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ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

ナショナリズムⅡ

「菊の季節に桜が満開!菊の季節に桜!」

というのは杉本清アナの競馬名実況だが、今年の秋にバラの国・イングランドで桜が満開になった。

そう、ラグビー日本代表である。

ラグビー母国であるイングランドで開催されたワールドカップで、決勝トーナメント進出はならなかったのに、満開とはいかがなものかという意見もあるだろうが、プール予選で3勝1敗、しかもそのうちの1勝が世界3強の一つである南アフリカスプリングボクス)相手だったことにより、日本中にラグビー・フィーバーが巻き起こった。

そして、日本よりも先に、世界が大フィーバーしてしまったのである。

誰もが日本代表が、優勝2回を誇るスプリングボクスに勝つなど予想してなかったのだ。

プール予選にもかかわらず、この試合は歴史を変えた最高の名勝負として、ラグビー史上に永遠に語り継がれるだろう。

 

日本代表の選手たちは帰国後、テレビ局に引っ張りダコになり、ここ1ヵ月ばかりはラグビーの話題を聞かない日はないというほどの熱狂ぶりである。

それまでは、9月にラグビー・ワールドカップが開催されるなんて、ラグビー・ファン以外は誰も知らなかった。

しかし現在は、テレビ局のみならず、ラグビーとは縁のなかった女性誌でも五郎丸歩選手を取り上げ、スポーツ総合誌「Number」では史上初めて臨時増刊号を出版したほどのブームとなったのである。

 

今の世の中、国際試合で日本が活躍しなければ注目されないということは、先日の「ナショナリズム」という記事で書いた。

今回のラグビーはもちろん、サッカー然り、野球然り、そしてマイナー・スポーツでもオリンピックでメダルを獲れば、一気に注目が集まる。

カーリングなんて誰も知らなかったスポーツなのに、2006年のトリノ・オリンピックで女子の日本代表が7位入賞したというだけで、急に認知度が高まった。

 

逆に言えば、どんなマイナー競技でも国際舞台で活躍すれば、メジャー・スポーツになることが出来るということである。

ところが、国際舞台でいくら好成績を収めても、全く注目されない競技もある。

それが、ラグビーと似た競技と言われるアメリカン・フットボールだ。

 

今年(2015年)の7月、アメリカで行われたアメフト世界選手権で日本代表は準優勝に輝いている。

ところが、そんな事実を知っている日本人はほとんどいない。

それどころか、そんな大会があったことすら知らない人がほとんどだろう。

というよりも、多くのアメフト・ファンですら、この大会には無関心かも知れない。

その理由は後に述べる。

 

ラグビーと同じく、アメフトは体の大きな人にとって有利なスポーツだ。

つまり、体の小さな日本人には不利な競技と言える。

ところが、アメフトの日本代表は、ラグビーの日本代表とは比べ物にならないほどの好成績をこれまで収めているのだ。

 

アメフト世界選手権が開催されたのは今回で5回目で(以前の名称はワールドカップ)、他競技のワールドカップと同じく4年に1度行われている。

その中で日本代表は、第1、2回大会を連覇、第3回大会は準優勝、第4回大会は3位、そして今回の第5回大会は準優勝と、実に輝かしい成績を残している。

5大会で優勝2回、準優勝2回、3位1回というのは、KKコンビのPL学園と同じような成績だ。

ラグビーでは今イングランド大会以前、1勝21敗2分の日本代表とは雲泥の差である。

 

アメフトは日本ではメジャー競技とは言えないが、決してマイナー・スポーツではない。

にもかかわらず、なぜこれほどの好成績を収めているのに全く認知されないのか?

 

それは、世界最強国のアメリカが、全然本気にはならない大会だからである。

世界選手権(あるいはワールドカップ)と言えば、各国が最強の代表チームを送り込む大会のはずだ。

 

ところが、日本が連覇した第1、2回大会は、アメリカは不参加。

第3回大会からようやくアメリカが参加したが、アメリカ代表は本国の最強チームを結成するどころか、中堅どころの大学生を寄せ集めただけのチーム。

それでもアメリカ代表は、第3回~5回までアッサリと3連覇してしまったのである。

 

今大会は母国開催ということで、これまでで最強のチームを作ったという触れ込みだったが、それでもNFL(プロ・フットボール)経験者が混じっているというだけで、中途半端な大学生が中心というチーム構成は変わらなかった。

NFLのスターだったブレット・ファーヴもメンバーに入っていたが、4年前に引退していた45歳の選手である。

一方の日本代表は、まさしく国内最高の選手を集めた精鋭部隊だ。

にもかかわらず、グループ・リーグでアメリカ代表と対戦した日本代表は18-43で完敗、さらに決勝で再戦した時は12-59と全く歯が立たなかった。

野球で言えば、侍ジャパンがアメリカのドラフトにもかからない大学生チームに2度続けてコールド負けしたようなものである。

 

アメフトはアメリカ国内では4大スポーツ(他には野球=MLB、バスケットボール=NBA、アイスホッケー=NHL)の中でダントツの人気を誇っており、カレッジ(大学)・フットボールですらプロたるNFLに劣らない。

アメリカ人にとって、アメフト世界最高峰の戦いはスーパーボウルNFL決勝)である。

アメフト世界選手権なんて、歯牙にもかけていない。

 

今大会のアメフト世界選手権が行われたのは、プロ・フットボールの殿堂があるオハイオ州カントン。

いわば、アメリカにおけるアメフトの聖地である。

しかし、スタンドは全くのガラガラだった。

無理もない、アメリカ代表のメンバーですら、ほとんどのアメリカ人が全然知らない選手ばかりだったのである。

アメフトに誰よりも情熱を燃やすアメリカ人が、世界選手権には全く関心を持たない。

 

アメフトの聖地・オハイオ州カントンで行われた世界選手権の決勝・日本×アメリカ。地元アメリカ代表が出場し、世界一を決める試合にもかかわらず、スタンドはあまりにも寂しい

www.youtube.com

 

 日本代表は決勝で完敗したとはいえ、準優勝は立派である。

しかし、日本ではこの快挙は全く知られていない。

たとえば、先述したスポーツ総合誌「Number」では、大会前の記事で1/2ページだけ僅かに紹介したのみである。

大会後には、日本代表が準優勝したにもかかわらず、その結果すら書かれていない。

決勝トーナメント進出しなかったのに、異例の増刊号を出版させたラグビーとは大違いだ。

 

実は、前述したように多くの日本人のアメフト・ファンですら、世界選手権で日本代表が準優勝したことを知らない、あるいは関心がないとも思えるのだ。

なぜなら、日本のアメフト・ファンは、NFLやカレッジ・フットボールにしか興味を持っていない人が多いからである。

つまり、アメリカ人と同様、世界選手権に重きを置いていない。

日本のアメフト・ファンが注目しているのはスーパーボウルであり、NFLの公式戦であり、カレッジ・フットボールのボウル・ゲームなのだ。

NFLはおろか、カレッジ・フットボールの上位校選手すら参加しない世界選手権など、興味を示すはずはない。

 

それでも、日本国内のアメフトは人気がない、というわけではないだろう。

社会人王者を決めるジャパンXボウル、学生王者を決める甲子園ボウル、社会人王者と学生王者が激突するライスボウル(日本選手権)には、それぞれ3万人前後の観衆が集まる。

年に3度も、3万人前後の観客を集めるスポーツなんて、日本にはそうはない。

「アメフトは日本ではメジャー競技とは言えないが、決してマイナー・スポーツではない」

と先述したが、つまりはそういうことである。

筆者は最近「海外ではメジャー・スポーツだが、日本では全くのマイナー」という競技に接することが多くなったが、そんなスポーツから見ればアメフトは羨ましい限りだろう。

アメフトは日本では、充分に認知されているのだ。

 

2013年の甲子園ボウル、伝統の関西学院大学×日本大学。地元である関学の応援スタンドは試合開始前から満員。上記のアメフト世界選手権の動画と見比べて欲しい

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それどころか、アメフトで3万人もの観衆を集める国が、日本とアメリカ以外であるだろうか。

おそらくないだろう。

あるとすれば、アメリカと地続きかつ英語圏のカナダだが、こちらにはカナディアン・フットボールという独自の人気スポーツがある。

要するに、日本はアメリカに次ぐ、アメフト先進国なのだ。

だからこそ、日本人は体が小さいにもかかわらず、アメフト世界選手権で二番手の地位を築くことが出来たのである。

裏を返せば、アメリカと日本以外に、アメフトを盛んに行っている国はないとも言えよう。

 

では、アメフト世界選手権で日本代表がアメリカ代表を破って世界一の栄冠を手に入れたら、日本中が大騒ぎしただろうか?

残念ながら、そうはならなかっただろう。

なぜなら、アメリカ代表が最強のチームとは程遠いからである。

というよりも、カレッジ・フットボールローズボウルオレンジボウルの出場校には簡単に負けてしまうようなレベルだ。

そんな「アメリカ代表」に勝って、日本代表は世界一でござい、などと言っても、白けるばかりである。

何よりも、そのことは日本のアメフト・ファンが誰よりも知っているのだ。

 

ラグビー日本代表が共感を得たのは、遥かに格上の南アフリカ代表が真剣勝負で日本代表を潰しに来たのにもかかわらず、日本代表はそれを跳ね返して見事な大逆転勝利を演じたからだ。

作られた勝負ではない「筋書きのないドラマ」だったからこそ、日本のみならず、日本とは関係ない諸国の感動を得られたのであろう。

 

だとすれば、アメフトを日本に認知させるには、日本代表がNFLドリームチームに勝つしかない。

しかしそれは、とんでもない夢物語だろう。

ラグビーで日本代表が南アフリカ代表に勝ったのは「世界スポーツ史上、最大の番狂わせ」と言われたが、そんなレベルではない。

おそらくそれよりも、10倍は難しいだろう。

 

ラグビーで日本代表が南アフリカ代表に勝ったのは、

ヤムチャベジータに勝ったようなものだ」

などと比喩されたが、アメフト日本代表がNFLオールスターズに勝てば、

「ミスター・サタンが魔人ブウに勝つようなもの」

と表現されるに違いない。

 

勝ち負け以前に、NFLのスター選手によるアメリカ代表を結成し、世界選手権に出場させるのが困難だ。

スーパーボウル出場こそがフットボーラー最大の名誉であると考える彼らが、世界選手権に出場したいと思うとは考えられない。

横綱序ノ口と真剣勝負せよ、と命じられるようなものだろう。

要するに、アメフト日本代表は、NFLの中心選手によって構成される最強のアメリカ代表と対戦する機会すら与えられない、ということか。

 

しかし、今大会でホスト役を務めたカントン市の市長は、日本代表がアメリカ代表に勝って欲しい、と切実に願ったそうだ。

アメリカ人なら、アメリカ代表に日本代表を叩き潰して欲しい、と願うのが本心だろう。

だがカントン市の市長は、それではアメフトの世界的発展はない、と考えたのだ。

なにしろカントン市は前述したとおり、アメフトの聖地である。

 

日本代表がアメリカ代表に勝てば、アメリカはさらに強いアメリカ代表を構築せざるを得なくなり、やがてはカレッジ・フットボール最強のチームを結成するようになる。

そして、それでもアメリカ代表が勝てなくなれば、NFLのスター選手によるドリーム・チームが出来上がる、というわけだ。

そうなれば、アメフトはアメリカの一国独裁ではなく、ワールドワイドなスポーツになるだろう、という読みである。

なんという、スケールが大きい人物だろう。

つまり、カントン市の市長は、アメフトを世界に普及させたいと考えているのだ。

しかしその道は、果てしなく遠い。

 

ヨーロッパで生まれたサッカーやラグビーは世界的に普及したスポーツとなり、ワールドカップでは大盛況となったが、アメリカ生まれで国内最高の人気を誇るアメフトは、世界的には全く広まっていない。

このあたりが、アメリカ人にとって最大のジレンマだろう。

 

「アメリカこそが世界の中心」

と考えているアメリカ人にとって、アメリカ人が創造した最高傑作のスポーツであるアメリカン・フットボールが、ヨーロッパ生まれのスポーツとは逆に、世界的には普及していないのが許せないのである。

 

それは、アメリカにおけるナショナリズムパラドックスに違いない。