●第65回日本選手権シリーズ第4戦 10月30日(木)福岡ヤフオク!ドーム
T 000 000 000=0
H 000 000 01X=1
(ソフトバンク4勝1敗)
勝=五十嵐1勝
負=メッセンジャー1勝1敗
S=サファテ2S
パシフィック・リーグ代表(優勝)の福岡ソフトバンク・ホークスと、セントラル・リーグ代表(2位)の阪神タイガースとの第65回日本選手権シリーズ第5戦は、大接戦の末ソフトバンクが1-0で阪神を振り切り、4勝1敗で3年ぶり6回目の日本一となった。
★分水嶺
【「武田のカーブ」の亡霊に取り憑かれた阪神打線】
ソフトバンクの先発は攝津正。
攝津はエース格とはいえ、シーズン後半からクライマックス・シリーズ(CS)にかけて調子を落としていた。
しかし、捕手の細川亨には勝算があった。
それは第2戦で阪神打線が手こずった、武田のカーブ(本人談ではスライダー)である。
細川は攝津の決め球であるシンカーよりも、スローカーブを多投させて阪神打線を翻弄した。
カーブ中心の組み立てで、ストレートもより速く見せることができ、さらにシンカーも活きてきたのである。
不調だった攝津が完全に蘇った。
これも阪神打線が、第2戦の「武田のカーブ」の亡霊に悩まされていたからである。
「武田のカーブ」は、第5戦のみならず日本シリーズ全体にとっても分水嶺となった。
さらにソフトバンクの秋山幸二監督は、無失点の好投を続ける攝津を6回でスパッと降板させた。
0-0のイーブンで、攝津もまだ89球しか投げていない状態での投手交代である。
これも第4戦で見せた「DH制ならではの継投策」だろう。
7回以降は森唯斗―五十嵐亮太―デニス・サファテという勝ちパターンの継投に移った。
もっとも、クローザーのサファテが3四球と大乱調で、最後は守備妨害による併殺でなんとか逃げ切ったものの、日本一決定の瞬間としては後味の悪い結末となったが……。
阪神の敗因は、第1戦を除きあまりにも打てなかったことだろう。
第2戦以降は4試合で僅か4得点である。
ホームランに至っては、日本シリーズを通して0本。
読売ジャイアンツとのCSファイナル・ステージ第4戦で、序盤に3本塁打を放ったのとは対照的だ。
もっともこれは、狭い東京ドームと、広い阪神甲子園球場および福岡ヤフオク!ドームとの違いかも知れないが。
ソフトバンクも日本シリーズでは2本しかホームランが出なかった。
結果的にこの日本シリーズは、ソフトバンクが4勝1敗と完勝だったが、実力通りの結果と言えるだろう。
阪神もCSで巨人をストレートで破った勢いがあったが、第2戦の武田にその勢いを完全に消されてしまった。
勢いが消えれば、あとは実力通りの結果が待っているだけである。
今シリーズの最高殊勲選手賞は内川聖一が選ばれたが、真のMVPは武田だったかも知れない。
もう1人、挙げるとするならば、トップバッターの柳田悠岐だろう。
柳田は第2~4戦までの3試合の第1打席でいずれもヒット(うち2本は二塁打)を放ち、そのいずれもが初回の先制点に結び付いた。
長距離核弾頭・柳田の存在が、ソフトバンク打線を引っ張ったのは間違いない。
第65回 日本選手権シリーズ
④○ソフトバンク5x-2阪神●※延長10回(福岡ヤフオク!ドーム)
※福岡ソフトバンク・ホークスが4勝1敗で3年ぶり6回目の日本一
最高殊勲選手:内川聖一(福岡ソフトバンク・ホークス)
敢闘選手賞:ランディ・メッセンジャー(阪神タイガース)
優秀選手賞:柳田悠岐(福岡ソフトバンク・ホークス)
優秀選手賞:デニス・サファテ(福岡ソフトバンク・ホークス)
優秀選手賞:武田翔太(福岡ソフトバンク・ホークス)