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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

サヨナラバス専用道

 

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2014年9月30日、一つの歴史が幕を閉じた。

奈良交通バス五條西吉野線が廃止になったのである。

それだけなら珍しくもないのだが、このバスはバス専用道路を走る路線なのだ。

それも別に珍しくない?

珍しいのは、このバス専用道は元々鉄道用に造られた道だという点だ。

鉄道の廃線跡をバス専用道として利用するのはよくあることだが、鉄道を走らせずにそのままバス専用道に転用した例はあまりない。

 

奈良県中西部にある五條市

かつて、五條市の中心駅である国鉄(現:JR)和歌山線五条駅から、世界遺産に登録された熊野古道がある紀伊山地を縦断して、太平洋に面した和歌山県南端部にある新宮市国鉄紀勢本線新宮駅に至る路線を、国鉄が敷設する計画があったのだ。

それが五新線である。

五新線とは、条の「五」と宮の「新」から取っているのは言うまでもない。

 

幻となった五新線の路線図。紀伊半島の3/4の長さを占める路線だ

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戦前に五条駅から敷設工事が始まったが戦争により中断、戦後に工事を再開して1959年(昭和34年)に吉野郡西吉野村城戸(平成の大合併により現在は五條市西吉野町城戸)まで路盤が完成したものの、走るのが険しい山地とあって採算がほとんど見込まれないため、鉄道開通の計画は頓挫してしまった。

そこで、この区間をバス専用道として、五條と城戸(じょうど)の間を国鉄バスが走るようになったのである。

開通予定だった鉄道の五新線に比べると、たった約12kmと遥かに短い距離だ。

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その後、国鉄民営化により西日本JRバスが後を引き継いだものの、利用客の減少により西日本JRバスは撤退、2002年(平成14年)10月1日から奈良交通が路線を継承した。

奈良交通による経営は12年間続いたが、トンネルなどの老朽化により遂に閉鎖となったのである。

老朽化もさることながら、利用客が極端に少なくなったという点も否めない。

かつては便数も多かったらしいが、過疎化が進んだ現在では平日で1日僅か5往復、土日祝になるとなんと1日1往復しか走っていないのだ。

もし、当初の計画通り鉄道を走らせていたら、大赤字となって多大な負債を抱えていただろう。

しかし、いくら利用客が少なくなったとはいえバス路線がなくなると、地域住民はさぞかし困るだろうと思われるかも知れないが、実はバス専用道のすぐ隣りには国道168号線が通じており、その道を現在も奈良交通が路線バスを走らせているので、10月1日からそちらに移行するのだ。

と言っても、便数が少ないことに変わりはないのだが……。

 

さて、バス専用道が閉鎖される直前、僕もバスに乗ってみることにした。

最初は五條まで電車で行こうと思っていたが、五条駅が通じているJR和歌山線は本数が非常に少なく、乗り継ぎの時刻が合わないと、とんでもない待ちぼうけを食らってしまう。

ところが調べてみると、始発停留所である五條バスセンターの近くに、いい駐車場があった。

そこで、五條まで車で行くことにした。

電車だと大回りになるが、車なら我が家から五條まで案外近く、約1時間のドライブである。

ただし、バスの中で景色を見ながらビールを一杯、というわけにはいかなくなったが……。

 

五條の駐車場に着いた。

その近くに、失礼な言い方をすれば田舎には分不相応なほどの立派なバスターミナルがあった。

ここが奈良交通バス五條西吉野線の始発停留所である五條バスセンターである。

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最終日ではないとはいえ大勢の人がいると思い、出発の30分前には着いたのだが、案の定すでに人だかりだった。

バス専用道が通るバス路線が廃止にならなければ、これほどの人は集まらないだろう。

上の写真を見て、人なんてほとんどいないじゃないか!と思うかも知れないが、その理由は後述する。

 

五條バスセンターに着いた途端、案内所の中から職員のおじさんが出てきて、

「さよなら五新線ツアーに予約しているお客様は、中で手続きを済ませてください」

と呼びかけた。

何人かの人達がぞろぞろと案内所に入っていく。

え……、予約してないとバスに乗れないの?

 

焦った僕は、案内所に入って職員のおばさんに、予約していないとバスには乗れないんですか?と訊いた。

「いや、予約が必要なのはボンネットバスのツアーだけで、普通の路線バスなら予約なしで乗れます」

なんだ、そういうことか。

ニュースで盛んに言っていたのは、このボンネットバスツアーのことだったんだな。

どうりで多くの人が、職員が呼びかけても案内所に入らなかったわけだ。

ホッとして2番バス乗り場に並んだものの、相変わらず人は多い。

路線バスはたしか小型バスだったので、並んでいても本当に乗れるかどうか、心配になってくる。

 

やがて、ツアー用のボンネットバスが2番乗り場に入ってきた。

昔は街中を走っていたというボンネットバス、写真では見たことがあるけれど、実際に走っているところを見たことはない。

どうやらこのボンネットバスツアー、8月末に行ったが好評だったので、9月の廃止直前に追加されたらしい。

おかげで貴重な姿を見ることができた。

ちなみにこのボンネットバス1966年製いすゞBXD30型というのだそうだ。

大勢の鉄ちゃんたち、いや鉄道ではなくてバスだからバスちゃんというのだろうか、並ぶのをそっちのけで撮り鉄ならぬ撮りバスを始めた。

もちろん、僕も撮りバスに参加する。

ボンネットバスの側面には、奈良県民にはお馴染みの、奈良交通のシンボルである鹿のマークが描かれていたが、昔からのマークだったのか。

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ボンネットバスが去ったあと、いよいよ路線バスの出番だ。

これだけ人が大勢いるんだから、大型バスに切り替えてほしいと思っていたが、残念ながらやって来たのはいつも通り(と思われる)の小型バス。

ちょっとは配慮しろよと思っていたが、職員のおじさんが叫んだ。

「今日は2台走らせますので、分乗してください」

おお、ちゃんと配慮してくれてるじゃん、奈良交通

さっきは心の中とはいえ、暴言を吐いて悪かった。

喜び勇んでバスに乗車する……、前に撮りバス。

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先頭車両に乗り込み、五條バスセンター~専用道城戸の旅、出発進行!

だが、一応座れたとはいえ、一番前の席というわけではないので、ネタばらしをすると肝心の専用道を写真に収めることができなかった。

しかし、帰りのバスでは一番後ろの席に座れたため、後ろの窓から専用道をバッチリ写すことができたのである。

従って、これから登場する専用道の写真は、全て帰りの写真だと思っていただいてよい。

先ほどの五條バスセンターの写真は、帰りに撮ったものなので、五條西吉野線に乗る人はいなかったのである。

なお、バスの中から撮った写真は窓越しのため、ガラスに反射して人が心霊写真のように写っているものもあるが、あまり気にしないでいただきたい。

 

五條バスセンターを出ると、2分ほどで五条駅に着いた。

ここからも大勢の人が乗り込んできたが、座る場所はほとんどない。

電車で来ていたら、僕も立っていなければならなかっただろう。

車で来て良かった。

ところで、賢明な読者の皆様なら気付いているだろうが、五市と五駅では「じょう」の漢字が違う。

ちなみに、JR和歌山線の駅は五駅なのに、奈良交通のHPを見てみるとバス停は五駅となっていた。

そのため、奈良交通のHPで時刻表を調べた時、五駅で検索したので、全くヒットせずに苦労したものである。

 

五條市の中心駅・五条駅。こじんまりした駅のように見えるが、JR和歌山線では数少ない有人駅で、主要駅の一つでもある。この駅発着の電車も多い

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五条駅を出ると、交通量の多い国道24号線を通り、すぐに左折して国道168号線に入る。

国道168号線を南下すると、まもなく吉野川を通過した。

それまで市街地を走っていたのに、吉野川を越えると急速に片田舎の風景が目に飛び込んでくる。

ちなみに吉野川は、4kmほど西に流れると和歌山県に入り、紀の川と名前を変える。

紀の川和歌山県北部を横断し、遠く紀伊水道に注ぎ込む、和歌山県を代表する大河だ。

紀伊水道を越えたその延長線上に、徳島県を流れる川にぶつかるが、その川の名前も吉野川である。

 

大台ケ原から流れてくる吉野川の清流。このまま西に流れ、まもなく紀の川と名前を変える

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国道168号線を南下してしばらくすると、左斜めに折れる細い道があった。

これこそが幻の五新線、バス専用道である。

なお、写真を見ればわかると思うが、先ほどネタばらししたように、この写真は帰りのバスの中から撮ったものである。

 

左斜め上にある、バスが出てきた道がバス専用道。右のセンターラインがある道路は国道168号線。下の写真は、一般車両進入禁止の標識(これは行きのバスの中から撮ったもの)

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バスは細い専用道を突っ走る。

……というほど、スピードを出すわけではない。

なにしろ専用道は、バスが1台やっと通れるぐらいの細さで、しかも舗装がガタついたりしているので大きく揺れる。

それにしても、思ったよりも普通の道だ。

鉄道用というから、他の土地と隔離されていたり、高架になっているのかと思ったが、普通に人は歩いているし、交差点もある。

脇には民家や田んぼもあったりした。

そんな状態だから当然、撮りバスをしている人も大勢いたのである。

また、今のダイヤではバスが対向することもないが、途中の停留所では行き違いができるように道が広くなっている部分もあった。

あと、大した山もないのに、トンネルが数多くあるのは鉄道用の名残りだろう。

ちなみに路線近くには、梅林で知られる賀名生(あのう)がある。

 

停留所近くで撮りバスをする人達。民家や交差点もあり、バス専用道とは思えない

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この辺りは元々鉄道用という感じがするが、謎の透明な屋根が専用道に付いていた。なんのための屋根だろうか?雨よけか、雪よけか、落石よけか。それにしても、決まった路線バスしか通らないのに「高さ制限4.5m」の標識は必要だろうか?

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山あいを一直線に突き抜ける専用道。これも鉄道用の名残だろう

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短い路線に、こんなトンネルがいくつもあった

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崖に面した専用道を走るバス。こんな道ではスピードを落とさざるを得ない

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バス専用道は吉野川の支流である丹生川と平行に走るが、川が蛇行するため、何度も丹生川を越える。川の向こうに見える道路は国道168号線

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約30分走ると、専用道城戸に到着した。

専用道に入ってからは信号もなく、途中に乗降客もいなかったため停留所もノンストップだったにもかかわらず、30分もかかったということは、スピードを出せなかったからだろう。

このバスは、もう少し先の西吉野温泉行きだが、大半の人がこの停留所で降りる。

五條西吉野線の、事実上の終点と言えるのだろう。

西吉野温泉まで行かずに、専用道城戸を終点とするバスもある。

実際に、専用道城戸の停留所は、大型バスでも方向転換が容易なほど広い。

待合室もあって、現在はシャッターが閉まっているものの、案内所か切符売り場らしき窓口もあった。

つまり、ちょっとしたバスターミナルである。

さらにタクシーまで常駐しており、タクシー営業所の中では何か売っているようだった。

バスのロータリー内にはバス専用道に関する石碑もある。

 

広々とした専用道城戸停留所

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上の写真の左側に見える待合室には、かつては切符売り場か案内所があったのだろうか

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タクシー会社がタクシーを常駐させている。中では田舎コンニャクを売っているらしい

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バス専用道の石碑

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専用道からさらに南へ伸びる道路。西吉野温泉行きのバスはここを通り、一般道に出る

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近所にある旅館の広告看板。地図には「JR城戸駅」という謎の駅が書いてある。鉄道も通ってないのに、なぜ駅があるのか?後で調べたところ、JRバスが運行していた時代は、専用道城戸のことを城戸駅と呼んでいたらしい

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時刻表によると、上りのバスが来るまで25分ぐらいある。

つまり、終点の西吉野温泉に着いたあと、ほとんどトンボ返りで来るのだろう。

上りのバスが来る前に、例のボンネットバスがようやく専用道城戸に到着した。

 

これを読んで、アレッ?と思う人もいるに違いない。

そう、先に五條バスセンターを出たはずのボンネットバスが、なぜ後に着いたか、という点だ。

実は、途中の停留所でボンネットバスには「撮りバスの時間」があったらしい。

その停留所では乗客がみんな降りて、我々が乗る路線バスの写真を撮っていた。

ひょっとすると、記念撮影などもしていたかも知れない。

なにしろ、路線バスなら片道520円の運賃だが(つまり、往復で1040円)、ボンネットバスツアーは往復で大人2000円、小人1000円なのだ。

何らかの特典ぐらいはあるだろう。

つまり、ボンネットバスが途中停車している間に、我々が乗る路線バスが追い越したのだ。

 

五條バスセンターで別れたボンネットバスと、専用道城戸で再会。ツアー客は記念撮影を行っていた

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と、そうこうしているうちに、上りの路線バスがやって来た。

慌ててバスに乗り込む。

すると、運転手が叫んだ。

「今日は特別に、あと2台バスが来ます!」

なんと、往路よりも1台バスを増やしたのである。

最初に来たバスには誰も乗ってなかったので、増便されたバスだろう。

他の2台には、西吉野温泉からの客が乗っているはずだ。

あと2台来る、と聞いて安心したのか、他の人達はノンビリ撮りバスを続けている。

これはチャンスだと思い、最初に来たバスの後部座席を確保した。

 

やがて僕を乗せた路線バスは、五條バスセンターを目指して走り出した。

行きと違って、バスの中はガラガラである。

しかも、広い後部座席に乗っているのは僕の他に兄ちゃんが1人だけで、しかもその兄ちゃんはカメラを持っていなかったようなので、ほとんど僕が独占しているようなものだ。

後でわかったことだが、残り2台のバスは満員で立っている人もいた。

なんという幸運だろう。

おかげで、行きにはほとんど撮れなかった写真を、後部座席から思う存分に撮ることができた。

 

しかも、先頭のバスに乗ったことには、思わぬ特典も付いていた。

なにしろ、1日5往復しかないバス専用道で、2台バスが連なっている姿をバッチリ写真に撮ることができたのである。

こんな有り得ない絵を記録に残すことができたとは、まさしく奇跡だ。

僕はバスに乗っていたので2台だけだったが、外で撮りバスをしていた連中は3台連なっているバスを写真に撮ることができたのだから、さぞかし興奮していたに違いない。

 

トンネルから2台のバスが出てくる超レア風景と、それを狙うカメラ小僧たち。彼らは3台のバスが連なっている姿をカメラに収めたわけだ

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田んぼの中を突っ切る専用道を、バス2台が仲良く連なる。外から見れば3台だ

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踏切を設置する予定だったと思われる交差点

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専用道から国道168号線に合流

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専用道を抜けて国道168号線に入り、今回の旅もいよいよ終わりに近付いた。

バスを3台にしてくれたおかげでいい写真が撮れたが、実は弊害もあった。

久しぶりに動かすバスだったのか、前の自動扉が動かず、運転手が手動でドアを開けていたのである。

バスは五条駅に着き、ほとんどの人が降りた。

みんな電車で五條までやって来たのだろう。

終点の五條バスセンターまで乗っていたのは、僕を含めて3人だけだった。

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五條バスセンターに着き、3人の乗客が降りたとき、そのうちの一人が「バスの中を写真に撮っていいですか?」と運転手に訊いた。

運転手は気前よく答えた。

「どうぞどうぞ。もう最後やもんなあ。3台もバスを走らすなんて初めてや。そやけど、ドアは動かんかったけどな。ハハハ」

運転手も、ちょっと名残り惜しそうだった。

最終日もバスを3台、走らせたのだろうか。

 

古いタイプのバスに見えたが、料金表示はLCD(液晶ディスプレイ)の最新式で、ICOCAなどのICカード乗車券にも対応と、なかなかどうしてハイテクなバス。それだけに自動扉が動かなかったアンバランスさがちょっと笑える

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バス専用道は約半世紀でその役目を終えたが、立派な五條バスセンターはまだまだお役御免とはいかない。

実は、五條バスセンターは日本一長い路線バスである奈良交通バス八木新宮線の途中停留所なのだ。

その距離は166.9km、停留所の数は167と、高速道路を使わないバス路線としては日本一長い。

これがどれぐらいの長さかといえば、大手私鉄阪急電鉄京成電鉄の総延長よりも長く、阪神電気鉄道の3.4倍だ。

終点は幻の五新線と同じ新宮駅だが、起点は五条駅よりもさらに遠い奈良県橿原市近鉄大和八木駅である。

起点から終点まで6時間半の超長旅だが、乗り換え不要なので、太川陽介蛭子能収を引き連れても楽々ノルマ達成だろう。

運賃は5250円だ。

今回のバス専用道の旅の約10倍である。

 

奈良交通バスの八木新宮線の路線図。上記・幻の五新線の路線図と比べると、さらに長いのがわかる

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今回、初めてバス専用道を通り、最初は「なんだ、普通の道と変わりないじゃん」と思ったが、歴史の生き証人となったので、やっぱり乗りに来て良かった。

と同時に、バスの旅も悪くないなと思ったものである。

できれば八木新宮線も乗ってみたいと思うようになったが、6時間半も耐えられるかどうか……。

 

 

関連項目

サヨナラバス専用道~幻の五新線(五條新町編)

サヨナラバス専用道~幻の五新線(城戸~阪本編)