネーが無ければ、FIVBは存続できない。
言ってみれば、過疎の村が再生のために原子力発電所を誘致し、常に危険と隣り合わせになったにもかかわらず、結局は原発に依存しなければ村は成り立たなくなったようなものだ。
これではFIVBが日本の言いなりになるのも当たり前である。
日本に有利なのは、自国開催や日程だけではない。
ルールまで日本に有利なように変更されたのだ。
平均身長の低い日本のために、リベロという守備専門の選手を置くことができるルールとなった。
また、これは日本有利なルールというわけではないが、かつてのサイドアウト制から、ラリーポイント制に変更されたのである。
理由は簡単、サイドアウト制だと時間がかかるのでテレビの放映枠に収まらないからという、日本のテレビ局からの要望に応えただけだ。
もはや日本のやりたい放題である。
バレーのワールドカップの主催は、当然のことながらFIVBだが、共催としてフジテレビ系列のテレビ局や、産経新聞社が名を連ねている。
こんな「ワールドカップ」なんて、バレー以外にはない。
日本の、日本による、日本のためのワールドカップなのだから当然、他国への敬意など払わないのは当たり前だ。
日本の試合前にはMCが「ニッポン!チャチャチャ」と客に拍手を強要する。
いや、強要するどころか、客も喜んで「ニッポン!チャチャチャ」とやっている。
客寄せと視聴率確保のために、日本の試合前にはアイドル・タレントによるコンサートまで開く。
もうスポーツとは無縁というだけでなく、他国へのリスペクトすらない。
これではファンのモラルなど育たないのは当たり前だ。
今回のラグビー・ワールドカップで感心したのは、ゴールキック(コンバージョン・ゴールやペナルティ・ゴール)でスタンドのファンがシーンと静まることだ。
プレーヤーの邪魔をしないためである。
そこにはラグビー・ファンのモラルというだけではなく、ラグビーの母国であるイングランドの誇りすら感じられた。
中にはレフェリーに対してペットボトルを投げつけるという心無いファンもいたが、当然のことながらこんな行為に対しては大バッシングを浴びている。
そして、今年のラグビー・ワールドカップのオープニング・セレモニーは鳥肌が立つほど感動した。
ラグビー発祥の地・イングランドから世界各国にラグビーが広まって行き、さらには各国のレジェンドまで登場させたのだ。
ラグビーというスポーツ、そして各国に対するリスペクトがひしひしと伝わる。
そして、大会歌である「World in Union」の素晴らしさは、筆舌に尽くし難い。
これこそがワールドカップと言えるだろう。
2015年ラグビー・ワールドカップのオープニング・セレモニー。大会歌の「World In Union」は震えが来るほど素晴らしい。ラグビーというスポーツ、そして各国に対するリスペクトが感じられる。日本からはトライ王・大畑大介が紹介された
ワールドカップではないが、ラグビーのニュージーランド代表(オールブラックス)がイングランドに乗り込み、試合前にマオリ族伝統の舞い「ハカ」でイングランド代表を圧倒しようとする。これに対しトゥイッケナム・スタジアムのサポーターは、イングランドの応援歌である「スイング・ロウ・スイート・チャリオット」を大合唱して「ハカ」に対抗する。この震えが来るような一体感がラグビー文化だ
2007年のバレー・ワールドカップで行われたアイドル・タレントのコンサート。バレーボールというスポーツや、他国に対するリスペクトなど全くなく、文化のカケラもない。単にアイドル・タレントの売り出しに利用されただけだ
バレーのワールドカップで、特定の事務所に所属するアイドルが毎回ナビゲーターを務めたり、スポーツ文化を破壊するライブを行ったりするのは、広告代理店の最大手である電通が絡んでいるからだ。
CM枠に強大な力を持つ電通が、人気低迷に喘ぐバレーに対し、この事務所のアイドルタレントを起用すればいい、と持ち掛けたのである。
バレー協会とフジテレビは渡りに船とばかり、この提案を受け入れた。
そしてバレー・ワールドカップのような、日本でしか受け入れられないガラパゴス的かつ奇妙な世界大会が誕生したのである。
テレビ局は、多額なスポンサー収入をもたらす電通には、決して逆らえない。
電通がどんな情報操作をしているか、こちらを読めばよくわかる。
もっとも、以前からバレーには似たような傾向があった。
フジテレビ以外でも、TBSや日本テレビが中継するバレーの世界大会では、アイドル・タレントを積極的に活用していたのである。
ただし、スポーツを普及させるためにタレントを活用するのは決して悪いことではない。
他のスポーツだって、大なり小なり同じようなことをやっている。
ただ、バレーはそのやり方がエゲつないのだ。
似ているのは、亀田一家をプッシュしたTBSのボクシング中継か。
ラグビーなどはその逆で、商売下手ばかりが目立ち、1/10ぐらいはバレーの爪の垢を煎じて飲んでもらいたいぐらいだ。
そのせいか、今ワールドカップの大会前には、少しでもラグビーを普及させようと日テレがネット上で「セクシーガールによるラグビーのルール解説」なんて動画を流したのである。
しかしこれが「あまりに低俗だ」としてラグビー・ファンや女性の怒りを買い、あっという間に削除してしまった。
バレーとは大違いである。
FIVBはビーチバレーも管轄しているが、女子の服装(水着)は「ブリーフは7cm以下」と規定されている。
これはプレーとは何の関係もなく、要するに「男性のエロ視線を集めよ」ということなのだ。
そのおかげで、ビーチバレー会場に集まって来るのは、オタクのカメラ小僧ばかり。
こんなスポーツとは無縁のふざけたルールで、よくぞ女性団体から抗議が来ないものである。
バレーの酷さはセレモニーだけではない。
試合となると、もはや目も当てられなくなる。
今年のラグビー・ワールドカップでは、開催国でありラグビー発祥の地であるイングランドの優勝が期待された。
しかし、ラグビーにはバレーのように開催国が有利に日程を組める「開催国特権」などない。
それどころか、イングランドは優勝候補のオーストラリア(ワラビーズ)や強豪国のウェールズと同じ「死のプールA」と呼ばれる、最も厳しいプールに配属されたのだ。
そのため、開催国であり、ラグビーの母国でもあるイングランドは予選リーグで敗退し、決勝トーナメントに進出できなかったのである。
主のいなくなった決勝トーナメント、しかし悲劇はそれでは終わらなかった。
準々決勝では同じ英国ホームユニオンのウェールズ、スコットランド、アイルランド、そして近隣国のフランスまでもが敗れ、準決勝はイングランドから遠く離れた南半球の国々が独占したのである。
だが、イングランドの人々によるラグビー熱は全く衰えなかった。
イングランドが敗退しても、イギリス各国が姿を消しても、スタジアムは連日超満員だったのである。
そして、今大会はラグビー・ワールドカップ史上、最高の収益を得たのだった。
また、イングランドとは関係ない試合なのに、イングランドの応援歌である「スイング・ロウ・スイート・チャリオット」がスタジアムにこだましたのである。
ラグビーを、そしてスポーツを愛するとは、こういうことなのだろう。
2015年ラグビー・ワールドカップ決勝、ニュージーランド(オールブラックス)×オーストラリア(ワラビーズ)。イングランドとは関係ない試合なのに、トゥイッケナム・スタジアムには超満員となる8万人以上の大観衆が詰めかけ、世界最高峰のラグビーに酔いしれた。また、日本とは関係ない試合だが、日本テレビが地上波生中継した
また、前述した日本×南アフリカ(スプリングボクス)でも、イングランドとは全く関係ない試合、しかも予選リーグに過ぎないのに、スタジアムには満員の観客が押し寄せた。
そして、日本の勝利を地元イギリスの新聞は1週間にもわたって大々的に報じたのである。
日本×南アフリカ(スプリングボクス)のパブリック・ビューイングに集まった海外の人々は、自国とは全く関係のない日本の勝利に狂喜乱舞した
しかし、日本のバレー・ファンは、日本以外の試合には全く関心がないようだ。
日本戦は優勝に絡んでいようがいまいが満員になるが(それでも満員にならない試合も多い)、優勝がかかった大一番でも、日本戦でなければスタンドはガラガラである。
日本のバレー・ファンは、本当にバレーを愛しているのだろうか?
2011年のバレー・ワールドカップでの優勝決定戦、ロシア×ポーランド。優勝がかかっている試合なのに、スタンドはガラガラ。日本での開催にもかかわらず地上波中継はなし。おバカなMCも笑える。優勝セレモニーは、さらにアホ丸出しのバボちゃんがお出迎えし、優勝チームに贈られたのがバボちゃん人形。文化レベルの低さを思わせる
こんな醜態を世界に晒して、まさしく日本の恥だ!
……とは、幸いなことにならない。
なぜなら、前述したとおりFIVBの収入源の9割は日本なのだから、世界中の人々はバレー・ワールドカップなんてもの自体を知らない、超マイナーな大会なのだ。
もっと言えば、バレーのワールドカップなんて、フジサンケイ・グループが独りで大騒ぎしているようなものである。
これならば、バレー・ワールドカップでいくら醜態を晒そうが、日本の恥になることはないので、日本人および日本のバレー・ファンは安心していい。
ただ、ワールドカップではないが、日本で行われた2012年の女子バレー・ロンドン五輪最終予選で全日本女子が八百長を行ったとして、タイでは日本に対する大バッシング報道があったが。
つまり、全日本女子による八百長のおかげで、タイは五輪出場を逃したというのだ。
ただし、こちらはFIVBの調査によると「八百長の証拠は不充分」として不問に付したのでここでは言及しないが、日本の大手メディアではほとんど報じられなかった。
こういう時に限っては、海外が騒いでも日本のメディアは無視するのである。
よほど電通が怖いのか、あるいは別の力が働いているのか?
女子バレーの五輪最終予選というと、やはり日本で2008年に行われた北京五輪最終予選で、最終日に突然規定の変更が発表されたことがあった。
そのため、大会前に発表されていた規定に添えばドミニカ共和国が北京五輪に出場するはずだったが、規定変更のために出場できず、代わってカザフスタンが五輪出場切符を得たのである。
ドミニカ共和国は4勝3敗の4位という好成績を残しながら、2勝5敗で5位のカザフスタンに五輪出場の道を明け渡したのだ。
ただし、これは規定の変更ではなく、元々は最終規定通りのルールだったが、FIVBと日本協会との手違いのために、大会前には間違った規定が発表されていたようである。
ドミニカ共和国ではこの裁定に怒り狂い……、とはならなかった。
普通なら、こんな不手際で五輪出場を逃せば国内で大バッシング報道が起こりそうなものだが、要するにドミニカ共和国ではバレーとはその程度の競技なのである。
ちなみに、全日本女子は規定が変わろうが変わるまいが五輪出場は決定したので、日本協会のゴリ押しというわけではなかったが、それにしてもお粗末な話だ。
五輪最終予選の最終日に規定が間違っていたなんて発表するなど、無責任も甚だしい。
要するに、日本バレー協会も、FIVBも、実にいい加減な組織なのである。
そして、それ以上に情けないのは、日本とは関係ないということだからか、日本の大手メディアではやはりほとんど触れられてなかった。
これでジャーナリストと言えるだろうか?
もしこれが、最終日での突然の規定変更(間違い)発表で日本が五輪出場を逃せば、大バッシング報道が巻き起こったに違いない。
あるいは、日本協会が正しい規定を揉み消し、間違った規定を押し通して日本を五輪出場させていたとか。
話をW杯に戻すと、ワールドカップと銘打ちながら、今大会は男子では世界ランキング1位、女子では世界ランキング2位の国(いずれもブラジル)が出場していないのだから、オハナシにならない。
それでも、世界ランキング27~28位の国が出場しているのだ。
ブラジルは別にして、地域予選の結果だから仕方ないとも言えるが、それでもこれでよくぞワールドカップでござい、などと言えたものである。
そして、今年の大会で言えば、男女とも上位2チームがリオデジャネイロ・オリンピックの出場権を得られる。
つまり、それだけ真剣勝負の大会だった、とも言えるが、逆に言えば単なるオリンピック予選だったというわけである。
ちなみに、男女ともブラジルが出場しないのは、リオ五輪には既に開催国として出場が決まっているからだ。
それだったら「ワールドカップ」などという詐欺みたいな名称は使わず、ハッキリと「五輪予選」と名乗ればいい。
その証拠に、連日の報道を見ていると、「日本の五輪切符が近付いた!」「日本、五輪切符ならず!」といったものばかり。
真のバレー世界一決定戦と謳っているにもかかわらず、実際にはどの国が優勝したかなんて眼中にないようだ。
他国についても「○○と××が五輪出場決定」というベタ記事があっただけで、どの国がワールドカップで優勝したかなんて記事はほとんどお目にかかれなかった。
そこのバレー・ファンのアナタ、今年のバレー・ワールドカップで優勝したのはどの国か、男女ともに答えられますか?
答えられた人は真のバレー・ファンと言えるだろうが、そんなファンが日本にどれだけいるだろう。
では、普通のバレー・ファンで、昨年(2014年)にバレー三大大会の一つである世界選手権が行われていたことを知っているのは、どれだけいるだろうか。
こちらはワールドカップよりも遥かに長い歴史を誇るにもかかわらず、日本開催でない限り日本のファンにはほとんど知られていない。
おそらく、ワールドカップのフジテレビ放送で「(男子)ポーランドは世界選手権優勝国」と言っていたのを聞いて、初めてそんな大会があったことを知った人がほとんどだろう。
日本のテレビ局は、自局の独占中継でない限り、他の世界大会なんて全く無視しているのである。
日本テレビが独占中継するワールドグランドチャンピオンズカップ(いわゆるグラチャン)なんて「真の世界一決定戦!」と喧伝し、フジテレビが独占中継するワールドカップは全くの無視。
もちろん、フジテレビもグラチャンは無視するのである。
要するに、自局の利益が絡まない限り、テレビ局はバレーのことなんてどうでもいいのだ。
その一方でFIVBは、金儲けになる日本開催の大会を増やそうと躍起になっている。
他にも毎年行われるワールドリーグ(男子)やワールドグランプリ(女子)なんて大会もあり「真の世界一決定戦」だらけだ。
ただしこちらは、1大会で各国の持ち回りという、バレーでは珍しく公平な大会だが、日本でも開催されるとはいえテレビ局にとっての旨味はなく(せいぜい深夜に関東ローカルで録画放送されるだけ)、日本では全く知られていない。
ちなみに言えば、今年のワールドリーグ(男子)で優勝したのはフランスだが、今年のワールドカップではそのフランスが出場していないのだ。
ランキング1位のブラジルと、ワールドリーグ優勝のフランスが出場しなかった大会、それが今年のワールドカップだったのである(ちなみに、女子のワールドグランプリ優勝はブラジル)。
こんな事実を知っているバレー・ファンが、どれだけいただろうか?
そして、ワールドカップ後の「五輪最終予選」というのも大問題だ。
ワールドカップで五輪出場権を得られなかった国々が、五輪出場を賭けて戦うのである。
しかし、ここでも開催地は日本。
いや、日本以外でもヨーロッパなどで行われるが、そこでは男女とも全日本は参戦しない。
あくまでも、全日本は日本でしか試合をしないのである。
五輪最終予選はアジア予選も兼ねているのだが(これも変な話である)、決して中国や韓国などでは開催しない。
もちろん、五輪出場がかかった試合なので、日本の民放もゴールデン・タイムで放送するだろう。
そしてまた、日本協会とFIVBに巨額のマネーが転がり込むわけだ。
邪推すれば、ワールドカップで日本が五輪出場権(今年で言えば2位以内)を得ない方が、日本協会やFIVBにとって良かったのではないか。
そうすれば、翌年の五輪最終予選で、また大儲けできるからである。
そう考えれば、今年のワールドカップも、
「男女とも、そこそこ勝って大会を盛り上げてくれ。そうすれば視聴率も取れるし、今の日本の実力だったら2位以内に入ることなんて有り得ないのだから、また五輪最終予選で視聴率を稼げるので、一石二鳥の万々歳だ」
などと、フジテレビや電通、そして日本バレー協会(さらにFIVBも)は思っていたのだろう。
そして思惑通り、日本は男女とも五輪出場権を得られず、来年に日本で行われる五輪最終予選に出場することになったのである。
正直、ここまで書いてきて疲れてしまった。
こんなにも書くつもりはなかったのである。
しかし、調べていくうちにゾロワ、ゾロワとバレー界に関するドス黒いことが発覚していった。
おそらくこれでも、氷山の一角に違いない。
だが、ここからが本題である。
ここまで読んできて、立腹したバレー・ファンも多いと思うが、そういう人はここから先は読まない方がいい。
ここまで書いてきたことを一切忘れ、サッサとパソコン画面を閉じることをお勧めする。
だが、真実を知りたいと思う勇気ある方は、この先もお読みいただきたい。
さて、問題はなぜバレーがこんな状態になったのか、ということだ。
バレー協会がここまで商売熱心になったのは、元会長のM氏(故人)の尽力によるものである。
全日本男子の監督を務めたこともあるM氏は、バレーを日本に普及させるために、あらゆるPR活動を行ってきた。
たとえば、オリンピック前にバレーのアニメを作らせるなどしたのである。
それだけでなく、平均身長の低い全日本男子に、斬新な戦法を編み出して、世界に通用する実力を身に付けさせた。
PR活動と共に、この点は高く評価していい。
しかし、問題はここからだ。
ワールドカップは1977年からずっと日本開催となったが、それをゴリ押ししたのがM氏である。
そして「バレーの世界大会は日本で開催」という慣例を定着させ、テレビ局と広告代理店(電通など)と結託して巨額マネーを生み出し、FIVBを取り込んで日本の言いなりにさせることに成功した。
また、バレー人気が低迷すると、電通による「この事務所のアイドル・タレントを日本の試合前にライブを行わせたらどうですか」という提案に対し「そういうアイデアを待ってたんだよ!」と大喜びしたのがM氏である。
FIVBは、ワールドカップなどの世界大会が毎回のように日本で行われる理由として「日本で開催すると活動費を賄えるので、世界にバレーを普及させることができる」と語っているが、大嘘もいいところだ。
その証拠に、バレーは全く世界に広まっていない。
広まっていれば、今頃は日本以外でワールドカップの招致運動が起こっているはずである。
FIVBは、ジャパンマネー欲しさに、日本のやりたい放題に加担しているだけだ。
ではなぜ、M氏はこれほどまでに強い発言力と行動力を身に付けたのだろう。
それはM氏が、日本のテレビ界はおろか、政治の世界までに強大な力を持つ某宗教団体の信者だからだ。
日本バレー協会には某宗教団体が深く入り込み、利権に絡んでいるのである。
M氏は某宗教団体のバックアップを得て、日本はおろか世界のバレー界に強大な発言力を持つことができた。
1972年に行われたミュンヘン・オリンピックで、バレーの全日本男子は金メダルを獲得するという快挙を成し遂げたが(ただし、この頃はバレーに力を入れていたのは共産圏の国ぐらいしかなかった)、そのメンバーのほとんどが某宗教団体の信者だったのだ。
M氏の教え子たちはバレーの普及に努め、さらに某宗教団体の布教にも邁進したのである。
バレー・ファンがよく「○○選手は使わずに、なぜ××選手を使うの?」という不満を漏らすが、そういう場合は大抵、某宗教団体が絡んでいると思っていい。
つまり、よほど力の差がない限り、某宗教団体の信者の選手を起用するのである。
某宗教団体は、テレビ界や政界に強大な力を持っている、というのは前述したとおり。
なにしろ、某宗教団体の信者タレントをテレビ番組で起用すれば、視聴率が数パーセント上がるほどだ。
なぜなら、某宗教団体の信者は日本中に800万世帯もあると言われており、信者タレントがテレビに登場すれば、全国の信者は一斉にその番組を見るからである。
視聴率が数パーセント上がれば、数億円の金が動くのは周知のとおり。
そう考えれば、バレーの選手は某宗教団体の信者を優先しよう、という気持ちもわかる。
別にバレーには興味が無くても、信者の選手が出場していれば某宗教団体の信者たちはバレー中継を見るのだ。
そうなれば、テレビ局は儲かり、広告代理店は儲かり、日本バレー協会やFIVBが儲かるという仕組みである。
世界に普及させたいのはバレーではなく、某宗教団体の活動だろう。
つまりバレーボールとは、某宗教団体のためにあるスポーツと言っても過言ではない。
先日、筆者はここで「シュマーク」という記事を書いた。
詳しくは上記の記事を読んでもらいたいが、簡単に言えばプロレスにはスマート、マーク、シュマークという、3種類のファンがいる、ということである。
スマートとは真のファンであり、マークはミーハーのファン、そしてシュマークはいわゆるオタクのことだ。
日本のバレー・ファンはマーク(ミーハー)とシュマーク(オタク)が圧倒的に多く、スマート(真のファン)はほとんどいない。
それは、上の動画にもよく現れているだろう。
ラグビー・ファンは、自国とは関係ない試合でもワールドカップ会場は満員になり、他国の試合でも熱狂するスマート(真のファン)が多いが、バレー・ファンは他国の試合には全く無関心、という様子が映し出されている。
これは、どっちがいいか、悪いかの話ではない。
人によっては「自国の試合にしか興味がなくて、なぜ悪い!?それが愛国心ではないか!」と発狂する人もいるだろう。
中には「日本を応援せずに、他国のプレーに対して拍手を贈るなんて売国奴だ!」などとのたまう狂信者もいるに違いない。
だが、どちらがいいのか悪いのか、という問題ではないのだ。
要するに、いいか悪いか、ではなく、どちらのレベルが高いか低いか、である。
せっせとマーク(ミーハー)およびシュマーク(オタク)を育てるのは、カルト宗教の常套手段だ。
アイドル・タレントを起用してマーク(ミーハー)を取り込み、その中からシュマーク(オタク)が生まれて、常連客となる。
しかし、スマート(真のファン)が生まれるのは、カルト宗教にとっては困るのである。
なにしろスマートは真実を突き止めようとするため、カルト宗教にとってはマズい状況に陥るのだ。
カルト宗教が望むのは、金を落としてくれるミーハー(マーク)であり、盲目的な信者(シュマーク)である。
カルト宗教にとって、スマート(真のファン)はいらない。
スマートによってカルト宗教の実態を暴かれると、スマート(真のファン)は大きな敵になる。
この論理が、バレーにも完全に当てはまるのだ。
バレー協会が、そしてM氏がやってきたのは、まさしく某宗教団体の手法である。
今後、バレーボールがどんな道を歩むかはわからない。
だが、真にバレーを愛するファンを育て、世界的にバレーを普及させる気が本当にあるのなら、某宗教団体とはキッパリと手を切るべきだろう(もちろん、選手が某宗教団体の信者であっても、信仰の自由があるので全然構わないのだが)。
そして、利権に絡んだワールドカップやグラチャンなどやめた方がいい。
世界大会と称するなら、日本の単独開催などやめるべきで、各国の持ち回りにすべきである。
もっとも、日本開催が無くなればFIVBは貧窮し、世界選手権なども開催できなくなるかも知れないが、別にそんな大会は無くなってもいいではないか。
なにしろ、世界選手権なんて、日本で開催された途端に胡散臭いものになる。
2006年に日本で開催された世界選手権では、全日本女子は6位に留まったにもかかわらず、MVPには竹下佳江が選ばれたのだ。
普通の感覚では、誰もがおかしいと思うだろう。
さらにこの大会では、決勝戦が前座扱いとなって、全日本女子が出場した5位決定戦がメイン・エベントとなった。
世界選手権の権威など形無しである。
バレー世界最高峰の大会はオリンピック、それだけでいい。
オリンピック・イヤー以外では、アジア大会やヨーロッパ大会など、各地域で国際大会を行えばいいだけの話である。
もちろん、国際交流やレベルアップの意味を兼ねて、地域を越えたテストマッチを行うのもいいだろう。
そして、オリンピック前年には、各地域によるオリンピック予選を行えばいい。
ハッキリ言って、今のワールドカップやグラチャン、世界選手権やワールドリーグおよびワールドグランプリなんて、何の意味もない。
サッカーやラグビーは、ワールドカップがあると共にオリンピック種目にもなっているが、サッカー五輪の場合には年齢制限があり、ラグビー五輪はワールドカップとは異なる7人制である。
つまり、サッカーでもラグビーでも、ワールドカップは世界最高峰の大会として、その存在が認知されているのだ。
それに比べるとバレーのワールドカップや世界選手権は、何の権威もないと言わざるを得ないだろう。
もっとも、FIVBにジャパンマネーを断ち切る度胸があるかどうかは疑問である。
しかし、バレーをワールドワイドなスポーツに育てるには、それしかないのだ。
今まで通り、ジャパンマネーと某宗教団体の庇護のままで利権を得たい、というのなら話は別であるが。
でも、それならば、バレー・ファンはマーク(ミーハー)とシュマーク(オタク)ばかりで、スマート(真のファン)は決して育たないだろう。
そしてバレーボールは、世界的には全く認知されず、日本のオタクにだけ重宝されるマイナー・スポーツのままになることは間違いない(←こんなギャグを使っていた、某宗教団体の信者芸人がいたなあ)。